表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チート転生-おふとんで『うにうに』するだけで今日も世界は平和だった-  作者: あーのるど
第1章 春は、ほのぼの

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/36

第一話 おふとんで、うにうに。

初めまして。


初めての連載投稿です。


楽しんでいただけたら幸いです。

「いつまで寝てるのー!もうお昼よ、そろそろ起きなさーい」


 お母さんの声が聞こえる。でも、無理だ。布団が「まだいっちゃ嫌だ」ってボクを呼んでる。


 ふとんの中で、うにうにする時間は至福なのだ。

 世の中にこれ以上幸せな時間はないのだ。


 あっち向いてうにうに。こっち向いてうにうに。


 これは、とても大事なことだ。


 人類はもっと真剣に考えるべきだと思う。


「……ふにゃぁ……」


 朝のおふとんの中でうにうにしていた。


 もぞもぞ。

 ごろごろ。

 ぬくぬく。


「しあわせ……」


 春先の朝。少しだけひんやりした空気。でもおふとんの中はあったかい。


 つまり最強である。


 ボクは顔だけ出して、ぼんやり天井を見た。


「みんなはどうして早く起きるんだろ……」


「さっきからから何言ってるの」


 部屋の前でお母さんの声が飛んできた。


「だっておふとん気持ちいいし……」


「ホントにあんたはおふとんが好きだよねぇ。意味わかんないけど(笑)さっき呼んでからもう30分経ってるのよ。さぁ、早くご飯食べて」


 あれからもう30分も経ってたとは。ふとんの中の時間はこの世界とは別の時間が流れているのかも。


 そのまま再びおふとんへ潜る。

 もぞもぞ。


「うにうに……」


「その“うにうに”ってなに?」


「おふとんを楽しんでる音」


「初めて聞いたよ」


 母はため息をついた。


「ねぇ」


「んー」


「ご飯食べたらコンビニ行ってきて」


「えぇ、無理だ……」


「アイス買ってきて、自分の分も買ってきていいから」


うーん、究極の選択である。食後のおふとんは最強だけどアイスも捨てがたい。


「ん、分かった。」


   ◇


 ご飯を食べ終わりボクは、眠そうにしながら歩いていく。


「ふぁー」


 あくびが出る。まだ眠い。

 外に出たことを後悔している。


「やっぱり帰ったらまた寝よ」


 その時だった。


『危なーーーい!!』


「へ?」


 ぴかっ。

 どーん。

 ふわぁぁぁぁぁ……


「…………」


「…………」


「…………ん?」


 気づくと、真っ白だった。

 床も白い。空も白い。なんか全部白い。


「……ここは寝てもいいのかな?」


「いいえっ! ここは異世界転生会場なのでダメです!」


「うわっ」


 突然、目の前に女の人が現れた。

 ふわふわした服。きらきらした髪。なんかこう、全体的に“女神さま!”って感じ。

 でも。


「やっほー!」


 すごく軽い。


「……だれ」


「女神ですよ!」


 えっへんと胸をはる。


「そっ……」


「えっ」


 女神さまはショックを受けた顔をした。


「もっとこう、“神々しい……”とか"美しい……"ないの!?」


「眠くて。寝てても……いい?」


「自由だな君!?」


 ボクはその場にぺたんと座った。


「つまり?」


「はい、あなたは死にました!」


「そっかぁ」


「軽っ!?」


「これで、いつまでもねむれるし……」


「人生への執着が薄い!」


 女神さまはわたわたしながら説明を始めた。


「えーとですね!あなたをこれから異世界へ転生します!」


「えぇ、このままでいいよ。」


「いいえ、ダメです。それに、特典もありますよ。パンパカパーン。なんと特別な能力を授けます!」


「おふとんください」


「へっ!?ふとん??それでいいの?早いな、君は!?」


「ふかふかのやつ……」


「いやもっとあるでしょ!? 剣とか魔法とか!」


「ねむれる場所もほしい……」


 女神は困った顔になった。


「うーん……」


 考える。

 とても考える。

 腕を組む。

 うなる。


「……よし!」


 ぱちん!


 指を鳴らした。


「“おふとん召喚”でどうですか!」


「おぉ……」


 ボクの目は少しだけ輝いた。


「いつでもどこでもおふとん出せます!」


「最高……」


「しかも!」


 女神さま、ノってきた。


「寝てる時は気持ちよく寝たいよね!」


「うん」


「よし、回復つけて快適にしよー!」


 ぴかーん!


「身体のわるいところも治しちゃえー!」


 ぴかーん!


「痛いのも嫌だよね!」


 ぴかーーーん!


「わるいやつは弱くしちゃお!」


 どかーん!


「周りの人はパワフルにしよ!」


 ばばーん!


「上手く倒せたら、ご褒美(経験値)もいっぱいないとね!」


 ずどーん!


「…………」


「…………」


 なんか周りがキラキラしてる。ボクは首をかしげた。


「なにしたの?」


「ちょっとだけ快適にしたよ!」


 快適になるなら、いいやぁ。

 女神さまも満足そうだし。


「よーし!これで安心安全快適異世界ライフ!」


「もう寝れる?」


「いっぱい寝れるよ!」


「やったぁ……」


 その瞬間。

 ふわり。

 ボクの身体が光に包まれた。


「では行ってらっしゃーい!」


「んー……」


「あっそうだ!」


 女神さまが思い出したように叫ぶ。


「その能力で、世界を救っ――」


 ぽーん。

 ボクは、転送された。


「…………」


 静寂。

 女神は固まった。


「説明途中だったけど、まぁ、いいか。…………あれっ、ふとん、盛り過ぎたかな?」


 今さらである。


   ◇


「おぎゃー」


『あらぁ、元気な男の子!』


 次にボクが目を覚ました時。

 赤ちゃんになっていた。


「おぎゃ」


『ふふ、かわいい〜』


 知らない女の人に抱っこされている。

 でも。


「……ふにゃ」


 やわらかい布。

 ぬくぬく。

 あったかい。

 これはつまり。


(おふとん……)


 幸せだった。

 さっそく潜り込む。もぞもぞ。


『あら?』


 うにうに。


『なにしてるのかしら?』


「ふにゃぁ……」


 その瞬間。


《固有能力『おふとん召喚』を確認》


《快適睡眠領域を展開します》


《全自動安眠補助を開始》


「すやぁ……」


『寝るの早くない!?』


 生後数分で爆睡だった。

 ちなみに。

 その日。

 ボクの周りはすごく快適だったらしい。


『なんかこの子の近くにいると、あったかいわねぇ』


『肩こり軽くない?』


『眠くなってきた……』


 なお本人は。


「すぅ……すぅ……」


 まったく気づいていなかった。

 なぜなら寝ていたからである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ