母には隠せない
私は夕食後、母に呼ばれたので部屋へと行った。
「ニーナ来なさい・・・」
母は無表情で私を近くに呼んだ。
「どこを怪我したの?私には隠さないで」
母は私の目をジッと見て手を握った。
「少し飛んだ時に・・・擦りむいたくらいですよ」
「大丈夫よ・・・隠さなくてもいいの」
母は心配そうな笑顔になり私の髪を触り顔を確認し始めた。
「あの・・・お母様?」
「ニーナもまだまだね。すぐ顔に出ちゃうんだから」
「え?」
「あなた、体を投げられた以外に何かされたでしょ」
昔からこの母は勘が妙にいい・・・今回も勘で気づいたのかな?
「はい・・・顔に小石をぶつけられました」
「騎士の息子のくせに酷い事するわね」
スッと傷があったところに手を当てると動きが止まった。
「どう?学校嫌になったりしてない?友達とうまくやってる?」
「すごく楽しいですよ。変わった子ですけど友達もできました・・・」
「流石私の子ね」
「でも、どうしてわかったんですか?私が他に怪我をしたって」
「顔を見ればすぐに分かるわ」
「隠し事はできないですね・・・」
そして母は私を抱き寄せた。
「隠し事なんてしたってすぐ分かっちゃうわ。私の子だもの。今、何かに悩んでる事だって分かってるわ」
私はすごく懐かしく感じて体を委ねてしまった。
「ええ、少し危険になってきたので、アンナを置いていこうかと悩んでました」
「また・・・なにかしたの?」
私は母とベッドに腰かけて王子達の悪乗りのおかげでと説明を母にした。
「悪い王子様ね・・・私の子を危ない目に合わせるなんて」
「私も嫌と言えなかったのが悪かったんです」
「相手が相手ですもの仕方ないわ。でも、アンナは連れて行きなさい」
「狙われるかもしれないんですよ?危なくて連れていけませんよ」
「それでもです。アンナも同じことを言って付いていきますよ?置いて行っても追いかけていくと思うわ」
アンナなら本当にやりそう・・・下手すれば歩いてでも王都に来そう
「だから連れて行ってあげて。そして守ってあげて。あなたならできるわ」
「でも、今回は相手が相手ですし」
「ニーナを怪我させた罰よ。諦めなさい」
「はい・・・お母様」
「でもエヴァンにもこの話はした方がいいわね」
「お父様にもですか?」
「ええ、何かあったときに動けるのはエヴァンだけだから・・・」
「分かりました。話してきますね。お母様おやすみなさい」
そういって私は部屋を出て父の部屋を探した。屋敷の間取りは全然分からなくて使用人達を頼りに歩いて行った。
夕食をとった部屋へ行き誰かいないか探してなんとか父の部屋へと着いた。
「お父様いらっしゃいますか?」
私はノックをして声をかけた。
「ああ、入ってきてくれ」
私は部屋へと入った。父は書類に目を通していた。
「ニーナか。どうした?」
「お父様にご相談したいことがありまして」
母にした話を父にもした。
「また問題を起こしてきた・・・いや今回は巻き込まれたというべきか」
「それでお父様・・・やっぱりアンナは置いていって私一人で居た方が安全な気がするのですが」
「私もイリーナと同じ意見だ。連れて行き守ってやりなさい。そもそも身近に置いていないのも不思議だとは思ったが・・・」
「パン屋を辞めさせて部屋にずっと閉じ込めておく方がいいと?」
「いや・・・そこまではせんでもいいが。働かせてるとは思わなかったのでな」
「学校には流石に連れていけませんから・・・」
「まあ、一応王子の方でも手を打ってくれているなら信用してもいいと思うぞ。原因を作った一人だしな」
「分かりました・・・頑張ってみます」
そういって私は部屋を出た。そして迷いながら部屋へと戻った。




