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梅の木
三
境内は、お参りをする人と、梅の木をみてまわるひとたちでにぎわっていた。
とくに身代わり地蔵さんとよばれる、病をかわってうけてくれる地蔵様には、たくさんのひとだかりがあり、そなえられた線香の煙でいぶされるようだった。
「おお、これはまた、たしかにすごい」
その立派な梅の木は、なぜか松の枝のように、横にうねってのび枝をひろげていた。
自然とそのかたちになったというので、なんだかわからないがありがたい、と触る者があとをたたないので、柵でかこいができ、『触れるべからず』の札がさがっている。
「こんなふうに、なでられて折れるぐらいの木ならよかったのになあ・・・」
ヒコイチとセイベイと並んで梅の木をながめた人足の男が、息をつくようにこぼした。
寺に入るとき、一度とまってすこしこまったような顔をしたが、そのまま門をとおり、ここまでいっしょにはいってきたのだ。




