二人
一話を三分割した感じになりましたね。
おかげで戦闘シーンがありません、申し訳ないです。
でも分けたほうが見やすい?
「お疲れ様でした、ケイコウ軍曹の事で自分を責める事はしないでくださいね」
ヤハギに帰艦したナトカを待っていたのはリュウホからの気遣いと
「セブンスを倒して持ち帰った英雄のご帰還だ!少尉とセブンスを見たいなら今の内だぞ!」
英雄としての扱いだった。
それに対してナトカは機体をオート操縦しながら自分の判断に少し迷っていた。
(もしあの時私が先に動いていれば軍曹は死なずに済んだのか……?)
ガイの乗っていたSDの残骸には焦げ付いてこべりつくような死体があるだけだった。
(しかしあのビーム兵器の威力にこの機体が耐えられるという保証は無い……)
もしナトカの機体が撃墜されればガイは一人で四機を相手にしなければならなかった、そうなれば生き残れるとは思えない。
(仮定ではあるが耐えられた場合軍曹は助かった可能性はある、私の判断は……)
「少尉殿!無事でなによりであります!」
ナトカはコクツの声で我に返った。
知らず知らずの内に深く考え込んでいた事に彼女は気づいた。
「ああ、今帰った……後で少しいいか?」
「分かったであります!」
「どうだ軍曹、始末書の調子は」
二時間後、ナトカはコクツの部屋を訪ねた。
「今書き終わったところであります」
「そうか、ならば入るぞ」
ドアのスイッチを押してドアを空け部屋の中に入り、ベッドに腰掛ける。
訓練の際に実弾を誤って装填する。
本来ならば首がとんでもおかしくはないのだがナトカとドラザの進言、なにより艦長であるリュウホが意図を知っていたため結果を重視して始末書で済んだのだ。
「いつ来ても軍曹の部屋は模範といったところだな」
「そうでありますか?」
机に向かって座っていたコクツがナトカの方へ体を向けて聞く。
ベッドに机、服を入れるための収納に壁についたモニターと小さな冷蔵庫。
そして機械の整備についての本が数冊机の上に置かれているだけの部屋であった。
「まあ軍曹も知っているだろうが私とそう変わらないだけだがな」
「そうでありましょうな」
「泥を被せたのは私だ、申し訳ない」
ひとしきり笑った後、ナトカは話を変えて謝罪した。
「自分が泥を被って少尉殿が無事に生きて帰って来れたなら自分はそれだけで十分であります」
「しかし私は部下を殺した」
ナトカは自嘲するように言った。
「艦長には自分を責めるなと言われたがそうはいかないらしい」
「ならば自分は何も言わないであります、自分で答えを探すのが一番でありますからな」
コクツの言葉にナトカは柔かい笑みを浮かべた。
「ああ、その通りだ」
整備士はパイロットの事も考えなければ一流にはなれない___ナトカはコクツの言葉を思い出した。
「しかし軍曹はいつ私を女にしてくれるのだ?」
「えっ!?いやそれは……」
「それにこういう時くらいは名前で呼んでほしいもの、そうは思わないかコクツ」
「わ、わかってはいるであります……」
「ふふっ、そう緊張するな。冗談だ」
次回は戦闘シーンがあるかと。