表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさん冒険者のキャラクターシート  作者: 愛自 好吾


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/157

第46話 ミレーヌ伯爵とエミリエルお嬢様





 翌朝、冒険者ギルドの酒場で朝飯を食べて、俺達はまったり過ごしていた。なんとこの街の冒険者ギルドの酒場にはコーヒーがあるのだ、コーヒーを飲みながら今後の事を話し合う。


コーヒーを啜りながら、サーシャがルビーさんに聞いて来た。


「さてと、これからどうするルビー」


「当然伯爵に会うよ、まずは話を聞かないとねえ」


「この時間ですと屋敷の方でしょうか」


「多分ね、話はジローさんに任せるけど、いいかい」


「俺だって貴族と話せる訳じゃないんですけど、わかりました、何とかやってみます」


「それじゃあコーヒーを飲んだら行こうかねえ」


俺達はその後、冒険者ギルドを出て貴族街の方へ歩き出した。冒険者ギルドがあるのが一般街、他に商業街、スラム街などがあるそうだ。


貴族街の入り口辺りまで来た。何か検問みたいな事をやっているようだ。


「ご苦労さん、ミレーヌ伯爵様に会いに来たんだけどいいかい」


ルビーさんが冒険者ギルドのギルドカードを提示した。


「Cランクか、いいだろう通っていいぞ」


ファンナが顎に手をあてながら衛兵に聞いた。


「こんな所でも検問をやっているんですね」


「ミレーヌ伯爵家に賊が侵入したのは知っているな、俺達はここの警備を強化しているのさ」


それを聞いて、ルビーさんが納得した様に漏らした。


「どうりで物々しいわけだよ」


俺は衛兵に伯爵の屋敷の場所を訊いた。


「すみません、ミレーヌ伯爵様の屋敷はどの辺りになりますか」


「それならこの道をまっすぐ行けば伯爵様の屋敷だ」


「どうも」


まだ賊は捕まっていない様だ、とりあえず俺達はミレーヌ伯爵の屋敷へと向かう。随分長い事歩いた末にようやくたどり着いたのは、これまたデカい屋敷だった。屋敷の門番のような人に声をかけた。


「すみません、ミレーヌ伯爵様はご在宅でしょうか」


「まず身分証を見せろ」


俺はギルドカードを門番に見せた。


「ふむ、冒険者か、しかしFランクとはな・・・まあいいだろう、ミレーヌ伯爵様は屋敷に居らっしゃる、通っていいぞ、失礼のないようにな」


「はい、それでは」


俺達はミレーヌ伯爵の屋敷に入る、玄関に着くまでが長い。広い庭だ。


玄関の所にいる人に声を掛けられた。壮年の男性だ、騎士グレンとは違った優しい感じのキッチリした服を着たご年配の方だ。


「お客様、本日はどの様な御用でしょうか」


「ミレーヌ伯爵様に会いに来たのさ、ほら、これがミレーヌ伯爵様からの手紙だよ」


「・・・・・・確かに奥様の文字ですね、わかりました、どうぞこちらへ」


俺達は屋敷の中へ通された、凄い豪奢な廊下だ、なんだか本物の大貴族って感じだ。


「こちらでお待ちください、奥様を呼んで参ります」


俺達が通された部屋はこれまた豪華な調度品がたくさんある応接室だった。なんだか緊張してきた。大丈夫かな、かなりビビってる。


「なんだかすごいお部屋ですねぇ」


ファンナも緊張している様だ。


「失礼いたします」


メイドさんが入って来た、ワゴンを押してきたという事は紅茶かな、それともコーヒーかな。飲み物が出されるという事は一応歓迎されていると見ていいのかな。俺達4人分の紅茶が置かれた、一口飲む、おいしい、高級茶葉を使っているようだ。良く分からんが。


みんなで紅茶を嗜んでいると、扉が大きく開かれた。


「お待たせしたわね、私がミレーヌ・ルクード伯爵よ」


なんと、物凄い美人が部屋に入って来た。30代中頃位だろうか。


「失礼します、ミレーヌの娘、エミリエル・ルクードですわ」


・・・あれ?・・・この娘、どこかで・・・


エミリエルと名乗った娘は14歳くらいの女の子だった。


「初めまして、冒険者のジローと申します」


「同じくルビー、と言います」


「サーシャよ、エルフの冒険者」


「は、初めまして、冒険者のファンナと言います」


一通り挨拶を交わして俺達は席に着く、ソファーがフカフカだ、実に座り心地がよい。


「早速だけど、あたいの所に手紙が届いてね、間違いないのかい?」


「ええ、私が手紙をしたためました、娘に頼まれましてね」


娘さんに?・・・あ!? 思い出した。この娘昨日俺の財布スッた盗賊少女じゃないか。


なんでこんな所にいるんだ?


「え~と、エミリエルさん、・・・初めまして・・・で、いいのかな」


「・・・ええ、・・・初めまして・・・おじ様」


昨日はおっさんと言っていたのにな、どういう事だ。まあいいや、本題に入ろう。


「手紙には盗まれた物を取り戻してほしい、とありますが」


「そうなのです、我が家に代々伝わる家宝の指輪、蒼水晶の指輪が何者かによって盗まれてしまいました、決して高価な物ではありませんが、当時の国王陛下より賜った由緒ある指輪なのです」


「なるほど、その指輪を取り戻せばよいのですね」


「いえ、取り戻すのは娘のエミリエルに任せています、あなた方にはその手伝いをして頂きます」


「娘さんのお手伝い、ですか」


「ええ、もうすぐこの子も成人いたします、社交会デビューも近いうちに致します、その前に取り戻して頂きたいのですわ、出来ますかしら」


「なるほど、娘さん、エミリエル様に手柄を立てさせたい訳ですね」


「そういう事ですわ」


なるほど、娘さんに他の社交界の人達にいいところを見せる為に、あえて花を持たせる訳か。


「・・・どうしますか、ルビーさん」


「そうだねえ、期限付きってのがねえ・・・何時いつまでに見つければいいんだい」


「そうですわねえ・・・エミリエル、いつまでなの」


「キッチリ二週間後ですわ、お母様」


「二週間後かい、確約は出来ないけどやれるだけはやってみるよ」


「引き受けていただけるのですね、良かったわねエミリエル」


「はい、お母様」


「エミリエルの助手として執事のギャリソンを付けます、よろしいかしら」


ミレーヌ伯に言われて、後ろで控えていた先程の老紳士がお辞儀をした。


「はい、奥様」


「それでは、私はこれで失礼いたします」


ミレーヌ伯爵は応接室を退出した、エミリエルとギャリソンさんが部屋に残っている。ギャリソンさんとは先ほど玄関で応対していた壮年の執事の人だ。好々爺と言った感じの人だ。


ギャリソンさんが俺達に今後の事を聞いて来た。


「さて、これからどうなさいますか皆さん」


「その前に二つお伺いしたい事があります、よろしいでしょうか」


俺の質問にエミリエルお嬢様が答えた。


「あら、何かしら」


「何故、サラミスの街の冒険者を雇うのでしょうか、この街にも冒険者ギルドがありますが」


「ああ、それね、この街の冒険者ギルドの人が私の顔を知っているからですわ」


「知られていると良くないのでしょうか」


「だって、これから盗賊シーフになるんですもの」


「誰がですか?」


「私が」


この言葉を聞き、ギャリソンさんがお嬢様に困った様な表情をした。


「お嬢様、まだその様な事をなさっているのですか」


「ギャリソン、この事は秘密ね」


盗賊シーフになってどうしようと?」


「簡単よ、盗賊ギルドに入る為ですわ」


これには流石に、ルビーさんも驚いた。


「な、なんだって! 正気かいお嬢ちゃん」


「ええ、私は何としても蒼水晶の指輪を見つけて見せます」


「確かに、盗品を扱うのは盗賊ギルドに聞くのが一番手っ取り早いですけど」


サーシャも一言口に出した。


「だからってフツー盗賊ギルドに入ろうとする、人間って変わってるわね」


「とにかく私は盗賊ギルドに入るために盗賊の仕事をしなくてはならないのですわ」


「それで俺の財布を狙ったのですか」


「ちょっと借りただけですわ」


「財布を取るのは借りるとは言いません、盗むと言うんです、犯罪ですよ」


「う、解っておりますわ」


「まったく、・・・それから二つ目に聞きたい事ですが、蒼水晶の指輪には何か特別な魔法でもかかっているのでしょうか」


「指輪にですか? さあ、私は聞いた事がないですわ」


「そうですか、他に盗まれた物は?」


「いいえ、ありません、蒼水晶の指輪だけですわ」


「・・・なるほど」


他の物には目もくれず目的の物だけを狙った犯行か。


「何か解ったかい、ジローさん」


「今の段階では何とも」


計画的な感じだな、蒼水晶の指輪は高価な物じゃないって言っていたし。何が狙いだ?


「エミリエルお嬢様、もう危険な事はおやめください、わたくしめは心配でなりません」


「悪いわねギャリソン、もう少しだけお願い、ね、」


「冒険者の皆様、このとおりお嬢様は火遊びが過ぎます。くれぐれもよろしくお願い致します」


「出来るだけの事はしますよ、ギャリソンさん」


まずは情報収集からだよな、こういう時。


「指輪が盗まれたのは何時いつですか」


「1週間ほど前ですわ、その時は我が家でパーティーを開いていました、今思えば招待客の中に賊が紛れていたのですわ」


「そうなると招待客全員が怪しくなりますよ、探すのは手間がかかる事になります」


「そうですわね」


「何処に指輪は保管されていたのですか」


「その時はお母様の指に嵌めていましたわ、その晩、指輪がない事に気が付いたわけです」


「つまり、パーティー中に指にはまっている指輪を盗まれた、という事ですね」


「そうなりますわ」


そんなの盗賊スキルの技以外考えられないよな、普通。


「招待客の中に盗賊シーフを連れている人はいませんでしたか」


「それは、いるでしょうね、護衛として付いてきた人も居たでしょうから」


「誰だか分かりますか」


「それは無理です、大勢いましたし、よく知らない人もいましたから」


「そうですか、調べるにしても時間が掛かりますね」


サーシャが声を掛けた。


「ねえジロー、一人一人調べるのは時間の無駄よ、二週間しかないんだから」


「そうですね」


ルビーさんも言った。


「やっぱり盗賊ギルドかねえ」


「そうですね、誰が盗んだにせよ、盗品は一度盗賊ギルドに渡る筈ですからね」


これを聞いて、お嬢様は元気良く皆に言った。


「それではやはり盗賊ギルドに行きましょう」


「いけませんエミリエルお嬢様、盗賊ギルドに出入りするなど、危のうございます」


「それじゃあギャリソンも一緒に付いてくればよいのです、私も変装いたしますから大丈夫ですわ」


「ふむ、いやしかし、う~む・・・解りました、このギャリソン、お供致します」


「これで決まりですわね、早速出かけましょう」


ルビーさんは一つ溜息を付いた。


「はぁ~、盗賊ギルドに行くのかい、場所は解っているのかい?」


「「「 あ、」」」


「しょうがないねえ、酒場に行くよ」


「なによあなた、昼間からお酒を飲むの、これだから冒険者は・・・」


「違うよエミリエルお嬢ちゃん、ファンナも覚えておきな、情報ってのは大抵の場合酒場に転がっているものさ、だろジローさん」


「さすがですねルビーさん、ベテラン冒険者って感じです」


「そうなんですね、勉強になります」


「それじゃあ行こうかねぇ」


俺達はエミリエルお嬢様と執事のギャリソンさんを伴ってミレーヌ伯爵の屋敷を出て行く。


さてと、まずは酒場に行って情報収集だな。盗賊ギルドの場所探しと渡りを付けないとな。




おじさん出来るかな














評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ