表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

3

よろしくお願いします!!



「おはよう、リア。」


目を開けた私の目の前にあるのは酷く整った顔。

赤く色づいた唇で美しい弧を描き、嬉しそうに私の名前を呼ぶその人は、


「…おはよう、スグ。ちょっと近すぎるなって思う」


私の恋人であり、現魔王である。


▹▸▹▸▹▸


「だってリアうなされてたんだもの~。僕が安心させてあげようと思って!」


目が覚めてすぐあの顔面凶器を見せられたら逆に鼻血出しすぎて死んじゃう。


「やだよ、目の前にスグの顔あると綺麗すぎて心臓止まりそうになるもん」


「えー今僕褒められてる?」


「褒めてる褒めてる」


「う~ん」


不満そうにしながら私を膝にのせて朝食をとるスグはとても魔王には見えない。

まぁ信じられないほど顔がいいのが、魔力が桁違いである証拠だ。


「それで、どうしてうなされてたの?リアの夢に僕以外が出てくるとかありえなさ過ぎて出てきたヤツ殺したいんだけど、」


「物騒なこと言わないでよ、それにスグも出てきたよ」


「僕も、ってことは僕以外も出てきてるでしょ!」


「それにもう死んでるよ出てきた人みんな。」


それでも不満げなスグの口にデザートのフルーツを突っ込むと、はむはむと私の指まで甘噛みしてくる。

嬉しそうにしやがって…やはり顔がイイ。


あの夢の出来事は、本当にあったことでもう200年は前になるかと思う。

私が目を覚ましたのは全て終わったあとで

「全員殺したよ」

という言葉と共にスグが新しく魔王になったことが告げられた。


まぁ私は所詮将来の魔王妃というものである。

なぜ将来かというと、私たちはまだ実は結婚していないのだ。

魔王であるし誰に承諾を得るわけでもないのだが、スグがどうしても結婚式をしたいと愚図り、そして結婚式をするのならウェディングドレスが大事であるから最高級で最上級の…以下略とスグが愚図り…というわけで先延ばしになっている。


ちなみに今スグの命令で生き残った魔族たちは世界中を駆け回ってウェディングドレスの素材集めをしている。

それでいいのか魔族。


▹▸▹▸▹▸


「はぁ…はぁはぁ…っ!!おもい、だした、アイツあの女…絶対に殺してやる苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで死ねばいいのよ…っ!」


少女はせっかくの可愛らしい顔を歪め、ひとり誰に聞かせるでもなく恨み言をはく。



「う、ぁ…ぁあぁぁぁあ!!」


男は絶望に染まり、騎士にとって己の命とも言える剣を落とし膝をついた。


「魔王城に攻め込むなど!!どうか再考、を…ッ?ぐっ……ァ…魔王…そ、んな…」


少年は目を見開き自身の運命を呪った。


▹▸▹▸▹▸


「…もしかして夢ってあの時のこと?」


やっと私の指を噛むのをやめたかと思ったら、スグはまた話を続けるようだ。


「うん、久しぶりに見たなぁ…軽く100年ぶりくらい?よく覚えてたって自分を褒めたいね」


「そりゃ心臓貫かれそうになったんだもの、忘れてたらびっくりだよ。それにしてもよりによってあいつらだなんて、やっぱしムカつくなぁ…」


心臓を貫かれる、という言葉と同時にスグの手が私の心臓あたりに添えられる。

大丈夫生きてる生きてる


「…ん……どさくさに紛れて胸揉むな」


「えー別にいいじゃん誰もいないし、ね?」


「んー、でも何か今日疲れてるから…や!」


「その気にさせといてー!」


「スグが勝手になったんでしょが!…やっぱ寝る今日疲れた…」


「起きたばっかじゃん…」


そう言いながらもスグは私をベッドまで移動させてくれる。


「おやすみリア、いい夢を。」


「んぁ……」


返事をして目を閉じる…そうだ、さっきまでは嫌な夢を見てたから寝たきになれなかったのかもしれない…そうして私は眠りに落ちた。


▹▸▹▸▹▸


「ん~可愛いなぁリアったら。」


僕はリアの髪を手で梳く。

細い手足はすらりと長く、出ているところは出ているというのに華奢な体つき…まぁ胸は僕が育てたんだけど。


腰まで伸びた濡羽色の髪は彼女がどれだけ神に愛されているかが伺える。


最近魔王…つまり僕の討伐を求める声が各地であがっているときく。

僕はただリアと和やかに、楽しく過ごせればいいだけなのに。

人間共に興味なんてないのに、勝手に盛り上がって勝手に討伐とか言っちゃって気持ち悪い馬鹿みたいだ…いや馬鹿なんだった。


今まではどうでもよかったから放っといてあげたのに自分たちから殺されにくるなんて愚かだとしかいえない。

リアは人間どもを自分たちの仲間だと思ってるらしく人を殺すのは好まない。


僕もリアを悲しませたくはないから、まぁ好き好んで殺したりはしてなかった。

でも、さ、リア。

僕達を同族から外したのはアイツらなんだよ?

先代の魔王だって悪いことなんてしていない、ただ迫害されたもの同士で結束して生きてただけなのに魔のモノ扱いだ。


僕だって別に大したことはしてない、なのにアイツらは自分たちより大きな力を持ってるのが気に食わないってだけで、僕達の暮らしを壊そうとする。


一回くらいさ、分からせてあげた方がいいよね?





初投稿でして慣れないところも多いのですがよろしくお願いします!!

感想、ブクマ、評価等とても励みになりますのでぜひ…!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ