彼女の能力
「へえ、そんな効果があったんだ」
歩きながら玲於奈は巴に自分のナイフの能力とそれによって得たスキルを説明していた。
ちなみに、彼の現在のプロフィールはこうだ。
『プロフィール』
名前 秋山玲於奈 ☆☆
性別 男
武器 ナイフ
保有ポイント 28P
スキル 糸Lv5(1/32)、探知Lv2(0/4)、水Lv1(0/2)、回復Lv3(3/8)、生命Lv1(1/2)、悪食Lv8(80/256)up
「へえって、一度すでに教えたけどな」
前回、協力を申し出た時にざっくりと伝えたはずだが、伝わっていなかったようだ。
巴は玲於奈の嫌味など無視して言った。
「それにしても敵を倒すだけでスキルが手に入るなんてめちゃくちゃ有利じゃん。法律違反だよ」
「何法違反だよ。それほど良いものでもないぞ」
レベルの上昇は敵の出現量に左右されることや、上級と荒魂を倒しても大して経験値に繋がらないことを伝えると、「やっぱり法律違反だ」と言い返された。
「もともと荒神と戦うには最低でもレベル8のスキルが必要って言われていて、それには普通143ポイントかかるんだけど、玲於奈のナイフだと255匹分でいいわけでしょう? そんなに楽な話はないじゃん」
確かに、低レベルの状態で何度も荒神を倒すことと比べたらかなり楽だろう。
巴は、もちろん敵とスキルの相性やスキル自体の性能も大きく関わってくることを明言したうえで、それでも楽にレベル8まで獲得できる玲於奈のナイフの性能を褒めた。
「デメリットが必要ポイント量二倍だけじゃ少なすぎるよ」
「デメリットはそれだけじゃないぞ。そのせいで欲しいスキルを自分で選ぶことがほとんどできない、もある」
「何か欲しいやつとかあるの?」
巴に訊かれ、玲於奈は正直に「攻撃力のあるやつ」と答えた。プライドが邪魔して言えなかったが、初めて見た時から巴の派手なスキルにずっと憧れていた。
「それなら今回で手に入るんじゃない? サブミッションに五種類以上の討伐があるってことは最低でも五種類は居るわけだから」
サブミッションの進め方についてはすでに話し合っており、休憩するたびに玲於奈が周囲に粘着糸の罠を張ることになっていた。それで二人とも『五種類以上の荒魂を倒せ』と『荒魂を30匹倒せ』の二つはクリアするつもりだ。
最後の『異物を排除せよ』は何をしたらいいのか分からないため保留である。とりあえず歩きながら異物らしきものを探しているが、今のところ見つかっていない。
「五種類の中に爆発系とかあるといいな」
「わたしとしては回復と探知上げておいて欲しいけどね、便利だし」
そこで玲於奈はあることを思い出した。ずっと気になっていたことがあったのだ。DCWに詳しい彼女なら知っているかもしれない。
「そういえば前のゲームの時、勝手に体が動いて敵と戦ったことがあったんだけど、それについて何か知らないか?」
そのおかげで助かったわけだが、やはり不気味だった。
しかし巴は首を傾げて言った。
「無意識ってこと?」
「いや、無意識っていうか、俺もよく分からないんだけど、そっちも知らないならいいや」
結局あれは謎のままだった。
続いて玲於奈は巴のプロフィールを見せてもらった。
『プロフィール』
名前 春原巴 ☆☆☆☆☆☆
性別 女
武器 刀
保有ポイント 2P
スキル 刀Lv8、生命Lv4
玲於奈のと比べるとスキルの欄がスカスカな気がするが、こちらの方が普通なのだろう。そして同時に、玲於奈は彼女のスキルのレベルの低さに驚いていた。とっくにレベル10まで行っているものだと思っていた。ようやく自分の能力の有利さを実感する。
「前から気になってたんだけど、名前の横の星の数って」
「それはクリア回数だよ。玲於奈は二つでしょう」
「あ、やっぱりそうなのか」
星が六つあるので、彼女は六回クリアしたのだろう。
そこで彼は違和感に気が付いた。
「計算が合わなくないか? 六回の場合、最大でも108ポイントだろう。レベル8までには143必要なんじゃなかったのか?」
すると巴はこともなく言った。
「ああ、わたしも最初のルーレットでシークレット引いたから」
巴「この時まだ六回しかクリアしてなかったのか」
玲於奈「一回ずつが長いから、多く感じるよね」
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