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遅咲き王子のお隣に  作者: 白澤 五月
第一章 つぼみ王子と没落令嬢
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48 遅咲き王子が開花した日

「えーと……どういうことですか?」


 ルイスがそこのポンコツを差し置いて

 次の王様になる。それに王様になったルイスのお妃に

 わたしがなる……?


 ルイスの13歳の誕生日のお祝いに来たはずなのに

 よく分からない状況である。

 アイザックたちから聞いた彼ら王族は

 ルイス王子に対して空気のように扱っていると

  聞いていたのだが

 この土下座をしている人たちはどう考えても

 あのポンコツ親子に意地悪宰相だ。

 宰相の狐顔やタヌキのような国王の顔はこの国では

 有名であるから初めて顔をみるが間違いない。

 もちろんこのポンコツ王子を見間違うはずはないし。


「むっ?……クレア嬢ではないか!

 あぁ君を妻として娶ることができなくなった僕を

 どうか罵ってくれていい。

  すまない、クレアじょ……「謝らなくて結構です」

  ……あぁ!いつものクレア嬢だね!」


 私に冷たくされて喜んでいるこのポンコツ王子と会うのは

 あの赤い瞳の件以来である。

 彼の様子はあれから少し、いや大分マゾチックに変わったが

 それ以外、無駄にしつこいことや人の話を聞かないところは

 変わっていない。

 その彼の様子を見る王や宰相は少し引いているが。


「ルイス!クレア!大丈夫か!?」


 そんなやり取りをしていたら扉から

 息を切らしたアイザックやレオが入ってきた。

 彼らをおってきた騎士たちはぜぇぜぇとつらそうだ。

 2人も私と同じように何事かと心配になり、

 騎士たちをふりきってきたのだろう。


「……あ、2人とも。僕は大丈夫だけど」

「私も大丈夫ですけど……」


 何事か分かってない私とルイス王子は

 さぁ、と首をかしげる。

 ルイス王子も突然彼らに囲まれ土下座をされたようで

 無愛想にかたまった顔の上に大量のはてなマークが見える。


「……なに?この状況は……」

 レオさんも怪訝そうに王たちを見渡した。


 すると狐顔の宰相が冷や汗だらだらで

 罰の悪そうな顔をして口を開いた。

「そ、そのーー……」

 ーーとその瞬間。


 キラッ

 目を開いておけないほど強く神々しい光が王子の右の手の甲から

 溢れだした。

 そう、王子が猫のクロを探すために歌を歌ったときの

 光と同じような。


「え!?な、何!?」


 突然の光に驚き、目を閉じる。

 周りの皆も驚きその場に立ち止まっている。

 ピカッと光り、美しくも眩しすぎる輝きが収まると

 ルイス王子の右の手の甲には青く気高い紋章が

 印されていた。


「ーー何これ」

 ルイス王子は自分の手の甲を凝視したり、つねったり

 あれこれとしていたがその美しい紋章は消えない。


「嘘、もしかしてーー……」


 ルイス王子の手の甲を飾るその印は

 もしかして王族を示す紋章ではないか。


「なんと……誠にルイスが"真王"とは……!」


 床に膝をつけて驚愕している我が国の王様は

 驚きの言葉をはっした。


 "真王ーー ?"


 その言葉に少し前の話を思い出す。

 確かそれは約一年前ーー……


『紋章って一くくりにいっても、種類が全部で5つある。

 人の和の"和" 自然の"然"

  知力の"知" 腕力の"力"

 そして(まこと)の王で"()()"と

 いうのがある。


 まぁ、"真王"の紋章をもつ王族はごく稀で

 女神に気に入られた選ばれた王族しか持つことが

  できないらしいが』


 クレアがルイスの専属メイドになるときの話。

 アイザックがクレアに紋章について

 教えてくれたときだ。


「……真王の紋章がでたものは成人を期に

 次期王候補や現国王がいても新しき王として即位する義務が

 生じるとともに、最も尊く、誰もを支配する権利をもつー……」


 隣で固まっていた長い髪の優男アイザックが

 ぼそっとそういいはなつ。


「……そういうことか」

 ルイスは少し苦い顔をしながらアイザックの言葉に

 相づちをうつ。


「……まじ?」

 レオも信じられないというようにこちらを見る。


 すると狐顔の?宰相がこちらに向かって

 恐る恐る口を開く。


「……ルイス・ヴェルダー第二王子はこの紋章を宿した

 ことにより次期王になる義務をおう。

 そしてまた妃をもつことも義務となった。

 そのためクレア・アステリア嬢、君がルイス次期王の

 妻となるのだ」


「……え」

  やはり状況が飲み込めず、夢ではないかと

 ぎゅむと頬をつまむがやはり痛い。

 なんどつまんでも痛いものは痛いのだった。


 ― ― ― ― ― ― ―

 理解が追い付かない私とレオさんは

 その後どういうわけかをアイザックに聞いた。


 アイザックが聞いた話だと

  王族たちは国で有名な占い師を雇っており、

 その占い師にこの国の行くえを占ってもらったそうだ。

 そして、"真王"の紋章を宿したルイス・ヴェルダーが

  次期王として

 この国をよりよくしていくという旨の結果がでたという。

 その占い師は百発百中で、今まで1度も

 はずしたことがなかった。それに王様がその前日に小指を

 棚にぶつけるという予言も当てていたため

 その予言を聞いた王様は顔を真っ青に変えて

 別邸へと乗り込んできたのだ。

 ……もちろん今までの非礼をなかったことにするために。


 真王という存在は実の親でもその紋章をもった者

 には逆うことは許されない。

 真王に逆らうということは反逆罪となる。

 それに加え真王を隔離したり、真王に

 暴言をはいていたなど話にならないことである。


 そして最後に王には必ず王妃が必要であることーー。

  真王の血族を残すため、その紋章を持ったものが次の世代にも出るように真王は必ず妻を持つことが義務とされる。

 真王の紋章が出た日には妻を決めなければいけない。


 ーーという内容であった。


「……ちょ、急すぎませんか!?」


  紋章だの、王様だのこの前まで無関係だったワードに

 頭が混乱する。専属メイドの件に続いてさすがに今度は妃だなんて急すぎる。

 私の作ったの誕生日プレゼントを美味しそうに食べている彼を

 横目に複雑な気分で叫んだのだった。


⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐


どうも、作者の白澤五月です!

よんでくださりありがとうございます!


ストーリーの軸に差し掛かってきました!どうぞ

楽しく読んでいただければと思います!


ブクマ等ありがとうございます!

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