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キャラメイクに失敗して幼女になった僕は、いつの間にか最凶ギルドのマスターに!?  作者: 向原 行人
第4章 幼女護衛ギルド設立

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第20話 眼鏡っ娘

「ギルドって凄いね。短時間でバカ兄ぃから分配される経験値を遥かに超えちゃうんだね」


 塔の入口で喋っているだけで、あっという間にアオイのレベルが二つも上がってしまった。

 いや、僕たちがこうしている間にも、ギルドメンバーの方々がモンスターを倒しまくってくれているのだけど。


「だけど、良いのかな? 僕たち、何もしてないよ?」

「うーん。バカ兄ぃは、お母さんの帰りが遅い時にご飯作ったりしてあげるけど、確かにギルドの人たちには何にもしてあげられてないかなー」

「ご飯!? 僕、流石にご飯は作れないかな……」

「あ、これは私の話だよ。ツバサちゃんは、いつも通りにしてくれているだけで良いの。その可愛らしさだけで、私を含めて皆のやる気が上がるんだから」


 そう言って、アオイが何をしてあげようかと考え込んでいる。

 だけどこの僕の可愛らしさは、僕のものではなくて、渚の可愛らしさなんだよね。

 気付くのが遅すぎたっていう過ちはあるものの、今更これを変える事も出来ないし、本当の事を吐露しても皆の気分を害するだけで、誰も幸せになれない。本当にどうしたものだろうか。

 僕とアオイ。二人して考え事をしていたからだろうか。

 入口付近とはいえ、ダンジョンの中だというのに警戒を怠っていた僕は、突然視界が真っ暗になって、何も見えなくなった。


「えっ!? な、何!? 何が起こったの!? アオイっ! 助けて、アオイっ!」

「ツバサちゃん!? どうし……このぉっ!」


 何が起こっているかは分からないけれど、傍でバタバタと何かが動く気配はする。

 だけど突如視覚を失った僕には、自分の身に何が起こったのか、全く分からない。


「どこ!? アオイっ!」

「ツバサちゃん。ちょっとだけ待ってね。あと少しだからっ!」


 少し離れた場所からアオイの声が届いたかと思うと、ブンッと何かを振り抜くような風を切る音が数回聞こえてくる。

 だけど、未だにアオイが僕の傍に戻ってきた気配は無い。

 ……何かと戦っている? いや、ここはダンジョンの中なのだから、モンスターと戦っているに違いないだろう。

 ようやくそこまで考えるに至り、僕はアオイを支援するために歌い出す。


『勇気の歌』


 回復はアオイ自身で出来るはずだから、少しでもダメージの増加をと、攻撃力が上がる歌にした。

 とりあえず戦っている気配がする方向に歌い続けていると、突然視界が回復する。


「ツバサちゃん、ごめんね。もう大丈夫だから。この人が助けてくれたの」


 歌を止めてアオイの隣に立つ人を見上げると、見知らぬオジサンが立って居た。


「あの、ありがとうございます」

「大丈夫かい? 今戦っていた、ブラックスライムっていうモンスターは、暗闇の状態異常を引き起こす毒攻撃をしてくるんだ。それに、メイスや杖といった打撃ではダメージを与えられないからね。戦うなら剣や魔法じゃないと」

「そうなんですね。すみません。実は、考え事をしてしまっていて」

「スライム系は状態異常を使ってくる奴が多いから気をつけてね。……そうだ、これをあげるよ」


『赤縁眼鏡を受け取った』


 赤い縁の眼鏡?


「その眼鏡には、少しだけ暗闇耐性があるんだ。完全耐性には程遠いけれど、無いよりはマシだと思うし、是非装備してみてよ。ちなみに、レンズに度は入ってないから、視界が変になることは無いからさ」

「ありがとうございます」


 せっかくのご厚意なので、早速ステータスウインドウから装備してみる。

 聞いた通り、視界に変化は全く無いが、


「おぉぉぉ。小学生眼鏡っ娘……イイッ!」


 オジサンの呼吸が荒くなっているのは……いや、深く考えるのはやめておこう。

 このオジサンは、善意で眼鏡をプレゼントしてくれたんだ。


「あ、あの……ツバサちゃん。今、オジサンはソロで来ているんだ。よければ、そっちのパーティに入れてくれないかな? そうしたら、もっと安全に狩りが出来るよ?」

「いえ、助けてくれて非常にありがたいのですが、今ギルドの皆と狩りに来ていまして」

「あ、そういう事か。ツバサちゃんが参加しているギルドかぁ。ギルド名は『天使護衛団』と。……えっと、よければギルドマスターさんに紹介してくれないかなー?」

「えっと、一応僕がギルドマスターなんです」

「えっ!? そうなの!? じゃあさ、オジサンをギルドに入れてくれないかな? まだ二次クラスになったばかりで、レベルは32だけど、ツバサちゃんの為に頑張るからさっ!」


 どうしよう。ギルドに入りたいって言ってきたけど、ここで勝手に僕が承認しちゃって良いのかな?

 僕が何も言えずに居ると、アオイちゃんが申し訳なさそうに口を開く。


「あの、実はツバサちゃんのギルドは、入りたいって言ってくださる方が他にもおられて、今その対応のためにギルドレベルを上げようって狩りに来ているんですよ。だから、もう少ししてから声を掛けてくださると、良いかもしれません」

「あー、なるほど。人気があり過ぎて、枠が足りないんだ。分かった。じゃあ、順番待ちって事でお願いして良いかな?」

「分かりました。その旨を、他のメンバーにも伝えておきます。一先ず、今の拠点は森の中の村ですので、何かあればそちらへ」

「分かった。ありがとう。じゃあ、数日後に覗きに行ってみるから、枠が増えた時にはよろしくねー!」


 助けてもらった上に、アイテムまでくれたオジサンが、手を振りながらダンジョンの奥へと進んで行く。

 一応、良い人……のはずだ。


「ごめんね。ツバサちゃんを護るって言っていたのに、モンスターが近づいているのに気が付かなくて」

「ううん。僕も気が付かなかくて、ごめんなさい」


 互いに謝りあった直後、いつものメッセージが表示される。


『おめでとうございます。レベルアップしました。レベル28です。尚、年齢制限モードのため、ステータスは自動割振されました。スキルの取得は手動となります』


「え? レベル28!? どうして一気にレベルが五つも増えているの!?」

「一気にじゃないよ? ツバサちゃんはさっきまでレベル27……あ、もしかして、暗闇の状態異常を受けていて、レベルアップのメッセージが見えてなかったとかかな? 私が戦っている間に何度か出てたよ?」


 なるほど。同じパーティのアオイに僕のレベルアップメッセージが出ていたのか。

 だけど、いくら暗闇状態とはいっても、システムメッセージは見えるようにして欲しいなぁ。

 リアルを追求するが故のシステムなのかもしれないけれど。


『アオイがレベルアップしました。レベル27です』


 そして、また唐突にメッセージが表示された。

 僕はアオイのレベルを22だと思っていたから、やっぱり何も見えない間に、二人ともレベルが上がっていたみたいだ。

 しかし、まだ一時間程しか経っていないというのに、もうレベル30に届きそうになっている。

 二次クラスは支援特化のミンストレルになると決めているけれど、まだ暫く時間が掛かると思っていたから、転職に必要な条件を調べてないよ。

 素直に冒険者ギルドで提示されるのを待てば良いのだけれど、予め内容を知っておきたいというのが本音だ。

 今晩にでも、ネットで情報収集をしておこうと考えていると、


「二人ともお疲れ様。そろそろギルドレベルが上がっていて、ギルドスキルを取得出来るんじゃないかな?」


 シュタインさんが率いるパーティが戻ってきた。

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