表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺解釈三国志  作者: じる
第八話 歳在甲子(光和七年/184)
109/173

2 警告(光和六年/183)

 皇帝劉宏は上訴されてきた竹簡を自ら手に取った。侍御史の劉陶と奉車都尉の樂松、議郎の袁貢が連名したものである。


 こうあった。


聖王は天下を耳目とするゆえ見聞できない事がないとか。今、張角は配下を数えきれない程かかえております。前司徒の楊賜は州郡に勅して張角の配下である流民を本籍地に護送し力をそいでから捕らえたいと奏上しておりましたが、その地位を去らねばならず、捕縛に至りませんでした。張角の配下は京師みやこに潜入し、虎視眈々と朝政を窺っておりますが、州郡はそれに目をつぶっております。陛下の詔を以て張角に懸賞金を掛け、彼らを黙認するのは同罪であるとお示しください


「ふむ」


 劉宏は竹簡の字を指でなぞり、ほれぼれとした表情で言った。


「美しい字だ」


 当然筆は達人樂松のものだ。劉宏は後ろに控える張讓に尋ねた。


ちちよ。張角とやらはそんなに危険なのか?」


 張讓は首を捻って考え込んでから答えた。


「讓は常にここにおりますので市井の事には詳しくありませんが、太平道なる黄老の教祖と聞いております。下々にはそういった心の慰めも必要では?」


 劉宏はしばらく竹簡を眺めていたが、劉陶の名を見て思い出した。劉陶、字は子奇。春秋や尚書に精通した学者でもある。


「良いことを思い付いた。劉陶に春秋を條例毎に分けて講釈するよう、詔を出そう」


 これが一年前の事である。劉宏は警告を受けた。だが悟らなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ