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四十九万円目。VS一③

~太郎視点~


「太郎もレベルMaxになれるのじゃ!」


 客席から声が聞こえた。


 最後の試練。変身した一が襲ってくる。相手はレベルをMaxまで開放し、ステータスをSランクにしている。太郎の勝ち目は薄い。


 途中、八のアドバイスを元に剣術で戦術を組み立てて翻弄するもレベル差は圧倒的。あっという間にボコボコになる。


 そこに響いたのじゃロリ様の声。太郎もレベルを開放できるというお告げ。


「そうか。そういうことか」


 木剣を杖にして体を支える。立っているのがやっとだった。けれど諦めない。廃課金ゲーマーは努力家なのだ。


 今まで考えていた結論が思い出される。この世界はゲーム、しかし知らないアップデートがなされていた。知らない武器、知らない魔法、知らない兵器。


 問題はそこじゃない。


「俺は今まで素で戦っていた」


 そう。これはソシャゲなのだ。ABCシステムをチート要素と勘違いしていた太郎の判断ミス。


 チートは違った。だって太郎は“一度も課金したことがなかった”から。


「あっははは。弱い弱い、弱すぎる」


 日本人の太郎に扮した一の猛攻。剣技で圧倒される。太郎はすぐに後退し、壁に追い詰められる。


「どうしたんですか、太郎さん。だんまり?」


「いや、自分が何なのか忘れてたぜ」


「あん?」


 太郎は右手を胸元に寄せ、祈り、そして、胸の前で顕現させる。その名はスマートフォン。太郎に娯楽という最大級の恩恵を与えし神器。スマホを片手で握りしめる。


「それは!?」


「我が最大級のチートをとくとご覧あれ。“俺は課金する”」


 スマホが光り輝く。約10万円の課金。10凸し、すべてのステータスがアップする。


 ――まだだ、まだ足りない。


 内心をぶつけるため、スマホを天高く掲げる。


 レベルキャップの開放へ。


 スマホは七色に光り輝く。


「俺の課金は100万円だぁあああ!!!」




『チート能力を承りました』


盗賊・商人(太郎) レベルMax


HP:S

攻撃:S

速さ:S

守備:S

魔防:S


補助 二回行動

A遠距離反撃

B見切り・反撃不可3

C攻撃の指揮3


毒耐性◎


『チート能力を完了しました』




 襲来する一の斬撃を見切る。速さSですべての飛んでくる斬撃の雨を避けきる。


「ばかな、人間がSランクへの到達だと、ありえん!?」


 発狂する一。攻撃の手はやまない。そのすべてを紙一重で躱す。


 太郎は右手剣を後方に構え、勢いをつけた。走り出す。


「必殺技、天空!」


 一振りで斬撃の散弾を木端微塵にし、一にダメージを与える。


 もう何も怖くない。恐れてはいない。力がみなぎるのを感じた。


「俺の、勝ちだ」


「見事、ぐはっ」


 前のめりになって倒れる一。観客席から大声援が聞こえた。

盗賊・商人(太郎) レベルMax

HP:S

攻撃:S

速さ:S

守備:S

魔防:S


補助 二回行動

A遠距離反撃

B見切り・反撃不可3

C攻撃の指揮3


毒耐性◎

必殺技 天空

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