危険予知
子供というのは親の言う事を聞かない事の方が多いと思う。
「勉強しなさい」と言われて素直にする子供と、それでも遊びたいと言う子供では、後者の方が多いんじゃないだろうか?
俺がそうだったから、俺の周囲にそう言う人間の方が多かっただけかもしれないが、俺は好奇心で危険な事に手を出す子供ってのは多いと思う訳だよ。
「申し訳ありません!!」
頭なので派手に出血したけど、子供の怪我は深刻なものではなく、フレーバー程度にしか意味の無かった回復ポーションで簡単に治った。
さすがファンタジー。ファジーの仲間だけはある。
冗談は横に置き、今回の件で俺が責任を負うことは無い。
ちゃんと告知はしたし、そうと分かるように囲いもした。全方位に人を配置してはいなかったが、最後の声掛けもした。
そこまでしても、危険を危険と理解できずに入り込む子供がいることにまで、責任は取らない。
これが日本なら「子供が入り込めるような状況にした俺が悪い」と言われるんだろうけど、ここで町長である俺にそこまで強気に出られる一般人はいなかった。
現代風世界ではないから、法と権利と責任のあり方が現実と大きく違うのだ。
この世界に少年法は無い。子供だからと見逃してはもらえないのだ。
……その割には、現実世界を意識して、細かい配慮をしているのは気になるところだけどね。
そこを突っ込むと「異世界、つまり異なる法律の国に行ったとき、現地の法に素早く適応するための経験を積んでいただく為です」という回答が返ってきた。
あれはアウトでこれはセーフ。とても恣意的だ。
大人って、汚い。
さて。
法的に問題なかったとしても、事故再発防止は日本企業のお家芸だ。
KY活動でもやろうか。
会社にもよるけど、製造系や建築系では毎日のように「KY活動」というのをやる、らしい。
KY、「空気嫁」でなく「危険予知」である。
より安全な仕事をするためのものである。
似たようなものに「リスクアセスメント」という職場環境の安全性を高めるための活動もある。
職場に存在する危険にランクを付けて危険度の高いものから優先的に対処するらしいが、今回はKYの方を行う。
「んじゃ、予測される危険を考えようか」
俺は適当に捕まえた解体班の人間と一緒に、問題点の洗い出しとその対策について考えるのだった。




