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三十五話 新たな世界で。

式の当日は、快晴だった。

ステンドグラスからは温かな陽光が差し込み私とルルくん、そして私たちの晴れの舞台を見届けに来てくれた人たちを照らしてくれていた。

両親もこの時ばかりは空気を呼んでおり騒ぎ立てることはない。

……わんわん泣いているけど。

使用人、受付の部下の皆もいる。

冒険者の人数はあまりに多く、直前の討伐の成績によって決まった。

冒険者の最前列にいるのは『三つ葉』の三人だ。

美しく着飾った三人は、嬉しそうに目を細めて私たちを応援してくれている。

そして、神父さんが口を開く。


「新郎、ルル・テレーシア。あなたはドロシーを生涯の伴侶として病める時も富める時も、どのようなことがあろうと支え合い、愛を貫くと誓いますか?」

「はい。誓います」

「神父、ドロシー・テレーシア。あなたはルルを生涯の伴侶としてどのような困難に見舞われても、彼を信じ愛し抜くと誓いますか?」

「……誓います」


そこで彼は聖書を閉じ、指輪を差し出す。

私たちはそれを互いの指に嵌める。


「では、誓いの口付けを」


そう言われるとルルくんは、少し屈んだ私のヴェールを持つ。

そしてそれを取り、私の顔を見る。

その、目を細める彼の笑顔。

今にも泣きだしそうなのに、幸せで仕方ないという顔をしていた。

彼に肩を持たれ、私は瞼を閉じた。

唇に優しく、柔らかいものが触れる。

体の中から温かくなる。

これが……前世を含めて初めてのキスになった。

唇が離れて私は瞼を開けた。


「今ここに、二人を夫婦と認めます。皆さん、盛大な拍手を」


神父さんがそういうとその場にいた全員の拍手で教会内が揺れた。

私は手を振って、彼らに感謝を伝えた。

ルルくんはそんな私の肩を抱いていた。


「幸せです」

「うん……でも、これからもこの幸せは続いていくんだよ?」

「ええ……そうですね」


そう。

私たちの物語はこれからも続く。

ただ、物語の悪役として消えるだけだった、私たちの。

もう何も怖くはない。

これから何があろうと立ち向かえる。

私にはルルくんが、ルルくんには私がいる。

それだけで十分だ。

私たちはもう悪役じゃないのだから。



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