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第13話 拘束

 1日のうち約12時間を寝て過ごした私です。疲れすぎるとこうなります。

 よくあるいちゃいちゃなんてものではない。警察が犯人を取り押さえるように、背後から腕を締め上げ、クロエの首を床へ押し付け、体の自由を完璧に奪っていた。


「……ッ! イヴ、さん……やめてっ……!」

「逃がすわけにはいかないんです。見られるわけにはいかなかったのですが、仕方ありません。ここで死んでもらうか、二度と話せない体になるか、マスターに一生付いていくか選んでもらいます」


 ……俺はいったい、何を見せられているのだろう。ついさっきまで、こんな殺伐とした雰囲気ではなかったはずだ。しかも絶妙にイヴが何故そう言っているのかがわからない。最初から説明して欲しいものだ。


 クロエは足をじたばたさせるが、イヴには全く効果がない。見ているだけでも苦痛な、悪い意味でとてつもなくリアルな光景だ。


「イヴ、何してるんだ……?」


 最初に見た時にはイヴを引きはがそうかと一瞬思ったが、結局できなかった。この世界の常識を何も知らない俺より、イヴの取る行動が正解である可能性の方が何十倍もある。故に、俺は彼女のやることなすことを見ることしか、それに疑問を投げかけることしかできない。


「……マスターにまだ説明してませんでしたね。クロエさん、少し我慢してくださいね。痛いのは一瞬です」

「……や、いや――ッ!?」


 クロエの恐怖が滲み出る言葉を遮るようにイヴの手が黄色く光り、体が痙攣し苦痛の声を一瞬上げた後ぐったりとしてしまった。まさか、とは思うが殺してはないだろうか?


「……何を?」

「気絶させただけですよ。まあ、雷属性の魔法で無理やりにですが」


 雷属性、という言葉から連想するに、スタンガンで気絶したようなものだろうか。それにしても、イヴがここまでする理由がまだ全然つかめない。


「……どうしてこんなことをしたのか説明してくれないか?」


 自然とイヴにため口を聞いている自分に少し驚いた。今の俺は、イヴをさっきまでの命の恩人、とは思い難くなってしまった。殺人未遂の犯人、しかも少し関わりのあった友人と話している気分だ。


「部屋に戻りましょう。そこでご説明します」


 先ほどの荒々しい行動とは裏腹に、やさしくクロエの体を持ち上げ先ほどの部屋へと戻る。そのギャップに押されつつ後ずさりしつつ部屋に入る俺を気にもせずベッドへ寝かせる。しかしそれだけでは終わらず、横にしたクロエの手首と足首に手を当て、何か魔法陣を出しては消していった。


「今度は何を?」

「見えないでしょうが、クロエさんの手足をベッドへ固定しました。目を覚ました後、逃げられると困りますので」


 さらっというイヴの口調は今まで通りだが、言っているセリフが若干狂人じみている。出会った当初は、イヴにこんな恐怖に似た感情を抱くとは全く思わなかった。


「……では、ご説明します。少し長いですので、座ってください」


 イヴに促されるまま、近くにあった椅子へと座る。


 俺の頭は混乱したまま、イヴの話をただただ聞く準備をしていた。

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