第56話「街道の話」
夕方。
露店を畳んだコウ達は宿へ向かっていた。
フェルドの通りはまだ賑やかだった。
酒場。
行商。
荷車。
日が落ちても人の流れは残っている。
「町って夜も動くんだな」
セナが周囲を見る。
「フェルドはそんな感じだな」
コウが答える。
村とは違う。
夜でも人と物が動いている。
シノは横を歩き。
セナは自然にリアカーを引いていた。
もう確認もしない。
宿裏へ着く。
ルナは馬小屋側で休んでいた。
「ブルル」
「ただいま」
リリアが笑う。
コウはルナの足元を見る。
水も確認する。
「大丈夫そうだな」
シノはそのまま宿裏へ寝転がった。
その時。
リリアが干し場を見る。
「あ、もう乾いてます」
塩干し肉だった。
加工中だった10本。
十分乾いている。
「回収するか」
「はい」
3人で回収する。
そのまま葉っぱで包んでいく。
「こうやって包みます」
リリアが教える。
セナも横で真似する。
「こうか?」
「はい、上手です」
「土細工とかやってたからな」
少しずつ包み終える。
塩干し肉10本。
販売用完成。
「よし、飯行くか」
コウ達は食堂へ向かった。
食堂内は賑やかだった。
酒を飲む者。
商隊。
旅人。
色々な人間がいる。
席へ座る。
リリアが荷物を確認した。
「今日はかなり売れましたね」
「ああ」
本日販売。
普通干し肉24。
塩干し肉6。
塩漬け魚3。
乾燥薬草8。
「126ルクか」
コウが呟く。
セナが少し驚く。
「1日でそんなにか」
「今日は条件が良かった」
コウは冷静だった。
町。
熊騒ぎ。
人通り。
色々重なっている。
「でも四種掛け人気でしたね」
「酒飲み向きだったな」
そんな話をしていると。
「おう」
ドランがやって来た。
「戻ったか」
「ああ」
「今日はよく売れてたな」
ドランが笑う。
「あの粉掛けは面白い」
「宿でも使えそうか?」
「かなりな」
ドランは頷く。
「酒飲みは味変えられるの好きだからな」
山椒。
唐辛子。
セルハ。
塩。
組み合わせで変わる。
「ただ粉管理が面倒だぞ」
「そこなんだよな」
ドランも笑う。
「酔っ払いに勝手に触らせるわけにもいかんしな」
「小壺管理だな」
「ああ」
宿で出すなら。
注文。
量。
管理。
その辺を決める必要があった。
その後。
ドランがリアカーを見る。
「そういやあれ」
「あのリアカーってお前が作ったのか?」
コウは首を振る。
「いや」
「作ったのはグレンだ」
「グレン?」
「フェルドの工房職人」
「俺は形を考えただけ」
「作ったのも改良したのもグレンだな」
ドランは納得する。
「やっぱ職人仕事か」
「最近かなり見るぞ」
「そうなのか?」
「ああ」
「荷運びが変わってきてる」
木材。
薬草。
小さい荷物。
前より動かしやすくなったらしい。
「街道側だと分かる」
コウは少し考える。
「欲しいならグレンに言っとくぞ」
半分冗談で言う。
ドランが笑う。
「宿屋に何運ばせる気だ」
「案外便利だぞ」
「考えとくわ」
場が少し和む。
その時。
ドランが思い出す。
「そういや魚」
「あれも売れてたな」
「塩漬け魚か」
「ああ」
「高いのによく売れる」
コウは頷く。
「鍋向きだからな」
「鍋?」
「魚から出汁が出る」
「塩味も出る」
「だから追加の塩はいらない」
ドランが考える。
「具材は?」
「何でもいい」
「普通干し肉を切って入れてもいい」
「野菜でも豆でもいい」
リリアも頷く。
「結構美味しいですよ」
ドランは納得する。
「宿向きだな」
商隊。
旅人。
酒の後。
色々使える。
その後。
料理が運ばれてきた。
焼き肉。
スープ。
柔らかパン。
煮込み。
セナが肉を食べる。
「……柔らかい」
保存食とは違う。
温かい料理。
作りたての味。
「美味い」
自然に言葉が出た。
ドランが笑う。
「そりゃ良かった」
食事中。
コウは荷物から取り出した。
「そういや宿代」
「これでいけるか?」
普通干し肉2本。
塩漬け魚1匹。
ドランが見る。
「現物払いかよ」
「試すには丁度いいだろ」
「まあな」
ドランは笑った。
「もらっとく」
宿代精算完了。
その後。
話はルナへ移った。
「しかし馬の扱い丁寧だな」
ドランが言う。
「そうか?」
「ああ」
「街道じゃ馬を潰す奴もいる」
足。
水。
汗。
飼葉。
管理を怠れば馬は弱る。
「困るだろ」
コウが普通に答える。
「壊れたら」
ドランは少し笑う。
「その考え方出来る奴が少ないんだよ」
セナは黙って聞いていた。
そこでコウが聞く。
「そういや馬を増やすならどこだ?」
「馬?」
「ああ」
「村でもう足りなくなってきてる」
「ロイド達にも言われてる」
リアカー。
輸送。
荷運び。
便利になった分。
馬の需要が増えた。
「俺もいつか増やしたいけど」
「今はまず村だな」
ドランは頷く。
「ならラザだ」
「ラザ?」
リリアが聞く。
「街道の先の町だ」
「馬商が多い」
「商隊も集まる」
「荷馬も流れてくる」
フェルドより馬を探しやすいらしい。
「途中は?」
コウが聞く。
ドランが説明する。
リース。
フェルド。
ミルル。
バルク。
ラザ。
「ミルルは細工村だ」
木工。
編み細工。
小物作り。
手先の仕事が多い村。
「バルクは逆だ」
「鉱山村」
石材。
鉱石。
採掘。
力仕事中心。
「その先がラザ」
「物流の中心だ」
セナは静かに聞いていた。
知らない場所ばかりだった。
食事が終わる。
コウ達は宿裏へ向かった。
シノへ肉と骨を渡す。
「ワフ」
嬉しそうに食べる。
ルナも休んでいた。
コウは首を軽く撫でる。
「明日も頼むぞ」
「ブルル」
セナは夜の街道を見る。
リース。
フェルド。
ミルル。
バルク。
ラザ。
世界は思っていたより広かった。
まだ知らない場所がある。
少しだけ。
行ってみたいと思った。
シノが横へ座る。
「ワフ」
セナは少し笑った。
フェルドの夜は静かに続いていた。
PL(第56話終了時)
通常収支
開始:359ルク
収入:なし
支出:なし
終了:359ルク
現物精算
・ドラン宿代:普通干し肉×2、塩漬け魚×1(13ルク相当)
加工
・塩干し肉B×10:加工中→完成品
BL(第56話終了時)
所持金
・359ルク
完成品
・普通干し肉D×18
・塩干し肉A×4
・塩干し肉B×10
・塩漬け魚B×3
加工中
・なし
粉類
・山椒粉×44
・唐辛子粉×18
・セルハ粉×48
・粉塩×33
素材・薬品
・乾燥薬草×43
・生山椒×5
・乾燥山椒×80
・乾燥セルハ草×10
・乾燥唐辛子×25
リアカー積載品
・木箱(小)×1
・木箱(大)×1
・水桶×2
・水袋×2
・葉包み用葉
・予備袋類
・小物類
道具
・リアカー×1
・紐×5
・ショベル×1
・ツルハシ×1
・ナタ×1
・斧×1
・網×1
・竹網×2
・魚罠×8
・吊るせるくん×1
馬用品(木箱大)
・飼葉マス×1
・荒縄×1
・ロープ×1
・蹄かき×1
・ブラシ×1
予備資材
・予備ロープ×2
個人装備
コウ
・背負いカバン×1
・肩掛けカバン×1
・水筒×1
・革手袋×1
・ナイフ×1
・革靴×1
リリア
・カバン×1
・葉っぱ用袋×1
・水筒×1
・革手袋×1
・ナイフ×1
・革靴×1
セナ
・なし
仮拠点(離れ)
生活用品
・普通の布×1
・ボロ布×2
・薪×多数
調理器具
・鉄板×1
・中鍋×1
・古い大鍋×1
・小鍋×2
設備
・簡易かまど×1
同行者
・リリア
・セナ
・ルナ(馬)
・シノ(犬)




