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コウの物語  作者: パルス


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第4話「繋がり」



 朝。


 目を覚ましてすぐ、コウは外を確認した。


 静かだった。


 昨日までと同じ、変化のない森。


(……今日は外れそうだな)


 なんとなく、そんな気がした。


「まあ、やるか」


 立ち上がり、いつもの流れで動き出す。



 まずは罠。


 設置した場所へ向かう。


 歩きながら、嫌な予感が少しずつ強くなる。


 そして――


「……外れか」


 罠には何も掛かっていなかった。


 痕跡も薄い。


 今日は完全に空振りだ。


「きついな、これは」


 小さく息を吐く。


 肉が入らないのは痛い。



 次に山椒の場所へ向かう。


 実はなっている。


 量も悪くない。


 だが――


「……今日はいいか」


 手を伸ばしかけ、止める。


 肉がないなら使わない。


 無駄に採っても意味がなかった。


 判断し、そのまま引き返す。



 帰り道。


 山菜を見つける。


 葉は広がっている。


 量もある。


 一瞬、足が止まった。


(……いや、駄目だな)


 コウは小さく首を振る。


 鍋がない。


 ちゃんと煮られない。


 アクも抜けない。


 焼くだけで食えば、腹を壊す可能性が高かった。


(酸味も強いしな……)


 この世界へ来てから、そこはなんとなく分かっていた。


 刺激が強いものは危ない。


 まして、今は腹を壊す余裕なんてない。


「……ひもじいな」


 ぽつりと漏れる。


 だが、採らない。


 食えないものを抱えても意味はなかった。



 次は薬草。


 いつもの場所を回る。


「……五つか」


 悪くはない。


 だが、多くもなかった。


 とりあえず確保しておく。



 そのまま川へ向かう。


 水面を覗き込む。


「頼むぞ……」


 軽く追い込みを試す。


 結果――


「……一匹」


 苦笑が漏れた。


「坊主よりはマシか」


 小さく呟く。


 魚を持ち上げる。


 細い。


 大きくもない。


「やっぱ弱いな」


 その場で焼いて食べる。


 足りない。


 全然足りなかった。


 だが、魚は仕方ない。


 時間が経つと、一気に臭みが強くなる。


 腹も壊しやすい。


(……保存向きじゃないな)


 加工出来る肉との差を、コウは少しずつ理解し始めていた。



 拠点へ戻る。


 火の前へ座る。


 だが、追加で食うものはない。


 腹は減っている。


 それでも、今ある干し肉を減らしすぎるわけにもいかなかった。


(今日は厳しいな……)


 そう思った、その時だった。


 ――音。


 微かな足音。


 枝を踏む気配。


 コウは顔を上げた。


(……来たな)


 ゆっくり立ち上がる。


 視線の先。


 人影が三つ。


 剣。


 槍。


 弓。


(狩り組か)


 その視線が、すぐ別のものへ向く。


 ――獲物。


 ウサギが二体。


(……いけるな)


 判断は早かった。



 コウはゆっくり前へ出る。


「――ちょっといいか」


 三人がこちらを見る。


 警戒はある。


 だが敵意はない。


 コウは距離を保ったまま、手を見せた。


 そして――


 干し肉を取り出す。


 風に乗って香りが広がる。


 三人の反応が変わった。


 明らかに食いついた。


(やっぱりな)


「交換、しないか?」


 短く伝える。


 三人が顔を見合わせた。


 視線は干し肉とウサギを行き来している。


 コウは軽く考える。


(普通なら――)


 干し肉一つで、ウサギ一体。


 それが妥当。


 だが今回は違う。


(三人いるしな)


 小さく息を吐く。


「三つ出す」


 指で示す。


「そっちは、その二体でいい」


 少し間が空く。


 三人はまた顔を見合わせ――


 すぐに頷いた。


「いいぞ」


 あっさり決まる。



 交換成立。


 干し肉三つ。


 ウサギ二体。


 受け取る。


 ずしりとした重み。


(……十分だな)


 向こうはすでに干し肉を口へ運んでいた。


 反応は分かりやすい。


「うまっ……!」


「なんだこれ……」


「味ついてるぞ……!」


(まあ、そうなるよな)


 少しだけ口元が緩む。


(かなり得だな)


 頭の中で計算する。


 ウサギ一体で干し肉五つ。


 二体なら十。


 それを三つで手に入れた。


(悪くない)



 ふと、一人が声をかけてくる。


「なあ、次いつ来る?」


 コウは少し考えた。


「……三日後でどうだ?」


「いいな」


 すぐ返ってくる。


 そこで、もう一歩踏み込む。


「できれば、肉……多めに用意してもらえると助かる」


 一人が肩をすくめた。


「それは狩り次第だな」


「約束はできねえが、まあ頑張る」


「……それでいい」


 無理は言わない。


 そして、もう一つ。


「あと、村の場所。教えてもらえないか?」


 三人が少し反応する。


 少し考え――


 一人が口を開いた。


「じゃあ、三日後だな」


「次の取引が終わったら、案内してやる」


 コウは軽く頷く。


「それでいい」


 約束成立だった。



 少しの沈黙。


 やがて――


「じゃあな」


 三人が去っていく。


 コウはその背中を見送り、小さく呟く。


「……繋がったな」



 拠点へ戻る。


 すぐに作業へ入った。


 石ナイフを取り出す。


 ウサギを捌く。


(やっぱり、この量は助かるな)


 肉を分ける。


 干し肉用へ回す。


 山椒を取り出す。


「10、使うか」


 潰し、擦り込む。


 干し場へ吊るす。


 風へ当てる。


 これで――


 回る。



 作業を終え、腰を下ろす。


 干し肉を2つ取り出した。


「……今日は食っとくか」


 ゆっくり噛む。


 味が広がる。


「……やっぱ、これだな」


 ようやく落ち着いた。



 空を見上げる。


(村、か)


 少しだけ笑う。


「面白くなってきたな」


 最後に在庫を確認した。



収支表(第4話終了時点)


開始


* 干し肉:6

* 山椒:20粒

* 薬草:10束

* ルク:0



採取・加工


* 薬草5束採取

* 魚1匹捕獲

* ウサギ2体入手

→ 干し肉加工



交換


* 干し肉3

→ ウサギ2体交換



消費


* 魚1匹消費

* 山椒10粒

→ 干し肉加工用

* 干し肉2消費



終了


* 干し肉:11

* 山椒:10粒

* 薬草:15束

* ルク:0



資産表(第4話終了時点)


携帯資産


武器


* 木槍1

* 石ナイフ2



作業用品


* 石斧1



食料


* 干し肉11



素材


* 薬草15束

* 山椒10粒



通貨


* 0ルク



固定資産


* 簡易拠点1

* 干し肉ラック1

* 薬草乾燥場所1

* 簡易罠数個

* 簡易魚囲い1


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