第65話「新しい仲間候補」
コウ達はグレン工房へ入った。
「おう、来たか」
グレンが手を止める。
エミルが頷いた。
「ああ」
「例の2人はいるか?」
「いるぞ」
グレンは工房の奥へ声を掛けた。
「おい」
「来い」
しばらくして2人が現れた。
兄と妹。
どちらもドワーフだった。
少し緊張した顔をしている。
「こいつらだ」
エミルが言う。
「兄の方はこのまま工房でやっていける」
兄が驚いて顔を上げた。
「本当ですか」
「ああ」
グレンも頷く。
「まだまだ見習いだがな」
「教えれば伸びる」
兄は深く頭を下げた。
「ありがとうございます」
エミルは続ける。
「問題は妹だ」
妹が少し身を固くする。
「今の工房じゃ2人抱えるのは厳しい」
グレンも否定しなかった。
「だからな」
エミルはコウを見る。
「コウ、お前が良いと言うなら妹はお前のところへと思ってる」
妹が驚いた顔でコウを見る。
コウは頷いた。
「まず話を聞こう」
エミルは妹を見る。
「お前ができることを言え」
「ちゃんと話せ」
「そうすりゃコウも考えてくれる」
「はい」
妹は頷いた。
木材運び。
薪割り。
木工の手伝い。
簡単な家具作り。
一つずつ説明していく。
コウは黙って聞いていた。
話が終わる。
「窯は作れるか?」
コウが聞いた。
妹は少し驚いた。
「窯ですか?」
「ああ」
「焼き物用でも炭焼き用でもいい」
妹は少し考える。
「作ったことはあります」
「ただ……」
「ただ?」
「粘土は分かりません」
コウは首を傾げた。
「分からない?」
「父が用意していました」
「私は運んだり、形を整えたりしていただけです」
「どこの土が良いかとかは……」
「教わっていません」
その時だった。
「それなら大丈夫だ」
セナが口を開く。
「私なら粘土は分かるぞ」
妹が驚いた顔になる。
「そうなんですか?」
「ああ」
「昔から土を触る仕事はしていた」
「良い粘土かどうかくらいなら分かる」
妹の表情が少し明るくなった。
コウも頷く。
「なら問題ないな」
エミルが笑う。
「ほらな」
「会わせた方が早いだろ」
リリアも笑った。
「コウさんのところは大丈夫ですよ」
妹がそちらを見る。
「私も最初は不安でした」
「でもちゃんとご飯も出ますし」
「無理なことは無理と言えます」
セナも頷いた。
「ああ」
「飯はちゃんと食わせてくれる」
「働いた分は返してくれるぞ」
妹は少し安心したようだった。
「ありがとうございます」
コウは少し考えた。
「そういえば」
「ん?」
エミルが見る。
「ドワーフって力持ちだと聞くが」
「どれくらいなんだ?」
エミルは周囲を見回した。
「説明するより早いな」
そう言うと近くの木材の束を指差した。
工房で使う材料だ。
人間なら2人で運ぶ量だった。
「おい」
「持ってみろ」
「はい」
妹は近付く。
そしてあっさり持ち上げた。
コウは少し驚く。
「なるほど」
「力持ちなんだな」
兄も同じように持ち上げた。
こちらも問題ない。
エミルが今度はセナを見る。
「セナもやってみろ」
「分かった」
セナも持ち上げる。
兄妹より少し余裕があった。
「基準がおかしい」
エミルが頭を抱えた。
「そうか?」
セナは首を傾げる。
コウは頷いた。
「なるほどな」
「それならリアカーも引けそうだ」
ロイドも頷く。
「人間よりは向いてるな」
新拠点では運ぶ物がいくらでもある。
力のある人手はありがたかった。
「俺としては問題ない」
妹が顔を上げる。
「本当ですか?」
「ただし」
コウは続ける。
「まずは見てもらう」
「見てから決めろ」
「はい」
「明日、新しい拠点へ行く」
妹は頷いた。
すると兄が少し心配そうな顔になる。
「妹をお願いします」
コウは肩を竦めた。
「まだ決まったわけじゃない」
「まずは見てからだ」
ロイドが笑う。
「だったらお前も来い」
「俺もですか?」
「当たり前だ」
エミルも頷く。
「妹が行く場所だぞ」
「兄貴が見ないでどうする」
グレンも腕を組む。
「工房は1日くらい空けても構わん」
「見てこい」
「分かりました」
兄も頷いた。
その時だった。
「あの!」
声が響く。
ノイルだった。
「僕も行きます」
即答だった。
グレンが呆れた顔になる。
「お前までか」
「だって気になるじゃないですか」
「新しい拠点ですよ?」
「窯の話もしてましたし」
「見たいです」
ロイドが吹き出した。
「絶対言うと思った」
エミルも笑う。
グレンはため息を吐く。
「好きにしろ」
「ありがとうございます!」
ノイルは嬉しそうだった。
「じゃあ明日だな」
コウが言う。
「朝になったら出る」
「はい」
兄妹は頷いた。
すると兄が少し苦笑した。
「実は前から気になってたんです」
「ん?」
「工房の離れです」
「たまに煙が上がってましたから」
コウは頷く。
「ああ」
「あそこで暮らしてたんですか」
「そうだ」
兄妹は納得した顔になる。
「なるほど」
コウは肩を竦めた。
「別に隠してたわけじゃない」
「借りてる身だから目立たないようにはしてたけどな」
「そうだったんですね」
「じゃあ明日よろしくお願いします」
「ああ」
兄妹は頭を下げて戻っていった。
ノイルも作業場へ戻る。
ロイドが立ち上がった。
「よし」
「じゃあ買い物行くか」
「ああ」
コウは頷いた。
その前にグレンを見る。
「一輪車をもう1台頼めるか?」
グレンが眉を上げる。
「増やすのか」
「ああ」
「森の開拓は一輪車が一番使える」
セナも頷いた。
「便利だった」
「荷物運びがかなり楽になる」
グレンは頷く。
「分かった」
「材料はある」
「作っといてやる」
「頼む」
するとエミルも立ち上がった。
「じゃあ俺も行くわ」
コウは呆れた。
「なんでだ」
「別についてくる必要ないだろ」
「いいじゃねえか」
エミルは笑った。
「面白そうだからな」
ロイドが呆れる。
「正直だな」
結局全員で買い物へ向かった。
ロイドが聞く。
「他は何が欲しい?」
「ショベル1本」
「ロープ2本」
「縄4本」
ロイドは指を折って数える。
「一輪車12」
「ショベル8」
「ロープ4」
「縄4」
「ウサギ2匹で4」
「32ルクだな」
コウは頷いた。
「そんなもんか」
しばらく歩く。
途中で野菜を見つけた。
「野菜も買うか」
リリアが頷く。
「欲しいですね」
3人分の野菜を選ぶ。
するとロイドが言った。
「それも報酬に入れとくわ」
「いいのか?」
「3ルクくらいだろ」
「熊の報酬だと思っとけ」
コウは頷いた。
「じゃあ遠慮なく貰っとく」
こうして買い物は終わった。
「ありがとう」
コウはロイドに礼を言った。
「助かった」
ロイドは肩を竦める。
「気にするな」
「熊の件は村も助かったからな」
荷物を受け取り、離れへ戻る。
戻るとすぐにウサギの解体を始めた。
2匹分。
手際よく肉を分けていく。
干し肉用の肉が並んだ。
乾燥棚も確認する。
だが昨日の分はまだだった。
「明日ですね」
「ああ」
作業を終える。
やがて鍋が煮えた。
今日は買ってきた野菜も入っている。
久しぶりの野菜だった。
シノには普通干し肉を1本。
3人の分も取り分ける。
コウは山椒粉。
リリアはセルハ粉。
セナは何もかけない。
「いただきます」
温かいスープを飲む。
野菜の甘みが広がった。
「野菜は久しぶりだな」
「ああ」
コウも頷く。
しばらく食べ進める。
ふとコウが呟いた。
「そろそろ別の食い物も欲しくなってくるな」
リリアが苦笑する。
「毎日干し肉ですからね」
セナも頷く。
「分かる」
新しい拠点。
窯。
畑。
やりたいことはまだまだあった。
食事を終える。
明日は新拠点の見学だ。
コウ達は片付けを済ませ、それぞれ休む準備を始めた。
PL(第65話終了時)
39日目
開始:341ルク
収入
* 熊討伐報酬(物品支給)
* 一輪車×1
* ショベル×1
* ロープ×2
* 縄×4
* 野菜×3人分
* ウサギ×2
収入計:物品支給
支出
* なし
支出計:-0ルク
終了:341ルク
BL(第65話終了時)
所持金
* 341ルク
食料
完成品
* 普通干し肉×7
* 塩干し肉×6
加工中
* 普通干し肉加工中A×20
* 普通干し肉加工中B×10
素材・薬品
* 薬草(乾燥)×83
* 薬草(乾燥中)×10
* 山椒(乾燥)×110
* 山椒(乾燥中)×10
* セルハ草(乾燥)×75
* セルハ草(乾燥中)×10
* 唐辛子(乾燥)×55
* クロム葉×多数
リアカー常備品
* 大箱×1
* 小箱×1
* 水桶×2
* 水袋×2
* 予備葉っぱ
* 予備紐
仮拠点保管
道具
* 剣×1
* 槍×1
* 片手斧×1
* ナタ×1
* ツルハシ×1
* ショベル×2
* 一輪車×2
* 弓×1
* 矢×20
* 吊るせるくん×1
網・罠
* 魚罠(設置中)×4
* 魚罠(未稼働)×4
* 動物罠(稼働中)×4
* 大型落とし穴×2
* 竹網×2
* 普通網×1
収納
* 大箱×1
* 小箱×1
壺管理
小壺
* 小壺(山椒粉)×38
* 小壺(唐辛子粉)×36
* 小壺(セルハ粉)×42
* 小壺(粉塩)×52
* 空き小壺×1
中壺
* 中壺A(粒塩)×60
* 中壺B(空)
生活用品
* 雑布×2
* 薪×多数
* 縄×4
衣類
コウ
* 普段着×3
* 下着類
リリア
* 普段着×3
* 下着類
セナ
* 普段着×1
* 丈夫服×2
* 下着類
加工道具
* 小型すり鉢セット×6
個人装備
コウ
* 鉄製ナイフ×1
* 革手袋×1
* 革靴×1
* 水筒×1
* 背負いカバン×1
* 肩掛けカバン×1
リリア
* 鉄製ナイフ×1
* 普通カバン×1
* 葉っぱ収集袋×1
* 水筒×1
セナ
* 鉄製ナイフ×1
* 普通カバン×1
* 水筒×1
* 革手袋×1
* 革靴×1
馬用品
* 飼葉マス×1
* 荒縄×1
* ロープ×3
* 蹄かき×1
* ブラシ×1
同行者
* リリア×1
* セナ×1
* シノ×1
* ルナ×1




