11/201
虚 能面
どうして、人の事を、分かった気になれるのか。
軽々しい言葉で、相手を知った気になって。
言は結局葉に過ぎず、幹は姿を現さない。
仲の良さげな老夫婦。
成績完璧良生徒。
誰もが欺瞞の面を着け、能の舞台を演じきる。
ある人間の事を、人より多少知っていたとしても。
それが舞台裏だと、どうして言えるのか。
能の合間の、狂言や猿楽でないと、どうして言えるのか。
親の心を子は知らず、親すら子の舞いを見抜けない。
運命の二人さえ、根本的な所では、他人に過ぎない。
舞いの裏を知ろうとするのは禁忌。
それは、分かりきっている。
せめて、自分の大事な人間の前で、自分だけは、舞わずにいよう、など。
それこそ、狂言に過ぎないのか。
張りついた面は、顔を隠して外れない。




