この豚……いえ、わたくしにムラムラしていますわ!
今度こそ ボボにも出来る R15
「少しずつ、慣らしてみようか」
ヒューバート様は、穏やかな声でそうおっしゃいました。そうしてわたくしを自分の膝の上に跨らせ、しっかり向かい合わせにしたのです。
わたくしはヒューバート様を見上げて瞬きました。
「慣らす? 同衾したように?」
「うん、夫婦らしい雰囲気になるようにね」
確かにこれではまだ、兄と妹ですわ。いえ、親子? 子供のように抱っこされたままの自分を、情けなく思いました。
兄妹でも親子でもなく、男女の雰囲気にならなければならないのに。
「慣らした方が、君の体にも負担が無い」
「負担……でも、どうやって?」
ヒューバート様のヘイゼルの瞳が、ランプの明かりを照り返し、金色に輝きました。なんとなく、猛禽類を思わせる瞳だと思いました。
「とにかく、始めてみよう」
穏やかな声で言われ、わたくしは頷くと、ナイトドレスの肩紐に手をかけました。けれど、みっともないこの体を見られたくなくて、思わず躊躇してしまいます。
肩紐を握りしめたまま先に進めずにいると、ヒューバート様は首を横に振りました。
「そんなこと、君はしなくていい。それは脱がなくてもいい仕様みたいだし」
やはり……裸は必要ないのでしょうか。見たくもない、とか……。
クイと顎を上げられて、わたくしは目を見張りました。彼の美しい顔が近づいてきたからです。
あ……キスだわ。あのうっとりするようなキス。
わたくしは目をつぶって準備いたしました。
「──っ」
温かい感触がわたくしの唇に押し当てられました。何度も、何度も、角度を変え、離してはくっつけ、まるで温度を分け合うように、柔らかな唇が密着するのです。
恍惚としてしまう、素敵なキス──。これが恋人や夫婦のキスなのですわね。
ため息が零れるわたくしの唇を割り、その時、何かが入り込んできました。
「──っ!?」
唇の奥に温かいものが触れ、甘い痺れが広がっていきます。胸の奥から熱いものが込み上げ、体の力が抜けていくのを感じました。
肩紐がずり落ち、素肌に彼の指先が触れた瞬間──わたくしは思わず震えました。
裸で悩殺する前に、いきなりこんな……。
ヒューバート様のヘイゼルの瞳が、ギラギラと飢えたような光を放ち、こちらを見据えていました。
これは……これは……まぎれもなく彼は、ムラムラしているのですわ!
びっくりして仰け反ろうとすると、ヒューバート様の目がすっと細められました。
わたくしの頭を両手で押さえ込み、逃げられないようにされます。
ヘッドロックですわ!
長く執拗なキスのあまりの気持ち良さに、わたくしはされるがままになってしまいました。
爽やかなシトラスの味がわたくしの中に押し入ってきて、ヒューバート様と溶け合ったような気持ちになったのです。
夫婦のキス……なんて、深いの……。
わたくしは、負けじと彼のキスに応えました。彼の瞳が歓喜に潤んだのが分かりました。
ヒューバート様、ヒューバート様っ、ヒューバート様ッ!
しかしついに呼吸がもたなくなり、わたくしはプハッと唇を離して荒い呼吸を繰り返しました。
そして、ようやく話すことができたのです。
「わたくしたち……深く繋がりましたわね」
「……そう……だね」
掠れた声で、彼が同意しました。それでわたくしも、囁くように言ったのです。
「ヒューバート様とひとつになって、気持ち良かった」
「──っ」
ヒューバート様は何かを堪えるような顔をなさいました。
「シンシア……とても上手だったよ。さ、次はもっと深く、親密に──」
「素敵でしたわ、ヒューバート様! さすがヒューバート様です! 滞りなく初夜を完遂できましたわね! 明日には子供ができているかもしれません!」




