第67話 砂嵐
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砂嵐に飲み込まれ体中砂まみれの僕たちは、とりあえず風呂に入ることにした。
「浴室を5つ作ったから各自好きな所を使ってね。浴槽にお湯を満たしてあるので体から洗って、僕に髪を洗って欲しい人は、水着を着用してから僕の浴室に来て」
皆が頷いたので、僕は収納ボックスから着替え入りのバッグを取り出し、それぞれ渡した。
なんか巨大蛙のときを思い出す。
まあ、今日は時間制限が無いので気楽ではあるが。
皆より沢山の砂を浴びた僕は、自分の浴室へ移動すると、服を脱いでそのまま浴槽に飛び込んだ。
浴槽が茶色に染まり底が見えない。
僕は、シャワー魔法に切り替えて髪から砂を落とすと、手早く髪と体を洗った。
そして、着替えの服を着て、ドライヤー魔法で髪を乾かす。
急がないと、女性陣の誰かが来てしまうかもしれない。
「ふー、なんとか終わった」
僕が一息入れていると、浴室のドアがノックされる。
「どうぞー」
「お兄様、髪を洗ってください!」
藤色のビキニを着たリゼが、元気よく入ってきた。
「体は、きちんと洗えたのかな?」
「はい、砂だらけで大変でしたけど」
リゼが苦笑して僕を見ている。
「よし、まずは砂を落とそうかな」
僕は、収納ボックスからブラシを取り出した。
そして、リゼの艶やかでシルクのような銀髪を、優しくブラッシングして砂を落としていく。
次に、シャワー魔法でぬるま湯を出して、砂汚れを洗い流す。
最後に泡立てたシャンプーをつけて、頭皮と髪を丁寧に洗っていく。
「はい、終わったよー」
「ありがとうございます、お兄様。とても気持ち良かったです」
リゼが満面の笑みで、僕を見つめている。
藤色のビキニがとても可愛らしくて、僕は思わずリゼの頭を撫でてしまった。
「次の人も来ないようだし、髪も乾かしてしまおうか」
「はい! お願いします、お兄様」
僕は、収納ボックスからバスタオルを取り出して、リゼの銀髪をタオルで優しく挟み込んだ。
しばらく続けた後に、ドライヤー魔法で手早く乾かして、お手入れ終了である。
「はい、できたよー。完璧な仕上がりだ」
「お兄様、いつもありがとうございます。大好き!」
リゼが、笑顔で僕に飛び込んでくる。
僕は、正面から受け止めると、リゼをギュッと抱きしめた。
「僕もリゼが大好きだよ」
すると今度は、リゼが僕をギュッと抱きしめ返してくる。
ああ、何か懐かしい感じがするかも。
リゼと二人きりで、迎賓館の旧館に暮らしていた頃を思い出す。
最近は、人数が増えて賑やかになったからね。
まあ、これはこれでリゼが楽しそうにしてるから、僕も大歓迎ではあるのだけど。
次の瞬間、浴室のドアをノックする音がした。
「クリスっちー、髪洗って欲しいっす」
「入っていいよー」
抱擁を解くと、リゼが微笑みながら僕を見ている。
そして、浴室へ入って来たカルラに歩み寄った。
「はい、次はカルラの番だよー」
「リゼたん、ありがとうっす」
二人が両手でハイタッチをして、仲良さそうにしている。
リゼは、インフィニティの女性陣とすっかり打ち解けたようで、その成長を兄として嬉しく思う。
「クリスっちー、よろしくっす」
「はいよー」
カルラが椅子に座って、髪を洗う準備が整ったようだ。
むむ、今日のカルラの水着は、赤の三角ビキニじゃないか!
いやいや、冷静になるんだ……僕は、もうリベンジなんてしない。
「旦那様ー、髪洗ってー」
「クリス君、私もお願い」
「どうぞー」
丁度良く全員揃ったので、僕は煩悩を捨て女性陣の洗髪に集中した。
そして無事に全員の髪を洗い終え、ドライヤー魔法で乾かすと、皆でリビングへ移動する。
「「「「「乾杯!」」」」」
今は、皆で風呂上がりのフルーツジュースを飲んでいるところだ。
僕としては、立ちながら腰に手を当てて一気に飲み干したいが、皆と上品にソファーに座って飲んでいる。
この後の夕食で、焼肉とサソリ料理を堪能し、僕たちは英気を養った。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
翌日も新風力車に乗り、皆で砂漠のオアシスを探す。
昨日と同じフォーメーションで、交替と休憩を挟みながら必死に探索を続けた。
だが、一週間経っても僕たちは、オアシスを見つけることができない。
今は、皆で対策会議中である。
「いやー、参ったね。一週間かけても見つからないとは」
「でも、クリス君。沢山のデータが取れたのだわ」
「あー、確かに。砂嵐の発生する場所に特徴があるよね」
「ええ、地図を作りながら探索していたので、砂嵐の発生ポイントに印を付けてきたのだわ」
僕とエルで会話しながら、皆に探索地域の簡単な地図を見せる。
砂嵐の発生する周辺は、地形的な変化もあり地図を作成できたのだ。
地図の中心部分に、狭い範囲で赤いバツ印が集中していた。
「赤いバツ印が書いてある狭い範囲で、砂嵐の発生率が高いね」
「それと、アタシの大好物の巨大サソリが、砂嵐の中には全然いないのだ」
「あー、魔物の生息している所って、砂嵐の発生する場所の周りだよね。確かに、砂嵐の中では一切見かけなかった」
僕とクラウが魔物の生息地について考察する。
「お兄様、この地図を見ると、砂嵐はそこに誰も近づけたくないのかもしれませんね。まるで何かを隠しているような」
全員がハッとしてリゼを見た。
「もしかしたら、砂嵐の中にオアシスがあるのでは?」
僕の言葉に全員が頷く。
「でもクリス君、砂嵐の中に入る手段がないのだわ。新風力車だと強風で墜落してしまうし」
「確かに、エルの言う通りだね」
僕は、砂嵐の中になんとか入れないか、懸命に思案するのだった。




