第65話 砂漠の魔物たち
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僕は巨大サソリを討伐して、唯一残った毒針付きの尻尾を回収しようとした。
すると、尻尾が勝手に動き始める。
「尻尾だけで、生きてたりするの!?」
しばらく様子を見ていると、理由がわかった。
すり鉢状の穴に、吸い込まれているらしい。
巨大サソリの尻尾が、生きているわけではないようだ。
どんどん底の方へ引きずられるように移動して、ついには底に到達すると、砂の中から魔物が顔を出した。
とりあえず鑑定しておくか。
【巨大蟻地獄】
魔物 4歳 オス
知力 35/40
武力 75/80
魅力 25/25
特徴……いつもハラペコで食欲旺盛。何でも食べる雑食性で、口に入る物は全てを噛み砕き飲み込む。肉は、固くて臭みがありとても不味い。珍味にすらならず、食用には向かないだけでなく、素材にもならないため、砂漠で一番嫌われている魔物である。とにかく落とし穴を掘りまくるので、見つけたら討伐し落とし穴を埋めるべし。毎年、沢山の冒険者や巨大サソリが被害にあっている。火を苦手としており、火魔法を使える魔術師がいるときに戦うと有利。
「砂漠の嫌われ者か……なんだか不憫だね」
僕が同情していると、巨大蟻地獄が巨大サソリの尻尾をバリバリと食べている。
「あああ、夕食のおかずが……」
僕は、同情モードから殲滅モードへ移行した。
「爆炎!」
僕の掌から炎のビームが放たれて、巨大蟻地獄が跡形も無く消滅する。
そして、このまま落とし穴を放っておくと危険なので、土魔法で穴を埋めておく。
「ふう、暑いし一旦帰ろう」
僕は、仕方がないので新風力車へ戻った。
「ただいまー」
「お兄様、おかえりなさい!」
リゼが僕に抱きついてくる。
「リゼ、汗だくだから触らない方がいいよ?」
「ワンピースの中に水着を着てるので、濡れても平気です」
リゼが微笑みながら、ワンピースの第一ボタンと第二ボタンを外した。
そして服をずらすと、チラリと桜色の水着とリゼの胸元が見える。
ぐはっ! リゼが小悪魔的に超絶可愛いのだけど!
水着だってわかっているのに、こういう見せ方をされると、男は弱いのだ。
「クリスっち、どうっすか? リゼたん、小悪魔的に可愛いっすよね?」
「ま、まあね」
「リゼたん、やったっすよー。クリスっちが、リゼたんにメロメロっす」
「えへへー、カルラありがとう」
ん? これは、カルラの策略だったのか!
リゼに変なことを教えるな……いや、僕的には、ご馳走様なのでは?
うーん、評価に迷うところだな。
「カルラの作戦だったの?」
「そうっすよ! いやー、リゼたんがお兄様をドキドキさせたいっていうから、自分は裸エプロンを勧めたんすけどね。エルがダメっていうから、仕方なく水着を使った作戦に変更したんすよ」
カルラがニッコリと笑って僕を見ている。
僕は、迷わずカルラの頭に軽くチョップをした。
「あいた! 何するんすか、クリスっち。痛いっすよ」
「リゼは、まだ11歳だから、あまり変なことを教えたらダメ」
「ふあーい」
カルラが頭を押さえながら渋々返事をする。
「お兄様、喉が渇きませんか?」
「うん、何か欲しいね」
「カルラに教わって作った、フルーツジュースがありますよ」
リゼが微笑んで僕を見ている。
「リゼが作ったの?」
「はい! 自信作ですよ」
「じゃあ、一杯もらおうかな」
準備出来ていたのか、キッチンからすぐにリゼが戻って来た。
「はい、どうぞお兄様」
「ありがとう、リゼ」
僕は、リゼ特製のフルーツジュースを一気に飲み干す。
数種類のフルーツを、混ぜてあるようだ。
ふう、超絶美少女な妹が作るジュースは最高である。
疲れなんて、吹っ飛ぶね。
「美味しいよ、もう一杯もらってもいいかな?」
「はい! すぐに持ってきますね」
僕がリゼから、おかわりのジュースをもらうと、クラウが近づいてきた。
「クリス、さっきの巨大サソリに使った魔法は何?」
「あー、複合魔法だよ。ドライヤー魔法の逆」
「逆とは?」
クールビューティーモードのクラウが、首を傾げて僕を見ている。
「さっきの魔法は、風魔法を火魔法で温めるのではなく、火魔法を風魔法で飛ばしたんだ」
「それにしても、すごい威力だったが、あれは皇帝陛下やエルの父、アタシの父の前では見せない方がいいぞ」
クラウも僕が人間兵器にされるのを、心配してくれているようだ。
さすが帝国第3位の剣士である。
戦いに関することは良く見えているらしい。
「そうだよね。僕もクラウと同じことを考えていたんだ」
「それはそうと、旦那様。ここでいい子にしてた、アタシへのご褒美は?」
「あー、それなんだけどね……」
僕は、先ほどの巨大蟻地獄との件を、女性陣に説明した。
「仕方がないですね。次の機会にまた挑戦するということで」
リゼが諦めると、他の女性陣も皆頷いている。
意外に皆、あっさりしているのだな。
「それじゃあ、オアシスの探索を再開しようか」
皆が引き締まった表情で頷く。
僕は、再び新風力車を上空に浮上させ、オアシスを探した。
「旦那様! 見つけたぞ!」
速攻でクラウがオアシスを発見したようだ。
「お兄様、私も見つけました!」
「私も、見つけたのだわ!」
「自分も、見つけたっすよ!」
ん? 全員が同じオアシスのことを、言っているのだろうか?
僕が車内を見ると、リゼが前、クラウが左、エルが右、カルラが後ろを指さしている。
四つも同時にオアシスが発見されるなんて、さすがにそのうちのどれかはビンゴだろう。
「「「「巨大サソリ!」」」」
女性陣の声が奇麗に揃い、車内にこだまする。
「へ?」
その後、僕は4体の巨大サソリを討伐し、夕食は皆でサソリ料理を堪能したのだった。




