十八話 信じて待つ。
全ては円滑に行った。
避難所となる教会の中で、私は領民たちを安心させていると、受付嬢をしている女性に呼ばれた。
領民たちから離れた場所で彼女は声をひそめながら告げた。
「今回の魔物はここから南のダンジョンから溢れて来たそうです」
「それって、スタンピードってこと」
スタンピード。
ダンジョン内から強力な魔物が外界に溢れてくるという、異常事態。
生態系の悪化、ダンジョンコアの暴走など、理由は多岐にわたる。
そのような事態にならないためにダンジョンには定期的に調査隊を送っており、スタンピードの目となるものは排除してきたつもりだったのに。
何がいけなかったんだ、という後悔が頭に過ぎるがそれは後だ。
「でも、南のダンジョンって、最近できたばっかりで一番小規模だったはず……なのに、スタンピードが起きるなんて」
南のダンジョンは新しく発展途上で、まだそこまで脅威でない魔物しかいなかった。
最近の調査でも問題はなかった。
それなのにどうしてこんな事になってしまったのか。
「冒険者の皆の映像はある?」
「はい。こちらで」
彼女が取り出した水晶玉。
そこには大勢の冒険者と、彼らに襲い掛かる魔物の群れが映っていた。
「あ……」
冒険者の先頭に、ルルくんがいた。
彼は杖を振るって行く。
火球や風の刃を打ち込むその瞳は凛としていた。
(ルルくんなら大丈夫だ。きっと)
私は水晶玉越しに彼を応援しながら、避難所の方に戻った。




