生意気生徒会長 St. Valentine's day 2
「つーか臣、お前チョコは?」
う・・・
一番訊かれたくないことを、
武山さんがズバッと聞いてきた。
この紙袋の前で答えたくないのに。
「・・・も、貰ってません」
「マジで?一個も?」
「だ、誰もが先輩たちのように人気があると思わないでください!僕のようにもらえない人もいるんですから」
「うわ、不憫」
「言いすぎです、武山さん」
そりゃあ武山さんは運動神経抜群だから、
汗を流すその姿に惚れる女子が多いと思う。
会長は会長っていう役職もそうだし、
そのスター性から憧れる女子も多いと思う。
運動神経もスター性もない僕がチョコなんてもらえるわけがない。
ちょっと考えればわかることだ。
不憫でもなんでもない。
「うわっ」
むくれていると、急に後ろから抱きつかれた。
「か、かかか会長!」
「おかしいよねー臣ちゃんこんなに可愛いのに」
「・・・っ」
会長の顔がすぐ近くにある。
右を向けば、その頬に唇が触れそうなくらい・・・ちかい。
この間のことがフラッシュバックされる。
『俺の胸は安心感抜群なんだから。ね』
「や、やだっ!」
「おっと」
俺は無理やり会長から離れて、
急いで武山さんの後ろに隠れる。
「・・・隼人、お前臣に何したんだよ」
「えー?なんにもしてないよ」
「うそつけ。すげー怯え様だぞ。膝カックンとかしたんじゃねぇのか」
「してないってば」
「あ、あの・・・」
先輩二人のどうでもいい論争を止めたのは、
飛島さんの可愛い声だった。
「なんだ、飛島」
「じ、実は・・・」
飛島さんがカバンから5個くらいの包みを取り出す。
それを僕の前に差し出した。
「え?」
「あの、森本さんに渡してほしいって頼まれていて」
「僕に?」
これは、見るからに・・・
バレンタインのチョコレートだ。
「やったじゃん、臣。そーかお前って話しかけにくいもんな」
「・・・複雑ですが、ありがたく頂戴します。飛島さん、ありがとうございます」
「いいえ」
受け取る包みのどれもが可愛らしくて、
愛情がこもっているような気がして、
無意識に笑みが浮かんでいた。




