生意気生徒会長 St. Valentine's day 3
「あ!」
突然声を上げる会長。
「なした?隼人」
「大変。奈津美ちゃんにチョコもらってないや。職員室行ってくるね」
「あ、おい!」
武山さんが止めるより先に、会長は生徒会室を出て行ってしまった。
こういうときだけ俊足だ。
「・・・あいつ、バカか。職員室で教師が特定の生徒にチョコなんて渡さねぇだろ、普通」
あきれる武山さん。
愛想笑いで返す飛島さん。
まったく、武山さんの言うとおりだ。
教師が職員室でチョコなんてくれるはずがない。
・・・まあ、職員室以外でなら・・・わからないけど。
それにしても、紙袋一杯にチョコをもらっているのに、
まだチョコが欲しいなんて・・・
よほど多くの女性からチョコをもらいたいのか、
もしくは・・・
それだけ、花沢先生のことが・・・
好きなのか。
「あ、これ」
「どした、飛島」
「このチョコ、有名なお店のチョコです」
「へー。さすが女子、そういうのわかんだな」
飛島さんが紙袋の中の包みをひとつひとつ見る。
武山さんも同じように中を探り始めた。
「あ、今森本さんが手にしている・・・」
「これですか?」
「はい。その包装紙のキャラクター、可愛くて人気があるんですよ」
「包装紙の?」
「ってことは、包装紙はチョコとは関係ないってことか」
「つまり、有名なお店のチョコではない、と」
「・・・雰囲気からして、送り主さんの手作りなんじゃないですかね」
「なるほど」
気がつくと、僕たち3人は
チョコレートをひとつずつ物色していた。
妄想をプラスしながら。
「これ、チョコじゃなくてケーキだな。相当腕に自信があると見た!」
「サッカーボールのチョコ・・・サッカーをする武山さんが好きなんでしょうね」
「あ、伊波先輩へ、ですって。すごく可愛い字・・・」
「字が可愛いからって、本人も可愛いとは限らないぞ」
「失礼なこと言わないでください」
「ただいまー・・・何してんの?」
会長が帰ってきて、
この机の上にチョコが散乱している状態に驚く。
「隼人もやろうぜ!チョコインスピレーションだ」
「チョコインスピレーション?」
「このチョコの送り主さんがどんな方なのか、想像していたんです」
「ああ、なるほど」
納得したように近づいてくる会長。
手には紙袋を持っていた。
可愛いというよりは、クールで大人っぽいデザインの紙袋。
あの中身はきっと、花沢先生からのチョコなんだ。
そう思うと、なんだか気分が悪くなった。




