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第7話 朝

 投稿画面で寝落ちしました。

 暖かい。右手から温もりを感じる。それに、そこから何かが流れ込んできているような気がする。


 ちゅんちゅんと鳥の鳴く声が聞こえる。なるほど、もう朝なのか。


 ゆっくりと目を開ける。すると眩しい光が目に飛び込んでくる。すでにかなり日が昇ってしまっているようだ。


 日光によって脳が段々と回転を始める。その頭で、忘れているような何かがあることに気が付いた。何だったかな……そうだ、仕事!


「やば、遅刻……!」


 出勤は9時。流石に日が昇りすぎだ。8時30分の電車に乗らないと間に合わない。初出勤から遅刻など洒落にならない。邪魔苦しい寝間着を体からはがすべく、急いでボタンを外そうと胸元に右手を持っていくと、重い何かを引っ張る感じがした。


「きゃっ……!」


 何か声がした。その方向を見ると、誰かが俺の方に倒れてきていた。咄嗟のことで支えることは出来なかったが、幸いにもその人はベッドに手をついて自分で倒れこむことは防いでくれた。


 俺は一人暮らしだったはずだ。そう思うと同時に、また何か忘れていることがあったような気がしてもう一度記憶を探る。昨日は何があったか。それは、倒れこんできた人の顔を見たらすぐに思い出した。


 変なところにいきなりいて、爆破されて、そいつを撃って、逃げて、眠って……そう、目の前の、俺をマスターと言うこの彼女に助けられた。そこまで思い出したところで、ようやくすべてが飲み込めた。


「……マスター、大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫です。……えっと、おはようでいいのかな……?」


 そういうと、彼女は少しの間きょとんとした表情を浮かべた。何か言うことを間違ったかなと思ったが、彼女はすぐに笑顔を浮かべてくれた。


「はい。おはようございます、マスター」


 よくよく見れば、彼女との顔の距離は20㎝程しかない。こんな近距離で母親以外の女性の顔を見るのは初めてだ。しかも工業系の高校など女子は数えるほどしかいない。そもそも女性とこうして話すこと自体が今までなかった。


 俺だって男だ。女神と見間違えた女性が目の前にいれば照れたりする。顔を直視できなくて目を逸らすと、彼女に小さく笑われた。


「な、なんですか?」

「いえ。マスターって可愛いなと思いまして」


 彼女の言葉に心臓が飛び跳ねた。女性に可愛いなんて、小学生以来のことだ。流石にこの歳になって可愛いと言われて嬉しくないと思いたかったが、彼女に言われると更に緊張した。


「照れる必要なんてないんですよ。私はあなたの僕ですから」

「そんなこと、言われましても。その、あなたが綺麗だから……」

「……ありがとうございます、マスター」


 お世辞ともとれるような返事をしてしまったが、彼女は本当に嬉しそうに感謝してくれた。彼女に落ちてしまいそうだ。女性慣れしてないからかもしれないが、今の俺にはこの状況は厳しすぎる。


 何でもいい、この状況をどうにかしてほしい。その思いが通じたのか、コンコンと音が聞こえてきた。


 周りを見てみると、今いるのは木造の個室のようだ。いつの間にか俺は運ばれて寝かされていたらしい。


『失礼してよろしいでしょうか』


「はい、どうぞ」


 ドアをノックしたのは女性のようだ。近くの彼女が返答すると、ゆっくりとドアが開かれた。


 現れたのは、俺と同じような服装をした、まだ中学生か高校生ぐらいの犬のような耳が生えた女の子がそこにいた。


 ――耳!?

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