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遅咲き王子のお隣に  作者: 白澤 五月
第二章 溺愛陛下と仮王妃
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03 再会と甘い砂糖

「久しぶりクレア。パーティー遅れてごめん」


ふっと笑った彼の耳にはかつて一緒に訪れた建国記念祭

の時にプレゼントした青いピアスが揺れている。

確かにそこに優雅に立つ彼はルイス王子の面影が

残っていた。

しかし、こつこつと優しげな音をたてて近寄ってくる

美しい男性はクレアの知るルイスではなく、一瞬固まる。


「……クレア?」

「あっ、とえっと……」


こてんと小首を傾げるのはあの頃のルイス王子の癖と同じで

少し心の緊張がとける。

背丈もだいぶ高くなり、クレアより数十センチ高く、

美しく透き通る声は少し低くはなったものの綺麗な声には

変わりなかった。


「……もしかして疑ってる?じゃあ自己紹介、

僕はルイス・ヴェルダー。

レアリウス王国の第二王子でどこかのおせっかい

メイドのクレア・アステリアさんに1人隔離されてるところを

救って貰ったんだけど……忘れちゃった?」


そういって袖を軽く下げた手の甲には王族の証と言われる

紋章 "真王"が証明するように青く光っていた。

そして、あのように意地悪く言い放つ彼の様子は紛れもなく

クレアが共に過ごしたルイス王子であった。


「……もう、変わりすぎです!

あんなに可愛い子だったのに今度はかっこよくなっちゃって。

……もちろんルイス王子だって忘れてませんよ!

ずっとずーっと待ってたんですから!」


どすっとルイスの胸に飛び込むと、

その広く大きくなった体は一瞬驚いたようにしたが、

ぎゅっと抱き締め返してくれた。

5年前の彼とは見違えるほどかっこよくなったルイスに

胸がトクンと高鳴るが、そのどこか懐かしい温かさに

嬉しさが込み上げる。


「あの……さ」


「何ですか?王子」


しばらくぎゅっと抱き締めていると耳を赤く染めた

ルイスがクレアから目線をそらし、恥ずかしげに

手を首の後ろに置いた。

それもどこか懐かしくてじーっと見ていると

ルイスに両手でベリっと引き離される。


「……恥ずかしいから離れてくれる?」


そっぽを向いても分かる赤く染まった彼に

クレアも少し恥ずかしくなったが、

イタズラ心がぴょこんと芽生える。


「何言ってるんですか!

私は会いたくてしかたなかったんですよ?

もしかしたらどこかで、すごく綺麗で可愛い女の子を

連れて帰ってきたりして、『クレア?……それって誰?』

とか言われるんじゃないかって心配してたんですから」


ルイスの両手を昔のように掴んで逃げられないように

そう言うと彼の耳はまた赤さを取り戻した。

その光景の懐かしさに芽生えた意地悪な悪魔も満足げだ。


(やっぱり王子は王子だなぁ。……久しぶりに会えて嬉しい)


自分よりずいぶん背のたかい彼を下から覗き込むように

してふふっと笑う。

すると急に掴んでいた手を振りほどけられ、

ルイスに強く手を引かれる。


「わわっ!」


ぽすんと倒れるとそこは先ほどまでいた王子の

胸の前で。さっきは気づかなかった知らない

男の人のようなたくましさと甘い香りに頬が赤くなる。


「る、るるる、ルイス王子!?」


慌ててその場から逃げようと押し返すも

まったくびくともしない。

それにともなってどくどくとせわしく鳴り響く胸の音に

恥ずかしくなってくる。

恐る恐る彼の顔を見ると先ほどまでの恥ずかしがって

可愛い乙女のような彼はいなかった。

くすくすと笑うルイスは真っ赤の顔を見て満足そうに

微笑んだ。


「……クレア、可愛い」


「なっ!何を言ってるんですか!?」


まさかの発言に胸の音で耳が支配され、

心臓が口から飛び出るのではないかと思うほどだ。

クールで無愛想だったルイス王子からそんな砂糖のような

甘い言葉が出てくるとは思わなかった。

これでは丸腰ガードなしで世界チャンピオンにおもいっきり

パンチされたような気分だ。


「何をそんなに慌ててるの?

だってクレアは僕のお妃……妻になるんでしょ?」


美しい青の瞳を細めた彼は耳元で

砂糖に蜂蜜をトッピングしたかのような甘い言葉を

言い放つ。その誰もが振り向くような美貌で、

その天使のような甘い声でそんなことを言われたら

頬を赤く染めない女性がどこにいるだろうか。

クレアは火がついたかのように頬をボッと染めると

頭がパンクしたかのように脳内が停止する。

そんなクレアを見て余裕そうに微笑むルイスに

少し悔しく思いながら。


(も、も、も……)


「もう無理です!!それにお妃には"仮"でなるって

約束ですよね!?」


恥ずかしさに耐えられず思いっきり突き放すと

ルイスはよろっとしたが、体は嫌になるほどたくましく

バランスも崩すことがない。

それに加えてさらっと揺れたシルクのような銀の髪が

また大人っぽく色っぽい。


「あれ、覚えてたの?……もしかして好い人、できた?」


「やっ、……違います、けど」


好い人というワードに首をぶんぶんふると、

冷たく不安げに固まっていた顔も安心したようにほっと

和らいだ。その顔にこちらも嬉しくなる。


「そっか良かった。

じゃあ……分かった。約束通り仮のお妃でいいよ。

…………でも」


「で、でも?」


長い沈黙に身構えるとふふっと楽しそうに笑うルイス王子に

今度はこっちも首をこてんと傾げる。


「絶対僕のことを好きにさせて本当の妃にしてみせる。

……だから覚悟してて」


「……~!!」

「遅咲き王子のお隣に」を呼んでくださっている

皆さん、ありがとうございます!


作者の白澤五月です!

最近更新のペース落ちていて申し訳ないです……。

先日頑張ってと応援の言葉をもらい、嬉しかったです。


ここまで読んでいただき感謝です。

よければ感想をいただけると、作者も嬉しいです。


ブクマや評価で応援してくださった皆さんありがとうございます!引き継ぎよろしくお願いいたします!


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