五十万円目。Continue
「おめでとう、太郎。あなたはチート能力を得た」
一を倒した後、エピックが下まで降りてきて賞賛する。
「ありがとう」
太郎は快く受け入れた。
この世界に来て初めてのチート能力。課金するということ。
のじゃロリ様も集合する。
「初めて戦場で合った時から比べて見違えたのじゃ。もうおぬしは最強じゃよ」
「でもいいのか? あんたもバトロワの参加者だろう?」
「勝負はフェアじゃないといかぬし。なあに心配するでない。わしは最強じゃ」
確かに合成人間を作るという能力はチートの中のチートだ。太郎はのじゃロリ様やエピックどころか、八にすら一度も勝ったことがない。
十、九、八、彼女たちも中央に集まる。
「おめでとうございます。太郎さん」
「おめでとー」
「やるじゃない。太郎」
今まで一緒に努力した仲間。次から敵に回るかと思うと憂うつになる。
でもそうじゃない。みんな太郎のことが好きで協力してくれたのだ。何か和解の道はないかと探す。
「俺はずっとここにいたい。みんなと協力して世界を変えたい」
太郎は気づいていた。違うゲームに来たのではない。機械兵器アーベントに負けた瞬間にエピックの能力で、ドラゴンボール的に精神と時の部屋に入り、修行させられていたのだと悟った。
だから帰らなくちゃならない。ナナシの元へ、歌子のところへ、そして、のじゃロリ様と対峙しなくては、ならない、悲しいけれど、それが宿命なのだ。
「安心するがよい」
「のじゃロリ様?」
「わしはずっと太郎の味方だからの」
のじゃロリ様が変身する。太郎と一緒に旅をした、天使の姿だった。
「これから王国に戻る。魔王に幽閉されていた前回の勇者と天使は現国王たちじゃ。今はわしらの味方についておる」
「つまり、歌子と一緒に王国を攻略しろと?」
「そーじゃ」
小さく手を挙げるのじゃロリ様。児童から青年期の少女に変身しているので違和を感じる。
のじゃロリ様は友だ。この世界に来て初めて会ったかけがえのない親友だ。
親友の頼みなら仕方ない。全力で答えなくてはならない。
「ゲーマーの俺がお前たちと同じレベルで勝負したら手ごわいぞ」
「構いません。その際は全力でお相手させていただきます」
王国の将軍。エピックが小さく礼をする。
十も、九も、八も、ニヤリと微笑む。一は恨みがましそうな顔をしていた。
「太郎さん言っておきますが私の負けではありません。エピック様に変身していれば瞬殺できました」
「はいはい、一さんもお元気で」
みんなにお別れをする。
「太郎、今度は本気の勝負だからね。絶対よ!」
「ああ、八、またな、必ず会おう」
なぜか八だけ泣いていた。根性の別れでもないのに、彼女は涙を必死で抑える。
ニヤニヤする十と九。彼女らは小さい声で、のじゃロリ様に、「八も一緒に行かせてやってください」と進言する。その声を太郎が聞くことはなかった。
エピックの時間の泊まった空間。外に出ると機械兵器アーベントが待ち構えている。
でももう怖くない。だって商人として大切なことを教えてもらったから。大事な親友がいたのだと再認識できたから。
「じゃ、行ってきます!」
「のじゃ!」
「「「行ってらっしゃい!」」」
手を振り、エピックの屋敷を出る。名無しが待っている現実世界へと帰還を果たした。




