三十四万円目。株勝負の前日
仲間を信じる。のじゃロリ様の言葉を聞いた太郎は、今現在、味方になってくれそうな人を思い浮かべた。エピック、十、のじゃロリ様。エピックは屋敷のあるじだし、のじゃロリ様は助言をもらったばかり。なので助けてくれそうな十の元へ出向く。
何にもない簡素な部屋に十が鎮座していた。
「何してるんです?」
話しかけてもピクリとも動かない十。死んでいるのか、寝ているのか。
どうやら前者でも後者でもなく、十の唇が動く。
「瞑想です」
瞑想は心を落ち着かせるのに最適な方法で、仏教のみなずフランスのリラックスタイムとしても用いられる。寝る前にバスローブを羽織り、ベッドでゆっくりしながら好物のティーを飲みながら、窓を眺める行為。
十のやっている瞑想は目を閉じ、自分の呼吸音を聞きながら十五分間、己を無にする極地だった。
他社との会話、生の喜び、生老病死、四苦八苦を乗り越えた涅槃への崇拝。
瞑想は十にスピリチュアルなパワーを与えた。
悩み、悩み、悩みながら人生に苦悩し、それでも善く生きるという大切なことを教えてくれる。それが瞑想。
太郎は邪魔しないようにそっ閉じしようとして静止を受ける。十の鋭い声が飛ぶ。
「九とのバトル前日です。大方ヒントが欲しいといったところでしょうか?」
図星を突かれる。
「はい。株初心者の自分に助言をください」
「いいでしょう」
目を開くジャージ姿の戦女神。天上天下唯我独尊! と悟ったように、十は太郎にアドバイスをする。
「太郎さん。何も株式市場は国際株式だけではありません」
海外株式もある。ということだろうか?
十が言葉を続ける。
「いいえ、投資は多岐にわたります。不動産もあれば太陽光もあり、エネルギーもあれば金もあります」
「不動産、太陽光、エネルギー、金」
投資は株だけではない。様々なものが投資対象となる。
十は立ち上がり、太郎を真っ直ぐと見つめてこう告げた。
「日本の国債やソフトバンクの社債など安全な資産もあります。太郎さん、九を恐れることはありません。私もお供いたしましょう」
「あ、ありがとうございます」
太郎は45度でお辞儀をして十の助力を受け入れる。
仲間を信じる。のじゃロリ様の助けが最後の方に生きてくる。昨日の敵は今日の友。最強の味方を手に入れた太郎は、十と一緒に、カイジに出てくる十七歩という麻雀を用いた地雷ゲームをしながら、作戦を練った。
何もないミニマリストの部屋で打牌の音が響く。
九を破るための会議は深夜にまで及んだ。




