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おまけ

これで完結です。

そして翌日、何故かあたしの荷物はアパートから千歳家へと移されており………


「早く見つかって良かったな。でもどうせなら官舎の方が良かったんじゃないのか?」

「それじゃ上官や奥さん達に見られていつでもしょーこといちゃいちゃできねーじゃん」

「あははは……そうね。私達だって早く孫の顔見たいし?で、式はいつにするの?」

「仲人やってくれる師匠と相談してる」

「真飛路が昔っからお世話になってる岡崎一等空佐だな」

「あら、岡崎さんご夫婦が仲人さんなの?」

「他にも仲人候補が一杯いたけどね」t


……あたしが知らないところでどんどん話が進んでいるような気がするのは何故?


あたしはいつの間にかアパートを解約し、いや、それだけでなくいつの間にかあそこを退団していたらしい。

って言っても、アレから団長とは会って無いどころか口も聞いていない。

それは、真飛路があたしの携帯を解約して、自分と同じ機種の携帯を新たに契約したからだ。

そして、あたし達は改めてマスター挨拶に行った。

あたし達二人の事情を説明した真飛路にマスターは……


「あと1秒遅かったら翔子ちゃんは僕のモノだったのに……」

「俺、運、めちゃめちゃ良いんです」

「そうだね。何せ、この、翔子ちゃんと幼馴染ってだけで君は強運の持ち主だと思うよ」

「同感です」


……何やら意気投合してるように見えるのは気のせい?


マスターはあたし達の結婚式に来てくれると約束してくれた。

マスターこと東郷 真也さん。東京で初めてあたしを受け入れてくれたヒト。


「おめでとう翔子ちゃん。幸せになるんだよ?」

「っ…!!マスター!(がばっ)」

「おっと!」

「…………しょーこ?」


感極まって思わずマスターに抱き着いたあたしは、珍しく怒りの形相を浮かべた真飛路にベリッと剥がされたのだった。

そして次の日には予想もしない人物達が真飛路のマンションに来て……


「やっほ!」

「おす!」

「やったね!翔!」

「おめでとう!翔!」


何と、あの時の元同期達が訪ねてきたのだ。


「皆いらっしゃい。でも、どうしてここが?」

「だって、社長直々に教えてくれたんだぜ?」

「へ?」

「そうそう。オレ等の事務所の社長様」

「え?」

「私ら、早々に彼に目をつけて貰って正解だったねぇ~」

「そうね。今とっても充実しているし…」


社長?だって彼等って世界でも超が付くほど有名な……


「確か貴方達が今いるのって……」

「「「「ミル・アノス・エージェンシー」」」」

「だよね。って事はそこの社長さんがあたしの住所を?でも何で?」


彼等をリビングに案内し、飲み物を用意しながら首を捻るあたし。

すると……


「おはよしょーこ」


寝癖をつけてよれよれのパジャマ姿の真飛路が起きてきた。


これがパイロットキャップを被って制服着ると誰もが憧れる飛行機のパイロットに変身するんだよね……


そんな事を考えていたあたしは、かつての同期が自分の婚約者兼幼馴染を見て全員姿勢を但し正座になったのを見て驚いた。


「「「「おはようございます!」」」」

「そっか…親父が言ってたのって……なるほどね」

「はい!全ては社長の指示通りに…」

「ん」

「今後はウチは劇団オディール推薦の俳優・女優は一切オーディションを受けさせない事になりました」

「ん」

「見込みがあるモノのみ……裏方も含めてですが、ウチで引き取る事にもなりました」

「ん」

「ついさっき、社長にも報告して来たんです」

「それで、親父、何て?」

「「「「よくやった…と」」」」


結局同期達はあたしを無視したまま、それぞれスケジュールが詰まっているからと、さっさと帰って行った。


????何で?どうなってるの?

あたしだけ話についていけない。


すると、そんなあたしに気づいた真飛路がコソコソと耳打ちし始めた。


「ミルってスペイン語で千って意味」

「ふむふむ」

「アノスは同じくスペイン語でとし

「うん。それで?」

「ここまで言って気づかない?」


へ?千と年でしょ?千年?ちと………千歳!!まさか!


「うん。親父はミル・アノス・エージェンシーの二代目。ちなみに母さんは元はそこの女優だった。

ついでに、も一つおまけ。学おじさんが元は親父の事務所の俳優でスタントやってたって知ってた?」


あたしはブンブンと思いっきり首を横に振った。


柾おじさんが超有名タレント事務所の社長?

日登美おばさんが元女優?

………その上、お父さんが元スタントマンだって?

嘘っ!!普通にサラリーマンしてたじゃん!


「泉希おばさんとの結婚が決まった時に、『妻とこれから生まれて来る子供の為に怪我に直面した仕事はやめる』って言ったらしいよ?」


………驚愕の事実です!お父さん!せめて墓場まで持って行く前に娘に教えて欲しかった!!


「でもさ、しょーこは親父の事何にも知らなかったの?あれだけウチに遊びに来てたのに?」

「………ヒロん家にたまにいる飛行機大好きなイケメンパパとしか……」


お父さんも謎だらけだけど、その上をいくのが親友だった柾おじさんなのね……。



********



「しょーこ、今日は式の仲人夫妻に会う約束をしてるんだ」

「それを早く言ってよっ!何時に何処で待ち合わせ?」

「ん……もうすぐ来るよ」


彼ののほほんとした返事の直後、チャイムがなった。


着替えと最低限のメイクをしておいて良かった!!


そんなあたしが出迎えたのは柾おじさんが言っていた岡崎隊長ご夫妻。

彼等はあたしを見て何故か瞳を潤ませられた。


「やったな千歳」

「真飛路くん、本当に良かったわね」


いったいどんな話をお二方にしたの?めっちゃ気になるんですけどっ!!


根性で笑顔を浮かべるあたし。すると隊長様はあたしの両手をぎゅっと握って……


「これからは君も彼のドルフィンキーパーだ。彼をしっかりとテイク・オフさせてくれよ?」


と仰った。

流石飛行機野郎。喩え方がパイロットそのものだ。

……あたしにそっち方面の知識が全くなかったらちんぷんかんぷんだろうけどね…


で、後で聞いたんだけど、あの“公開プロポーズ”を企画したのは真飛路が師匠と言って敬っているこの隊長様だったんだそうな。

(しかも!あの、場内アナウンスの声の持ち主でもあったの事。)

何でも先輩や同僚がいくら誘っても全く女性に興味を示さない彼に疑問を抱いた隊長様は、仕事馬鹿なのかそれとも……と推測をして彼に問いただしたらしい。


「あの時師匠、何故か涙ぐんでましたよね……」

「不憫なヤツって思ったんだよ」


そりゃそうだろう。今人気急上昇中のイケメンパイロットが一途に幼い頃の初恋をずーーーーーーーーーっと引き摺っていたんだから。


「だから、積年のお前の思いが通じるように御膳立てしてやったんだ!但し、その代わり………」


……どうやら仲人役がその条件だったと言う事らしい。


そして数日後、あたしはウェディングドレス、真飛路は制服姿で式を挙げた。

招待客は真飛路の上司と同僚、あたしのオディール時代の同期とマスター&アルバイトの子達。それと彼の防衛大学時代の友人達だ。

そして教会から出てきたあたし達を待っていたのは……!


「……っ!お祖父ちゃん!お祖母ちゃん!」

「翔子、幸せにな」

「翔ちゃん、今までありがとね」


車いすに乗っている祖父とそれを押す祖母だった。

柾おじさんの協力で病院から外出許可を貰って朝一番で上京したらしい。

………だが、あたし達を待っていたのは彼等だけじゃなかった。


『千歳2尉、彼女…じゃなかった…もう奥さんだよな?二人ともお幸せに!』

「「「「「「「「「「お幸せにぃ~~~っ!」」」」」」」」」」


多分あの時入間基地に来ていた人達の中の一部だろう。

ネットか何かで調べてわざわざ祝福に来てくれたのだ。


「しょーこ、泣いてるの?」

「ぐすっ…だっ…だって…こんなの……反則よっ!折角今まで我慢していたのに……」

「いーよ。嬉し泣きなら」


こんなに、こんなに幸せで良いのだろうか。

皆に見守られながらあたしと真飛路は車に乗り込んだのだった。


先日、某場所にて入間の航空祭のブルーインパルスの展示飛行を見る事が出来ました!

(生の“キューピット”は最高っす!)

その感動が暴走して出来たのがこの作品のプロットです。

あと、お気づきの方もいらっしゃると思いますが、一応補足。

オディール=ブラックスワン(ロットバルトの娘)=黒鳥……で腹黒という繋がりでした。

初の自衛隊モノですが、お楽しみ頂けましたでしょうか。

感想など頂けたら、作者、泣いて喜びます。(お月様の方にも投稿しちゃうかも…ですよ?)


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