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梅を見てお堀を浚(さら)ったはなし  作者: ぽすしち
 三

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23/70

梅林


 つまりまあ、それほど、ひどい種類のモノでは、ないのか ―― 



 境内から梅林へとつづく道を歩きながら、首の後ろをなでたヒコイチは、セイベイとならび前をゆく男をあらためてながめた。



 いままで、ヒコイチがまきこまれた不思議にでてきたモノたちとは、すこし、違うかもしれないと、どこかでおもう。


 寒気は一度だけで、この男をみていると、なんだか、死んだじいさんを思い出す。





 ふあり、と梅の花のかおりがとどき、すぐにその木々がめにはいる。



「ここは、また、―― ほんとうに、『梅林』だ」



「そうよ。すこしばかり坂になってるんで、粋をきどったような街のやつらは、わざわざ『山の梅』なんざ見にもこねえってことよ」



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