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赤いキノコは食べられるか?(4)
どうしよう。今日一日ずっと口にしているその言葉を内心にも思い浮かべながら、少女は彼らの姿を見送った。
気になって、でも話しかけられなくて。悶々としているうちに夜になってしまった。彼らと同じ断面に潜ることができたのは、きっと同級生のおかげだろう。彼は自分が神子だとは気付かずにいるが、意識しているのがどちらか一方だけであっても、神子の引力は作用するようだ。
彼らの気配がすっかり遠のいたのを確かめると、少女は朱い光の漏れる扉に近付き、その先の景色を覗き込んだ。夕陽に染まる学校の廊下。何気ないこの風景の先に、今まで以上に恐ろしい悪魔が潜んでいるなんて考えたくもない。
だが、ここまで来て尻込みしていては、いつまで経っても彼らと合流することはできない。彼らが仲間を探しているのは知っている。それでも自分を見つけることができないのは、少女が自ら手を上げようとしなかったからだ。いくら彼らが近くで呼び掛けていようとも、応える声がなければ素通りしてしまうのは仕方のないことだ。
勇気を出さなければ。少女はフルートに似た細長い楽器を胸に抱きながら、恐る恐る扉の先に足を踏み出した。そして、遠くに響く足音を頼りに、ひっそりと追跡を開始したのだった。




