第4話 弁解
気分が乗りました第二弾です。
「キャーーーーーーー!」
ちょっと待ってほしい、そんな反応は求めてない。前にいた女の子が急に悲鳴を上げたのだ。流石に話しかけるだけで叫ばれては俺の心が削られてしまう。ロリコンとでも思われたのだろうか、いやそう思われるようなキモイ行動はとってないはずだ。
他に何か叫ばれてしまう要因はないだろうか俺自身を再度確かめる。顔はにやけてない、服装は……正直わからないが多分大丈夫、持っているものは……あ。
「ごめんごめん。ほら、これで大丈夫、怖くないよ」
持っていた銃を近くの椅子に立て掛け、無意識に両手を上げる。上げた後に気づいたが、これではまるで自分から何かをしでかした人だと言っているようなものじゃないか。
そんな中、他の人は皆様々な反応をしていた。怖がるそぶりを見せる子、明らかに困惑している様子を見せる子、杖を取り出して俺に向ける男性。……ん?
「この異端者め! 神に代わり私が裁きを下してやる!」
「は? え? え?」
異端者? 俺なんかした? そんな疑問に答えを見出す暇もなく、杖の先が赤くなり、魔法陣みたいなものが現れた。そこからやけに赤い球が段々と大きくなっていく。いや、これは近づいているのか……ってえ!?
「飛んで来て、る――!?」
気づいた時には、その赤い球は目の前まで来ていた。突然すぎて一体何が起こっているのかが理解しきれない。足も動かなければ、弁明する言葉も出てこないし、この状況をどうにかする頭も回らない。
後ずさりすらできない俺にその赤い球がぶつかろうとしたその時に、後ろから白い何かが飛び出してきた。さっき俺をマスターと言っていたあの人だ。
彼女は俺の目の前に出ると同時に、右腕をさっと空中で振り抜き、視界を半分以上覆っていた赤を消し去ってくれた。……何かのドラマの撮影か何かなのか?
俺を救ってくれた(?)後、彼女は彼らの方へ向いた。俺を庇うように腕を広げ口を開く。
「何をするんですか!」
勿体ないぐらい綺麗な声で彼らに怒鳴った。しかし、芝居がかかったような感じではない。本当にここはどこなんだ?
「皆下がっていろ!」
彼女の言葉を無視し、男性がまた杖に魔法陣らしきものを映し出した。今度は先ほどのよりも大きく、禍々しさが増していた。……現実ではないと思いたいが、これは、もしかして。
「マスター、『私』を離さないでください」
俺を庇いながら、彼女が銃を手に取り俺に渡してくる。何もすることができないは自明の理なわけで、言われるがまま銃を手に取る。勘違いか、それとも俺の本能が何かを感じ取っているのか、渡されたそれは片手では支えきれないほど重く感じた。
「エクスプロージョン!」
Explosion……爆発だったかな、日本語で。悠長なことを考えたその刹那。彼女がものすごい勢いで振り向いて俺に抱きついて――
鼓膜が破れるほどの爆音と、トラックに轢かれたかのような衝撃が俺を襲った。