第55話「露店の日」
フェルドの通り。
人通りはかなり多かった。
荷車。
行商。
職人。
セナが少し周囲を見る。
昨日よりさらに騒がしい。
コウ達は、
ドランの宿から露店側へ向かっていた。
ドランも一緒だった。
「そんな毎回売れるもんなのか?」
「場所次第だな」
コウが答える。
「今日は人多い方だ」
「熊騒ぎもあるしなぁ……」
ドランが少し笑う。
露店側では、
既に準備を始めている人間もいた。
コウ達も、
止めていたリアカー側へ向かう。
「よし、
始めるか」
「あ、はい」
露店側へ着くと。
コウはまず、
リアカーから木箱を下ろした。
通り端。
いつもの位置へ置く。
さらにその上へ、
販売布を被せた。
一気に露店らしくなる。
「おー……
ちゃんと店っぽいな」
セナが少し感心する。
「まぁ、
見た目は大事だからな」
コウが普通に返す。
その横で。
リリアが葉っぱ包みを並べ始める。
干し肉。
塩干し肉。
小壺。
塩漬け魚。
少しずつ露店が形になっていった。
「……本当に店になるんだな」
「まぁ、
毎回こんな感じだ」
コウは普通に答える。
その横で。
ドランが腕を組みながら、
露店側を見ていた。
「なるほどな……
ちゃんと店になってる」
「まぁ、
慣れたからな」
コウが答える。
ドランは客の流れを見る。
注文。
反応。
香り。
かなり真面目に確認していた。
その途中。
「お、
また来たな」
以前見た酒寄りの男達だった。
もう顔を覚えられている。
「今日は何ある?」
「干し肉と塩漬け魚だな」
コウが葉っぱ包みを開く。
肉の匂いが広がる。
「おー……
やっぱ腹減るなこれ」
かなり反応が良かった。
さらに。
「今日は熊積んでねぇのか」
「流石に置いてきた」
周囲が少し笑う。
熊騒ぎは、
もう普通に話題になっていた。
そのまま。
最初の客が干し肉を取る。
「山椒掛けくれ」
「あいよ」
リリアが粉を掛ける。
香りが広がる。
「やっぱこれだな」
かなり慣れた様子だった。
さらに別の客。
「山椒と唐辛子とセルハの三種掛けくれ」
「全掛けじゃねぇのか?」
コウが少し笑う。
「塩が足りねぇぞ」
「あ、
塩もあったのか」
周囲が少し笑った。
「じゃあそれも掛けてくれ」
「四種掛けだな。
5ルクになるけどいいか?」
「お、
結構するな」
男が少し笑う。
「まぁ面白そうだし頼むわ」
「毎度」
リリアが粉塩まで追加する。
香りが一気に強くなる。
「おー……
これ凄ぇな」
客が少し笑う。
周囲まで普通に匂いを嗅いでいた。
「なんか酒欲しくなる匂いだな……」
「分かる」
酒寄り客達まで頷いていた。
ドランはその様子を見ながら、
少し笑っている。
「これ絶対酒場向きだわ……」
さらに。
「山椒二度掛け出来るか?」
「出来る」
リリアが追加で山椒粉を振る。
香りが一気に強くなった。
「うお、
こっちもすげぇな」
「鼻に来る……」
周囲まで少し笑う。
酒寄りの男が匂いを嗅ぎながら頷いた。
「これ絶対酒進むわ」
「多分な」
コウが普通に返す。
ドランはそのやり取りを見ながら、
かなり納得していた。
「なるほどなぁ……」
客回転。
注文。
反応。
全部確認している。
さらに。
「これ、
うちでもやらせてくれ」
コウが少し止まる。
「宿でか?」
「ああ。
酒場側と相性良いわこれ」
リリアも少し納得していた。
「確かに酒飲み多いですしね」
ドランは頷く。
「特に二種掛けとか好きそうだ」
「四種掛けまであるぞ」
「マジかよ」
かなり楽しそうだった。
その後。
ドランは大きく頷く。
「分かった。
続きは宿で聞くわ」
「ああ」
「流石に戻らんと仕事溜まる」
そう言って、
宿側へ戻っていった。
そこからは、
コウ達だけになる。
客はまだ来る。
セナはその空気を見ていた。
肉が売れる。
加工で値段が変わる。
客が味を選ぶ。
森側では無かった世界だった。
「……変だな」
「何が」
「肉に名前付いてる」
コウが少し笑う。
「売るなら必要なんだよ」
セナはまだ少し理解し切れていない。
だが。
少しずつ分かり始めている。
保存する。
加工する。
運ぶ。
売る。
それで生活が回っている。
かなり不思議だった。
さらに。
別の客が塩漬け魚を見る。
「魚か?」
「ああ」
「高くね?」
1匹7ルク。
普通に高い。
コウも頷く。
「高いぞ」
「おい」
周囲が笑う。
だが。
「その代わり、
出汁かなり出る」
「出汁?」
「魚食った後、
煮ればスープになる」
客が少し止まる。
「……酒には合いそうだな」
「合うと思う」
そのまま1匹売れた。
さらに。
「おい、
その魚まだあるか?」
「あるぞ」
「じゃあ2つくれ」
酒場帰りらしい男だった。
「宿持って帰る」
「あいよ」
リリアが包む。
塩漬け魚は、
思ったより反応が良かった。
さらに。
「薬草もあるのか?」
「ああ。
乾燥済みだ」
旅人風の男が少し見る。
「街道用か」
「そんな感じだな」
「じゃあ2つ」
薬草まで少しずつ動いていた。
さらに。
「おい、
そのリアカー例の奴か?」
通り側の男が、
荷台を見る。
「ああ」
「最近増えたよなぁ」
別の男まで頷く。
「荷運びかなり変わったぞ」
「見りゃ分かる」
以前より、
通り側でもリアカーが増えていた。
木材。
荷袋。
布。
細かい荷運び。
少しずつ。
街道側まで変わり始めている。
セナはその流れを見ていた。
森。
村。
町。
全部繋がっている。
リアカー1つで、
そこまで変わるとは思っていなかった。
「……これ、
そんな凄いのか」
「まぁ便利だからな」
コウが普通に返す。
「前よりかなり運べる」
セナはもう一度、
リアカーを見る。
荷物。
人の流れ。
街道。
その真ん中で、
リアカーは普通に使われ始めていた。
以前の自分なら、
こんな光景は想像もしなかった。
夕方。
少しずつ客波も落ち着き始める。
コウ達は露店近くの木陰側へ移動した。
水を飲む。
流石にかなり動いていた。
「……疲れるなこれ」
セナが少し息を吐く。
「慣れるともうちょい楽」
コウが普通に返した。
その途中。
リリアがふと、
セナの足元を見る。
「……靴、
かなり傷んでますね」
底もかなり削れている。
「まぁ……
ずっとこれ」
「明日買うか」
コウが普通に言った。
セナが少し止まる。
「……いいのか?」
「怪我される方が困る」
かなり現実的だった。
「水筒もいるな」
「あ、
確かに」
「革手袋もいるか」
セナは少し黙る。
普通なら。
そんな物は、
自分でどうにかするものだった。
だが。
この二人は、
かなり自然に共同体側へ組み込もうとしている。
まだ少し慣れない。
だが。
嫌ではなかった。
その後。
コウ達は立ち上がる。
「そろそろ戻るか」
「あ、はい」
リリアも荷物を持つ。
その途中。
セナが先にリアカー側へ向かった。
そして。
かなり自然に、
持ち手を掴む。
引こうとしていた。
コウは何も言わない。
ただ静かに見ている。
セナも、
もう確認しない。
そのまま普通に引き始めた。
シノも当然のように横を歩く。
「ワフ」
リリアはその様子を見て、
少しだけ笑った。
夕方のフェルド。
人の声が響く中。
コウ達は宿へ向かって歩いていった。
PL(第55話終了時・修正版)
通常収支
項目増減
開始233ルク
普通干し肉販売
+72ルク
塩干し肉販売
+21ルク
塩漬け魚販売
+21ルク
乾燥薬草販売
+12ルク
終了
359ルク
⸻
依頼関連預かり(別管理)
販売側預かり
* 木材・木炭売却金
60ルク
* 販売依頼前受け手数料
12ルク
合計72ルク預かり
⸻
購入側預かり
* 小麦購入依頼
予想価格30ルク
上限価格40ルク
預かり40ルク
* 塩購入依頼
予想価格20ルク
上限価格25ルク
預かり25ルク
* 鉄類購入依頼
予想価格30ルク
上限価格35ルク
預かり35ルク
購入依頼預かり合計
100ルク
購入依頼前受け手数料
16ルク預かり
⸻
依頼関連総預かり
188ルク
※全額未精算
※通常所持金へ未編入
⸻
食料変動
* 普通干し肉 合計24販売
* 塩干し肉 合計6販売
* 塩漬け魚 合計3販売
* 乾燥薬草 合計8販売
⸻
粉類消費
* 山椒粉 使用12
* セルハ粉 使用8
* 唐辛子粉 使用7
* 粉塩 使用2
⸻
BL(第55話終了時・修正版)
完成品(携帯・販売用)
* 普通干し肉A 完売
* 普通干し肉B 完売
* 普通干し肉C 完売
* 普通干し肉D×20
* 塩干し肉A×4
* 塩漬け魚B×4
⸻
加工中
* 塩干し肉B×10
※町滞在中継続加工
⸻
粉類
* 山椒粉×44
* 唐辛子粉×18
* セルハ粉×48
* 粉塩×33
⸻
素材・薬品
* 乾燥薬草×43
* 生山椒×5
* 乾燥山椒×80
* 乾燥セルハ草×10
* 乾燥唐辛子×25
⸻
販売関連
* 四種掛け販売開始
* 二種掛け・三種掛け販売確認
* 山椒二度掛け販売確認
* ドラン 酒場導入検討開始
⸻
依頼関連
* 木材・木炭販売完了
* 販売関連72ルク預かり中
* 購入関連116ルク預かり中
* ロイド側未精算状態
⸻
同行状況
* セナ 初露店営業確認
* セナ 商売・物流文化を体験
* セナ 共同体参加意識が強まり始める




