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レイティアは困惑していた。
(第二王子が、私たちに一体何の用?)
周りの生徒達のざわめきもいっそう大きくなっている。どうすればいいか分からず、助けを求める様にシルヴを見た。
レイティアの気持ちを察した彼は、まず第二王子に失礼にならないように、丁寧に挨拶しようとした。
「先程の弓技をみせてもらった。二人とも、なかなか見事な腕前だな」
シルヴが口を開きかけたとき、第二王子が話し始めたので少し慌てて口を閉じた。
シルヴも、レイティアと同じく困惑していた。第二王子がただ弓の腕を褒めるためだけにこの場に来るとは考えにくい。
「お褒めに預かり、光栄です、殿下。ありがとうございます」
落ち着きを取り戻したレイティアがゆっくりと優雅にお辞儀する。
普段のボーイッシュな彼女を知る人が見れば、猫をかぶっていて王子を全く信用していないことがわかっただろう。
王子の用件が分からず、正直面倒くさそうだと心の中でため息をついていたが、彼女は仮にも侯爵家の長女。
そんなことはおくびにも出さずに、目で『何か用ですか?』と問いかける。彼女にとって、このまま注目を浴び続けることは好ましくない。
ただでさえシルヴと仲が良いからという理由で、女子生徒から快く思われていないのに、更に第二王子と話しているところをこんなに大勢の人に見られてはますます反感を買ってしまう。
早く用件を言って、何処かへ行って欲しい。
どうやったら手っ取り早く話しを終わらせて、この後尾ひれをつけて広がるであろう噂と女子生徒からの妬みを回避しようかと案を巡らせていたレイティア。
だが、その思考は王子の後を追うようにして現れた男子生徒の声によって断ち切られた。
「殿下!こんなところにいらしたんですか!」
どうやら王子の側近のようだ。置いて行かれていたらしい。
が、そんなことは全く気になっていない様子だ。その表情は明るく、声ははつらつとしていて、主人に忠実な犬を連想させた。
「カストル」
「………っと、こちらの方達は……」
レイティアとシルヴに気づいた生徒ーーーカストルが、はっとして王子に問いかける。
「レイティア・サウゼンさんとシルヴ・ホールゲイドさんだ。二人とも弓技がすごく上手い」
(………あれ?)
王子の台詞を聞いて意外に思うレイティア。
パーティーなどで挨拶したことはあったが、話したことはほとんどない。
レイティアが思っていたより、王子は気さくな雰囲気だった。
「では、この方達を………?」
「ああ」
「…………話がある。談話室に行かないか?」
頷き合ったカストルと王子。
不思議そうにそれを見ていたレイティアとシルヴに向き合うと、王子がそう言って二人を促した。
(…………まだ一緒に居ないといけないのか
)
心の中でため息を吐く。
大勢の生徒の前で第二王子とシルヴと話して、更にカストルという側近まで加わって。
3人ともかなり美形で有名人だ。
そんな中に1人、女で大して可愛くも無い自分がいるのはどうも居心地が悪かった。
自分の容姿はどうしようもないことなのであまり気にしたことはないが、『エリート達と1人の女子生徒』という組合わせは、他の女子生徒から嫉妬されたり嫌がらせをされたりとロクなことが無い。
嫌がらせごときで傷つくレイティアではないが、鬱陶しくて面倒臭い。
そして、談話室に行って話をするとなると…………
女子生徒に嫌われたり、おかしな噂が立つのは避けられないだろう。
(…………面倒臭い)
気分転換のつもりがこんな事になり、テンションが下がる一方のレイティアは、嫌とは言えずに渋々王子達の後に続いた。
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