第64話「広がる話」
コウは目を覚ました。
離れの外へ出る。
リリアとセナも出てきた。
「行きましょうか」
「ああ」
3人で乾燥棚へ向かった。
薬草。
山椒。
セルハ草。
干し肉。
順番に確認する。
「まだですね」
「ああ」
問題はない。
コウは頷いた。
「ロイドのところ行くか」
「報告ですね」
「ああ」
シノも呼ぶ。
すぐに駆け寄ってきた。
「行くぞ」
3人と1匹は歩き始めた。
村の中を進む。
しばらくするとロイドの家が見えてきた。
「いたな」
家の前にロイドがいた。
荷物を確認している。
コウ達に気付くと顔を上げた。
「おう」
「ちょっと報告があってな」
ロイドは荷物から手を離した。
「なんだ?」
「新しい拠点を見つけた」
ロイドが眉を上げる。
「見つけたのか」
「ああ」
コウは洞窟のことを話した。
川。
滝。
周辺の森。
魚の多い場所。
罠を仕掛けたこと。
落とし穴を作ったこと。
一通り説明する。
ロイドは黙って聞いていた。
「なるほどな」
「悪くない場所だった」
「移るのか?」
「そのつもりだ」
ロイドは腕を組む。
「完全にか?」
「まだ先だ」
コウは首を振った。
「道も作らなきゃならん」
「だろうな」
「荷物も運ばんといかん」
洞窟は見つかった。
だが住むには準備が必要だ。
寝具。
棚。
生活用品。
色々足りない。
「ある程度整ったらだな」
「分かった」
ロイドは頷く。
そして何かを思い出したように言った。
「ああ、ちょうどいい」
「ん?」
「熊の報酬決まったぞ」
コウは少し驚いた。
「決まったのか」
「ああ」
村でも色々話し合ったらしい。
「本来なら金で渡す予定だったんだがな」
ロイドはコウを見る。
「新拠点作るんだろ?」
「ああ」
「だったら金より物の方がいいんじゃないかと思ってな」
コウも少し考える。
確かにそうだ。
今欲しいのは生活用品だ。
「確かにな」
「だから村で買う分はこっち持ちだ」
ロイドは笑った。
「好きなの選べ」
「助かる」
「ただし」
ロイドが指を立てる。
「あんまり高い物は勘弁しろよ」
リリアが笑う。
セナも少し笑った。
「分かってる」
「本当か?」
「多分な」
「怪しいな」
ロイドは呆れた。
だが機嫌は悪くない。
そのまま続ける。
「そういやウサギも2匹あるぞ」
「あるのか」
「ああ」
本来は売る予定だったらしい。
ロイドは肩を竦める。
「それも報酬に混ぜとく」
「いいのか?」
「どうせ干し肉になるんだろ」
「なるな」
コウは頷いた。
ありがたい話だった。
「助かる」
「熊の件がなけりゃ今頃誰かが食ってる」
ロイドは笑った。
そして話は続く。
「どうせまた町行くんだろ?」
「フェルドか?」
「ああ」
コウも頷く。
そのうち行くつもりだった。
「行くだろうな」
「その時はまた運送頼む」
「分かった」
リアカーの仕事は今後も続きそうだった。
ロイドは少し真面目な顔になった。
「それとだ」
「ん?」
「まだ先の話だがな」
コウは続きを待った。
「北の調査隊の話が出てる」
コウは眉を上げる。
「北か」
「ああ」
熊の件は村でもかなり話題になったらしい。
「また出る可能性もあるからな」
「だろうな」
「一度調べとこうって話になった」
今すぐではない。
だが動く可能性は高い。
「調査隊か」
「ああ」
ロイドは頷く。
「正直、戦える奴はいくらでもいる」
「でも考える奴が少ねえ」
ロイドは苦笑した。
「その時は知恵を貸してくれ」
「分かった」
その時だった。
「何の話だ?」
聞き慣れた声がした。
振り返る。
エミルだった。
「噂をすればだな」
ロイドが笑う。
エミルは首を傾げる。
「なんだ?」
「北の話だ」
「またか」
エミルは苦笑した。
「お前も大変だな」
「他人事みたいに言うな」
「俺は馬の方が忙しい」
エミルは即答した。
ロイドが呆れる。
「それでどうだった?」
コウが聞いた。
「ラザか?」
「ああ」
エミルは頷く。
「馬だらけだったな」
「そんなにか」
「多いなんてもんじゃない」
エミルは笑う。
「見渡す限り馬だ」
「値段も少し安かった」
「へえ」
「だから2頭買ってきた」
リリアが少し驚く。
「2頭もですか」
「ああ」
だがエミルは肩を竦めた。
「それでも全然足りん」
「そんなにか」
「そんなにだ」
荷運び。
行商。
依頼輸送。
最近は話がどんどん増えている。
「町の方からも話は来てる」
「受けてるのか?」
「無理だ」
エミルは笑った。
「今受けたら回らん」
ロイドも頷く。
「正直フェルドにも拠点が欲しいくらいだ」
「そこまでか」
「フェルドから先が遠いからな」
「向こうも最初は渋かったぞ」
エミルが言う。
「そうなのか」
「当たり前だ」
エミルは笑った。
「リース村なんて知らんからな」
ロイドも頷く。
「だから何回か通う」
「そのうち覚えてもらう」
「次はもう少し話しやすくなるだろ」
商売は積み重ねだ。
一度で終わる話ではない。
「ただな」
エミルが言う。
「リアカーはいけるかもしれん」
コウは少し興味を持った。
「見せたのか?」
「いや」
エミルは首を振る。
「今回は馬だけだ」
「馬飛ばしたから1日で着いた」
「早いな」
「ああ」
「だからリアカーは持って行ってない」
ロイドも納得していた。
「そりゃそうだな」
「だが話はできた」
エミルは笑う。
「特にバルクだな」
「鉱山村か」
「ああ」
「実物見せたら面白いかもしれん」
「次は何とか持って行きたいな」
その時だった。
「ああ、そういや」
何かを思い出したように言う。
「ついでに2人連れてきたぞ」
コウは首を傾げた。
「2人?」
「ああ」
エミルは頷く。
「バルクからだ」
ロイドも反応した。
「あいつらか」
「知ってるのか?」
「見たからな」
コウだけが話についていけない。
「誰だ?」
「ドワーフの兄妹だ」
コウはさらに首を傾げる。
「そんなのいたか?」
一瞬静かになる。
次の瞬間。
ロイドが吹き出した。
「気付いてなかったのか」
「ああ」
「お前最近朝から晩まで森だろ」
言われてみればその通りだった。
「いたのか」
「いたぞ」
エミルが笑う。
「3日くらい前からな」
本当に気付かなかった。
「村に住んでたのにか」
「住んでたからだ」
ロイドが笑う。
「お前が村にいなかった」
リリアも苦笑する。
「私は見ましたよ」
「私も見た」
セナも頷いた。
知らなかったのはコウだけだった。
「そうか」
エミルは肩を竦める。
「親父さんは木工職人だったらしい」
「だった?」
「もういない」
コウは黙って聞いた。
「鉱山の事故だ」
「事故か」
「ああ」
「父親も母親も亡くなったらしい」
コウは少し考えた。
「それで仕事探してたのか」
「そういうことだ」
「今はグレン工房にいる」
「なるほど」
「ただな」
エミルは少し困った顔をした。
「2人とも抱えるのは厳しい」
「1人くらいならお前の所でもどうだ?」
コウは少し考えた。
「何ができる?」
「木工もやる」
「他は?」
「会った方が早い」
その一言だった。
コウも頷く。
「行くか」
「ああ」
エミルが立ち上がる。
コウ達も動いた。
するとロイドも立ち上がる。
「お前も来るのか?」
「来るぞ」
「なんでだ?」
「お前買い物するだろ」
ロイドは当然のように言った。
「するな」
「俺が行かんとまずい」
コウは少し笑った。
「別に逃げんぞ」
「信用してない」
即答だった。
エミルが吹き出す。
リリアも笑う。
結局全員で向かうことになった。
コウ達はグレン工房へ向かった。
PL(第64話終了時)
39日目
開始:341ルク
収入
* なし
収入計:+0ルク
支出
* なし
支出計:-0ルク
終了:341ルク
BL(第64話終了時)
所持金
* 341ルク
食料
完成品
* 普通干し肉×11
* 塩干し肉×8
素材
* ウサギ×2
加工中
* 普通干し肉加工中×20
素材・薬品
* 薬草(乾燥)×83
* 薬草(乾燥中)×10
* 山椒(乾燥)×110
* 山椒(乾燥中)×10
* セルハ草(乾燥)×75
* セルハ草(乾燥中)×10
* 唐辛子(乾燥)×55
* クロム葉×多数
リアカー常備品
* 大箱×1
* 小箱×1
* 水桶×2
* 水袋×2
* 予備葉っぱ
* 予備紐
仮拠点保管
道具
* 剣×1
* 槍×1
* 片手斧×1
* ナタ×1
* ツルハシ×1
* ショベル×1
* 一輪車×1
* 弓×1
* 矢×20
* 吊るせるくん×1
網・罠
* 魚罠(設置中)×4
* 魚罠(未稼働)×4
* 動物罠(稼働中)×4
* 大型落とし穴×2
* 竹網×2
* 普通網×1
収納
* 大箱×1
* 小箱×1
壺管理
小壺
* 小壺(山椒粉)×38
* 小壺(唐辛子粉)×36
* 小壺(セルハ粉)×42
* 小壺(粉塩)×52
* 空き小壺×1
中壺
* 中壺A(粒塩)×60
* 中壺B(空)
生活用品
* 雑布×2
* 薪×多数
衣類
コウ
* 普段着×3
* 下着類
リリア
* 普段着×3
* 下着類
セナ
* 普段着×1
* 丈夫服×2
* 下着類
加工道具
* 小型すり鉢セット×6
個人装備
コウ
* 鉄製ナイフ×1
* 革手袋×1
* 革靴×1
* 水筒×1
* 背負いカバン×1
* 肩掛けカバン×1
リリア
* 鉄製ナイフ×1
* 普通カバン×1
* 葉っぱ収集袋×1
* 水筒×1
セナ
* 鉄製ナイフ×1
* 普通カバン×1
* 水筒×1
* 革手袋×1
* 革靴×1
馬用品
* 飼葉マス×1
* 荒縄×1
* ロープ×1
* 蹄かき×1
* ブラシ×1
同行者
* リリア×1
* セナ×1
* シノ×1
* ルナ×1




