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砂漠の月  作者: ちあき
第一章 砂漠の夢
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蒼い光

夜空を埋め尽くす満天の星空。

そして真っ白な砂漠の月。

月明かりに照らされた白銀の砂漠は、時を止められた別世界のようだった。


「やっぱり、夜の砂漠って綺麗…」


初めて砂漠に来た時も見とれたことを思い出す。

綺麗なものは、すき。


「おれ、ここで死にかけたはずなのに全然何も覚えてないや。砂狼に襲われたみたいなんだけど…」

「心配しなくても私がいれば砂狼は現れないわ」


リョウを連れ出してくれたセリーはくるりと宙を舞うと手に乗るくらい小さくなった。

リョウは何が起こるのかとわくわくした。

こんなに楽しみなことは、今まで一度も覚えがない。


「どうなるか分からないから、少しずつ様子を見ましょう」


セリーがリョウの左手に乗るとそこから淡く光りだす。

それは徐々に広がり波打ちながらリョウの体全てを包んだ。


「それにしてもなんて透明な青かしら…。昔からこの色は蒼海と称えられ蒼色と言われていたのよ」

「へぇ。色は何を表すの?」

「そうね、その人の特性や魂ってところかしら」


セリーはリョウの手から飛び降りると砂の上に円を描いた。


「ここに触れて、砂を動かすイメージを浮かべるの。上手く砂の心と同調すれば思った通りに動くはずよ」

「砂の心と、同調…??」


よく分からないことだらけだが、一応言われた通りに手をついてみる。


「力があれば山のように大きな砂男だって作れるのよ」

「へーぇ!!それすごいね!!」


この蒼く光る特別な力は、きっと何をやってもだめな自分を変えてくれる。

リョウは期待に瞳を輝かせながら巨大な砂男をイメージし始めた。





ーーーーーーーー





家で待つセオは落ち着かない気分でお湯をカップに注いでいた。

甘味のないコーヒーを手に持つとカウンターに腰掛ける。

リョウがセリーと出て行ってから、もう二時間が経過していた。

セオが自分の右手をじっと見つめていると、ふわりと赤い光が隣に降り立った。


「気になるのなら見てきたらどうじゃ」

「…アメット」

「全く、セリーと小僧には困ったもんじゃの。今更お前に仲間などはいらぬ。それはお前が一番よく分かってるはずじゃ」

「絡みたいだけならお断りだぞ」


素っ気なく答えながらコーヒーを飲んでいると、円盤から音が聞こえてきた。


「ほれ、帰って来よった」


アメットが出迎えると、出て行った時とは打って変わってしょぼくれたリョウが帰ってきた。


「坊主、お前の力はどうじゃったか」

「あ、おじいちゃん…」


リョウはのろのろとリビングに入るとため息をついた。


「ぜんぜん、だめ。おれってやっぱ駄目な奴だなぁ…」


その落ち込みっぷりにセオは首を傾げた。


「光らなかったのか?」

「ううん。光るのは光ったけど…。動いたのは足元の砂だけだったんだ」


アメットは長いヒゲをくるくると指に絡めると、リョウを上から下まで眺めた。


「ほぅ、初めてで動いたのか。中々じゃの」


元の大きさに戻ったセリーは元気つけるようにリョウに笑いかけた。


「ね、アメットもああ言ってるでしょ?上出来じゃないの」

「だっておれ、巨大な砂男作ろうと思ったのにさ」


セオは真面目に言うリョウに呆れて言った。


「巨大な砂男だって?バカかっ。いきなりそんな大量の砂を動かせるのは余程の素質の持ち主か熟練者だけだ。お前みたいなへっぴり初心者にできてたまるかっ」


リョウは傷付いた顔をするとベッドの部屋に消えて行った。

セリーとアメットはセオに非難の眼差しを向けた。


「…私、知らないわよ。ここまで散々フォローしてきたのに。あれは多分今回の事だけで落ち込んでるんじゃないわ。頑張ってるリョウに厳しく言うのならセオが力の使い方教えてあげればいいじゃない」

「ふむ。今のは完全にとどめだったの」


セオは気まずい思いをコーヒーと共に一気に飲み干すと立ち上がった。


「知るかっ。なんで俺がそんなに気を使わなきゃならないんだよ」


吐き捨てるように言うとさっさと倉庫部屋へ向かう。

だが取手に手を掛けるとリョウがガリガリにつけた傷跡が目についた。


「…。だから、なんで俺が…」


セオは乱暴に扉を開くと音を立てて部屋の中へ入った。

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