第34話 サリー王女とファンナの思い
冒険者ギルドに着いて受付のお姉さんのいるところに来た。どうしても聞きたい事があったのだ、この街に住んでいるファンナには聞かせたくない内容になるかもしれない、なので、あえて今日は別れた。
「すいません受付のお姉さん」
俺は受付のおねえさんに声を掛けた、おねえさんは何か書類仕事をしていたが、こちらに対応してくれた。
「あら、ジローさん、聞きましたよ、クラスアップおめでとうございます」
「ありがとうございます、ところで一つ聞きたい事があるのですが」
「あら、何かしら」
「単刀直入に聞きます、バルト要塞は今、どうなっていますか」
受付のおねえさんの顔色が強張った様に見えた。
「・・・どこで聞いたか知りませんが、大丈夫です。持ち堪えていますよ」
「なら・・・いいのですが・・・」
ふむ、杞憂だったか。
「すみません、今は情報があまり入ってこなくて、情報が錯そうしているのです」
「どういう事ですか」
「二日前に伝令が来て、まだ持ち堪えているらしいのですが、今日、冒険者の何人かが怪我をして戻って来て、話を聞くと食糧などの物資が不足していて士気も低く、もう持たない、みたいな事を言っていたのです」
「たぶんそれが最新の情報でしょうね」
「だけど、一番新しい情報はメンデル子爵様の所に集まる筈ですから、何が正しい情報か精査しませんと」
「そうですか、解りました、どうもありがとうございました」
「ジローさん、くれぐれもこの事は街の人達には内密にお願いします」
「解りました」
どうやらバルト要塞はマズイ状況になっている様だ、もしバルト要塞が落ちたら次に襲われるのはこのサラミスの街だ。そりゃあ内密にしたいわな、でなきゃパニックになる。俺もこれからどう動くべきか考えないとな。
とりあえず、もう夜も更けてきた、晩飯を食べて馬小屋で早いとこ寝よう。
俺は冒険者ギルドの酒場で夕食を食べて馬小屋で眠りについた。
次の日の朝、
冒険者ギルドに行こうとして道を歩いていると騎士グレンに呼び止められた。
「ジロー殿! 丁度よかった、姫を、サリー王女を止めて下され!」
「おはようございます騎士グレンさん、どうかしましたか?」
「昨日の夜、メンデル子爵の元に知らせが届いたんじゃ」
「と、言うと」
「落ちた! バルト要塞が陥落したのじゃ!」
「ええ!? 大変じゃないですか!」
「生き残った王国軍兵士は要塞を脱出! 冒険者の何人かが捕まっているようなんじゃ!」
「え、ルビーさんやサーシャもですか!」
「解らん、とにかくサリー王女様はルビー嬢達を助けに行くと言って聞かんのじゃ」
なんてことだ、ルビーさん達が捕まった!? 何かの冗談だよな!
オークってのは性欲旺盛なので有名だ、そこへ女性冒険者が捕まっているなんて。
「ジロー殿、とにかく急いで冒険者ギルドに来てくれ」
「解りました」
俺と騎士グレンは冒険者ギルドへ向かう、サリー王女様が無茶を言っているらしい。
冒険者ギルドに着くと、ビキニアーマーを装備したサリー王女様が受付のお姉さんと何か言い合っていた。
「なんでルビーお姉様が戻ってないのです!」
「で、ですから情報が乱れていて詳細はわからないのです」
「もういいです!」
サリー王女様はこちらへとやって来た。
サリー王女様はビキニアーマーにレッグガード、ごついガントレットを身に着けている。平時なら目の保養だが、今はそんな事言ってられない。
「ジローさん、わたくしこれからバルト要塞に行きます。ルビーお姉様達を助けに行きます!」
「サリー王女様、俺も行きます」
「な、なんですと!? ジロー殿、サリー様をお止めして貰いたかったのに」
「すみません騎士グレンさん、俺も仲間は心配なんですよ」
サリー王女は腕を組み、一つ頷いた。
「よくぞ言って下さいました、共に参りましょう!」
「え~い、わかったわい! ワシがサリー様の護衛をする! いいですなサリー王女様」
「ええ、勿論です、ありがとう騎士グレン、それにジローさんも」
「いえ、俺も行くべきだと思っただけですから」
そうこう話ているといつの間にかファンナがやって来ていた。
「あの~、お話は聞いていました、私も行きます!」
「ファンナ、すごく危険だよ」
「バルト要塞が落ちたのなら、次に戦場になるのはここ、サラミスの街です、この街には家族がいます、ここを戦場にしたくありません、だから私も行きます!」
「ファンナ・・・覚悟は出来ているようだね、・・・正直言ってファンナの魔法少女を当てにしてたんだ」
「う、は、恥ずかしいですけど頑張ります」
「頼りにしてるよ、ファンナ」
これで役者は十分、あとは移動手段だ、ここからバルト要塞まで徒歩で二日、馬なら半日といった所か。
「騎士グレン、馬の手配を」
「は、サリー様」
やはり馬で行くようだ、しかし、俺は馬に乗れない。乗馬とかやった事無い。
「あ、すいません、俺、馬に乗れなくて・・・」
「あ、それなら私が二人乗り出来ますよ」
ファンナが二人乗り出来るらしい、馬の扱いに慣れているのかな。
「そうなんだ、頼むよ、ファンナ」
「では、馬を三頭手配しましょう、早速行って参ります」
騎士グレンさんは馬屋に向け、駆けて行った。
「じゃあ俺達は回復薬と食糧をできるだけ多く買ってこよう」
「はい、ジローさん」
こうして俺達はそれぞれ動くことにした。そして用を済ませてサラミスの街の門に集合した。目指すはバルト要塞、危険だが行くしかない。ルビーさんやサーシャ達を救出しに。
おじさんやれるだけはやるよ




