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キャラメイクに失敗して幼女になった僕は、いつの間にか最凶ギルドのマスターに!?  作者: 向原 行人
第3章 一人前を目指して

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第15話 兄妹

「ただいまー」


 今日も帰宅してから渚が抱きついてこない。

 また僕の部屋に居るのだろうか。

 小さく溜息を吐きながら、部屋に入ると、


「んーっ! ふぅ……あ、お兄ちゃん。おかえりー」


 僕のベッドに寝転んだままの渚が大きく伸びをした所で、無い胸を逸らした状態で目が合った。


「え? ちょっと、渚!? 何をしているんだ!?」

「ん? お兄ちゃんのベッドで寝てただけだよ?」


 渚が寝転がったまま、キョトンとした表情で僕を見つめてくる。

 だけど、渚が僕のベッドで寝ているのも、胸を逸らしても全く膨らみが無い事も、短いスカートから水色のパンツが見えている事も、別に構わない。

 しかし、しかしだ。


「寝ているだけ……って、どうして、そのヘルメットが枕元にあるの!?」


 僕はフォーチュン・オンラインをプレイするための装置は、プレイした後は必ず棚に仕舞う。

 ベッドに置きっ放しだなんて事は絶対にしないのに。


「これ? お兄ちゃんが、これを被ると良く眠れるって言ってたから。渚は使っちゃダメなの?」

「え? あ、えーっと、そうだね。良く眠れるけど、お昼寝し過ぎると、夜に寝れなくなっちゃうでしょ?」

「えー。お兄ちゃんも、よくこれを被って眠ってるよー。お兄ちゃんだけズルいー!」

「お兄ちゃんは受験勉強が大変だから、仕方が無いのー。それより、ほら。勉強するから、自分の部屋へ戻って」


 ズルいズルいと連呼する渚を部屋から追い出し、僕は早速ベッドにダイブする。

 今日からヘルメットはどこかに隠すべきだろうか。

 そんな事を考えている間に、視界が水の街へと変わった。

 一先ず冒険者ギルドの空間移動サービスを利用して、旅人の街へ戻ると、


「えー。それより、こっちの方が良いよー。ドロップアイテムだって美味しいし」

「いやいや。今は、とにかく数をこなさなきゃいけないから、弱くても湧きが良い、ここだって」


 男女の話し声が響いている。

 どうやら、どこへ狩りに行くのかを決めているみたいだけど、どこかで聞いた事がある声だ。


「じゃあさ、百歩譲って……」

「ん? どうしたんだ、アオイ。突然黙り込んで……」

「ツバサちゃーんっ! 久しぶりーっ! 会いたかったよー!」


 椅子を蹴倒して、大きな胸の女の子が――アオイが僕に飛びつくようにして抱き締めてきた。

 ムニムニと大きな胸が顔に押し付けられる。

 弾力、弾力が凄い! けど、ちょっと苦しいよっ!


「おいおい、アオイ。ツバサちゃんが苦しんでるぞ」

「あ、ごめんね。大丈夫だった?」

「まったく。ツバサちゃん、ごめんね。無駄に胸だけ大きく育って、考えの足りない妹が……ふげぇっ!」


 アオイのお兄さんだという大学生くらいの男性が、アオイのメイスで吹き飛ばされる。


「えっと、確か街の中では攻撃出来ないんじゃなかったっけ?」

「ツバサちゃん、良く知ってるわねー。でも、大丈夫。パーティを組んでいるメンバー同士だと、攻撃も出来るし、ペナルティも受けないから」

「俺が大丈夫じゃねぇよっ! そもそもテニス部で鍛えられたスイングを、メイスに活用させて兄を殴るなよっ!」


 あ、なるほど。前にメイスのキレが良いと思ったのは、殴りアコライトじゃなくて、リアルの身体能力のおかげなんだ。

 一瞬、大きな胸を揺らし、スコートをチラチラさせながらテニスコートを走るアオイを想像してしまった。いいなぁ、テニス女子。


「あぁーっ! ちょっと待って! ツバサちゃんの名前に音符アイコンが付いてるっ! それって、バードのアイコンだよね? ツバサちゃん、もう一次クラスになっちゃったの!?」


 突然、アオイが大きな声を出して、驚かされる。

 そう言えば、一次クラスの転職を手伝うって言っていたっけ。


「ごめんね。せっかく手伝ってくれるって言ってくれていたのに」

「ううん。私がログイン出来なかったのが悪い訳だし、気にしないで」

「ふっふっふ。残念だったな。ツバサちゃんは俺の提案でバードに転職したんだ。そして、もちろんこの俺も、ツバサちゃんの転職に一役買って……って、痛いからっ! メイスでグリグリするのやめろよな!」


 アオイのお兄さんは、僕の転職を手伝ってくれた人なの?

 背が高いお兄さんの顔を見上げると、確かに見覚えがある。そして、背伸びをして名前を見ると、


「あ! コージィさん! あの時はありがとうございました」

「はっはっは。いやいや、ツバサちゃんの為なら、俺はいつでもどこでも何にでも協力……ちょ、アオイ! 地味に足を踏むのはやめてくれって!」


 コージィさんの顔が若干歪んでいるけど、二人は仲が良い……よね? 一緒にゲームしているくらいだし。


「ねぇねぇ、ツバサちゃん。今日は、お姉ちゃん時間があるから、一緒に狩りへ行こっか。沢山支援してあげるからねっ!」

「あ、それなら俺も俺も。ツバサちゃんと同じパーティになったら、俺が抱きついてもペナルティは……ごふぅっ!」

「ツバサちゃんは、バードなのねー。だったら、どこが良いかなー」

「アオイ。メイスのフルスイングはやめような。それはもう、ツッコミってレベルを越えて殺意を感じるから……あ、いや、何でもないです。とりあえず、俺も仲間に入れてください」


『アオイ レベル20からパーティへの参加要請が来ています。参加しますか?』


 メッセージに応えてパーティに参加すると、二人の体力が表示されるようになったのだけど、


「あ、アオイ! お兄さんの体力が一桁だよっ! 回復してあげてっ!」


 アオイのツッコミ? で、コージィさんが瀕死状態になっていた。


「じゃあ、うちのバカ兄ぃが前衛で、私とツバサちゃんが後衛ってトコかな」

「おーい、アオイー。お前の兄ちゃんが死にかけてるぞー。回復しろー」

「作戦は、バカ兄ぃを一人でダンジョンの奥に突っ込ませて、私とツバサちゃんが入口でお喋りして待っているの。私はツバサちゃんにくっつけるし、ツバサちゃんは経験値が入る。Win-Winの関係よね」

「いや、それは俺が即死するから」

「じゃあ行き先はー、モンスターが多い事で有名な、黒の森のダンジョンにしよー」

「だから、回復ぅぅぅーっ!」


 偶然だけど、三日ぶりに再会出来たアオイとパーティを組み、僕たちは目的地の近くである、森の中の村という場所へ移動したのだった。

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