十六話 私の想い。
「全てを失って、せめてその原因になった者から全てを奪おうと思った……でもそれはできなかった。虚しかった。どうすればいいのかわからなかった」
でも、と続けて、私を見た。
「ドロシー様がいた」
「私……?」
「あなたがいてくれると、ずっと忘れていた幸せという感情を思い出せた。あなたのために生きていこうと思えた。私が身に着けた強さをこの地の為に使っているのは、ドロシー様、あなたただ一人の為です」
復讐の為だけに生きようとしていたルルくん。
そんな彼を私が変えた。
そんなことを言われても実感が持てなかった。
ルルくんは手を胸に当て、私に誓った。
「私はこの身と魂の全てをあなたに捧げます。ですから、どうか、私を伴侶として迎えて欲しいのです」
「ルルくん……」
「あと一年あれば、私は結婚が可能になります。その時になったら、どうか、私からあなたに求婚させて欲しいのです。ドロシー様」
真剣に見つめられても、答えが見つけられない。
こんな経験したのは初めてだ。勿論、前世でも。
戸惑うまま、私は彼に問う。
「ルルくん。聞いて。あなたの気持ちは嬉しいよ? 私に恩を感じすぎてるよ」
「そんなことありませんよ。あなたは素晴らしい女性です」
「もっと広い世界を見るべきだってば。私より素敵な人はいっぱいいるって。ルルくんにはもっと相応しい人がいるし」
「世界なら、十分見ました。その中でもっとも価値がある女性が、あなたです。ドロシー様」
ルルくんの言葉に、私は戸惑う。
どうしよう。
予想してた中で一番予想できていなかったことが起きてしまった。
ルルくんは大事な人だ。
でもそれは家族としてだ。
恋人、いいや、夫としてなんて見たことすらなかった。
こんな中途半端な気持ちで、彼の真剣な想いに向き合っていいのか。
私はどうすればいいんだ。
私は――




