35 作戦会議
「……ねぇ、スフィアちゃん?私にはソファに座ってるの4人にみえるのよぉ。おめめの病院行ったほうがいいかしらぁ」
「いえ、私にもイケメン3人と彼らに囲まれるクレアさんが見えます!これぞ、逆ハーレムですねぇ!!これはまた、おいしい展開だわ……!」
扉の近くで鼻息荒い二人が見える……いや見えない方がよかったかも。ごつめのシェフといつもはきっちりしていて信頼できる先輩がこっちを邪な熱い視線で見ているなんて。
まぁその理由は今、周りを男どもに囲まれて私1人女の身で座っていることにあるのだろうけど。最初は皆ソファにすわって二人の到着を待っていたんだけど、飽きてしまったらしく自分のやりたいことをし始めてしまった。
隣にはルイス王子が私お手製のちょっと失敗したプリンを食べていて、レオさんはなぜか私をソファごしに抱き締めていて、アイザック様はレオさんの様子を見てぷんすか怒っている。
(………んんー、カオス)
恐ろしいにも程がある。きっと国中を探してもこんなに美形の集まりはないだろう。三人とも種類が違うイケメンと思われる人たちで、豪華すぎる。もしここに令嬢たちがいたら"ふしだらだわ!"とか何か難癖をつけてきそうだ。もちろんそんなつもりはございません……!
と、そんなことより、私達は第一王子オーディンの騒動を終え四人は別邸へと戻っていた。そして、今回の件についてルイス王子の世話役としてついていた二人も混ぜて話し合いをしよう、とのことになったのだが……二人はあの有り様である。
「あのー、スフィアさん、ジェームスさん……助けてくださいよ」
「あらぁっ!来てたのバレてたのねぇ!もぉ!!」
ジェームズさんは扉に隠れきれていなかったのは知らなかったのか恥ずかしげにでてきてバシッとわたしの背中を叩いた。相変わらず手加減なしで私の背中がじんじんと痛む。
「あら、クレアさん。………すみません、知らない方々がいらっしゃったものでどうしたものかとシェフと話していたところなんですよ?」
……息を吸うように嘘を吐くなこの人。あんなに目をギンギンにしてあたかも清楚でしっかりしてますよみたいな雰囲気を醸し出されても私はスフィアさんがシェフと一緒に私達の様子を楽しんで見ていたのをこの目でしかと目撃してしまった。
それに私とルイス王子の関係が妄想というか捏造されたあの報告書をアイザックから聞いてからスフィアさんは絶対私たちを見て恋愛物語を読むような感じで楽しんでいると確信している。
「あ、はじめまして!俺レオ・リードマンでーす!」
すかさずチャラ男はスフィアさんの肩に手をおいて自己紹介している。見た目どおり彼は軽くてたくさんの女の子を知っているらしい。自分の容姿の良さを知っている男ほど怖いものはいない。例えばこの目の前で舌打ちをしてる偽優男とかね。
「……どうも。スフィア・ゴッツワーニです。あの、不愉快なのでこの手をすぐにどけてください」
……でもレオのラブアタックはまったく彼女には効かなかったらしく素っ気なくあしらわれている。ありゃドンマイ。
「えぇ……もしかして俺って魅力ない?なぁ、アイザックぅ~」
私に続きスフィアさんにも適当な扱いを受けたのがショックだったのかレオさんはくるりと振り返り今はアイザックにすがり付いている。その人女の子じゃないですよー。
「おい、邪魔だ離れろ」
腰に巻き付いてくる彼をブンブン振り回すがさすが騎士、まったくびくともしない。……誉めていい光景かは微妙なところだけど。
「あらぁ~!私は大歓迎よぉ!レオちゃぁん!」
ドスンと大きな体当たりが決まり、レオさんはジェームスさんに潰されている。
「ぶほっ!なんだこの………オンナノコ?」
強烈なジェームスさんからのアタックに一瞬怯んだ彼だがさすがチャラ男、どんな女の子にも平等な対応だ。
(……ってこんなことに感心してる場合じゃないんだった)
「すみません、これからのことを話しあうから二人に集まってもらったんですよ」
「あぁ、そうだ。とりあえずレオは黙れ。そしてお前ら2人は落ち着け。そしてルイスはプリンを食べるのをやめろ!」
先程のジェームスさんの凄まじいアタックですっかり忘れていたがルイス王子はもくもくと1人でプリンを食べ続けていた。まさかこの状況でまだ食べていたとは……。
マイペースのいうか動じないというか、さすがルイス王子だなという感じだ。アイザックから指摘を受け、ルイス王子はえ……と嫌な顔をして口を開く。
「分かった。………というか皆お互いのこと知ってるの?」
王子はアイザックにプリンをとられたせいかむすーと無愛想にしているがご最もなことをいった。確かに私は一応皆のことを知っているがレオさんは初めましての人が多いのではないか。
「そうねぇ!最初に自己紹介するのもいいかもしれないわねぇ!!」
ジェームスさんも大きな手をたたいて賛成している。スフィアさんも納得していいるようだ。
「じゃあ、王子からでいいですか?」
このままじゃジェームスさんの勢いに飲まれてしまうと危機感を覚え、とりあえずルイス王子から自己紹介をしてもらうことにした。
「……ルイス・ヴェルダー。一応第二王子。歳は12」
……相変わらずのクールというか無愛想というか。それともプリンを途中中断したのがそれほど嫌だったのか、拗ねてる様子か……。さっきの大人な態度と違いすぎて不思議な気分だ。
「淡白だな……。俺はアイザック・フィオフォース。歳は18。俺が次期宰相になる……とも今の状況ではいえないんだがな」
はい、いつも通りのご説明ありがとうございます。腹黒俺様は通常運転のようだ。……でも、この素を出しているのは珍しい。
すると、すかさずレオさんがはいはーいと手を上げる。
「前見た時とだいぶ印象が違うのはなんで?こっちが素なの?」
やっぱり普段の彼を見ていた人たちにとっては不思議なようだ。
あの"素敵なオトコノコ記録"をつけているらしいジェームスさんもいつもと違う彼をみて驚きで目が点だ。
「あぁ、それとこれが本来の俺だ。優男なんてガラじゃねぇけど
あれはうまくこの世をわたるための技術ってもんだな」
「あらぁ~!そうだったのぉ!?でも、私優しいオトコも、今みたいなSっ気のあるオトコもアタシ大好きよぉ~!!」
ぎゅっと飛び付きに言ったジェームスさんをさっとアイザックは避けた。どしんと壁に当たる音が聞こえたが、誰もが無視をしている。痛~いなんて言っているけれど元気そうだし。
「私はスフィア・ゴッツワーニです。王城とこの別邸のメイドです。……年齢は今年で26です」
ジェームスさんのことを華麗にスルーしたスフィアさんは王子と同様簡単ことしか言わなかった。その後すかさず、ジェームスさんは立ち上がりばっと手を広げた。
「あたしはお城専属シェフのジェームスよ!年齢はひ・み・つ!
昔から王子の食事も、担当してるわぁ!もちろんカッコいいオトコノコは大歓迎!あ、もちろんオンナノコも大好きよ?」
バチんとこちらに向かってウィンクをしたジェームスさんを私はスフィアさんを見習ってスルーした。だっていちいち反応していると疲れてしまうから。
「私はクレア・アステリア。齢は今年で16になりました。春からルイス王子の専属メイドになりました。……この腹黒のせいで」
「おい、誰が腹黒だ!不敬罪で取っ捕まえるぞ」
こそっと腹黒と言ったつもりだったのだが、彼に聞こえていたみたいだ。
(嫌ね、地獄耳って)
「じゃさっきも言ったけど俺はレオ・リードマン。歳は21!よろしくお嬢さん方」
こちらも決まってウィンクをしたが、もちろんスルーだ。今日でスルースキルがだいぶ向上した気がする。やった。
ジェームスさんはきゃーと黄色い声をあげて喜んでいる。レオさんはだいぶジェームスさんに気に入られたようだ。まぁ、一番年齢も近いしターゲットにされているのかも。
「じゃ、これから話すことはここにいる奴ら6人だけの秘密だ。わかったな?」
腹黒さんがそう切り上げて自己紹介が終わったので、さぁ本題だ。
スフィアとレオの年齢設計若返りました……。
最初から読んでくださっている方
優柔不断な作者ですみません。
まぁ、それほどお話の内容には関わってこないので
大丈夫です!たぶん。




