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ガラクタジジィは今日も拾う  作者: じじぃになりつつあるもの
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【契約を迫る】

ちょっとへこんでました。

年とっても、へこむときはへこむな。

そして、今日は酒の残りを呑んでいました。

つまみを変えようとしてたけど、ちょっと兄姉が来てつまみとして提供したので、あんこうの焼いたのの残りのみしかありませんでした。

焼きあごと、するめっぽくしたイワシがあったんだけどなぁ。


その様子を"銭洗い"もサクラチップ商会の人達も呆然とその様子をみているしかできなかった。


色々とガラクタジジイの噂はあれど、直接かかわることはそうそう多くない。


そして、関わってよいことが起こることはかなり稀だ。


「あー、落ち着くわい」


腰を曲げて、長い手を地面につけて地面を弄るようにしながら歩きだす。


「さてと、お前ら、ワシを殺してタダで済ませようとしとるんじゃないじゃろうな?」


ゲーム内ならではの台詞に、弱冠引き気味になるものの、"銭洗い"もサクラチップ商会も逃げようともしていない。


いや、逃げるところまで意識が回っていないだけなのだろう。


「申し訳ございません!

 あなたを轢いたのは、御者であるこの私! 私にのみ責任がございます。

 責任を問うのなら、この私にこそございます!」


誰よりも現状を把握した御者の人は、ガラクタジジイの前にでると、勢いよく謝りだす。


土下座せんばかりではあるものの、街道とはいえ外、ましてや狼に追われていたことを考えればそのような動けない状態にはならず、ひたすら腰を折って謝っている。


「なにを言うておるじゃ?

 雇用主に責任があるに決まっておるじゃろが。

 それともなにか? お主は勝手にそいつらを乗せて馬車を引いていたとでもいうつもりかのう?」


その話にようやく自分の意識がまともにもどったのか"銭洗い"の一人が口を挟みだす。


「ああ、まぁそうか。

 そうだよな、まぁあんたらの問題みたいだし、俺らは先においとまするよ。」


「はぁ!

 ふざけるんじゃねぇ!

 ワシを殺したのはお前らでもあるんじゃぞ!」


そのまま離れようとする"銭洗い"に対して再度激昂して怒鳴りつける。


「あの時声なぞ掛けんかったら、ワシは生き残っておったわ!

 第一、この呪いはワシとしても不本意なんじゃ、移動が面倒になるからな。

 道がまともに使えなくなるし、障害物じゃないから、分かりにくいし、直るのに時間がかかるからの。」


確かに、ひと声かけて馬車が来て轢かれた。

しかし、本当に声を掛けなければ逃げれたのかどうかは分からない。


ガラクタジジイのステータス、実は敏捷は高いらしいが、それで何とかなると聞かれてても頭を捻るだろう。


「後日、示談してやってもいいんじゃが、これにサインをしておいてくれんか?」


急におとなしくなったかとおもうと、懐から二枚の紙を二組それぞれ渡す。


「いや、いきなりこんなのにサインしろと言われても……。」


こちらは"銭洗い"。


「ちょっと、読ませてもらっていいか?」


こちらは"サクラチップ商会"。


商会の方は、それなりの立場の人っぽい方が馬車の中から出てきて確認する。


「ふむふむ。

 ……すまんが、今ある程度の金額を提示してくれるのなら、それで示談として納得してくれんだろうか?

 運営という神が認可している以上、書き換えや書き加えも難しいだろうし。

 誠意としてはどうかと思うが、今はちょっと時間を取られるわけにはいかないのだ。

 まずは、街にいって釈明せねばいかんだろうし。」


アナウンスは、街中に流れたこともあり、出足が遅れれば商会として終わる可能性もある。


そんな時に、示談に時間をとられるのは避けたいというのが心情だろう。


「すまんけど、俺もうちょっとしたらリアルで用事があるんで、抜けさせてもらっていい?」


「いやいや、この状況で抜ける!?」


「いや、リーダーいればいいっしょ?」


「ちゃんとあれもやっているし、何か不利なことがあっても大丈夫じゃないの?」


「あ~、そんじゃ誠意の金額を……。

 おお、これならいいわい"サクラチップ商会"にはこれ以上何も言わんよ。」


"銭洗い"が揉めてるあいだに"サクラチップ商会"との示談は成立したようだ。

大体8桁の数値が動いたと考えてくれれば良いであろう。


「サインねぇ、これって書かずにいたらどうなるの?」


「それを教えてどうする気じゃ?

 第一、悪いのは誰なんじゃろうな?

 示談を後日にするという契約書じゃぞ、べつに書いてもいいじゃろうが?」


ゲーム内でアナウンスまであり、パーティ名や個人名が出ているのだ。


タダで済むと考えるのはあまいだろう。


「「「「「わぉ~ん」」」」」×20


そうこうしているうちに、逃げたはずの狼が戻ってきたようだ。


仲間を連れて、大体100匹くらいの集団だ。


「っち、すまん。

 街に入ってから考えさせてくれ。

 街の中にはいらんと、あの数の狼、死なないまでもやっかいだ!」


問答しているうちに"サクラチップ商会"の面々はすでに街に行ってしまっていて、狼の集団に対応するとしたら"銭洗い"+ガラクタジジイとなってしまった。


さぁ、今こそガラクタジジイの敏捷を見せる時だ!!

へこんだときの心理と身体の状態を再現。

おそろしく、不調と不安が押し寄せるよ。

その時の感覚に慣れてみようかと再現してるのだけど、そのせいか腰にダメージが来た。

今は大体直った。

その間運動してなかったので、身体が重い。


人間、色々と耐えれないものはあるようだ。

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