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コウの物語  作者: パルス


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第2話「拠点」



 朝。


 コウは目を覚ました。


 焚き火はほとんど消えている。


 残った熱だけが、わずかに地面へ残っていた。


「……寒いな」


 小さく呟き、体を起こす。


 周囲を確認する。


 異常はない。


 昨日仕掛けた罠も気になったが、まずは考えるべきことがあった。


(このままじゃ長く持たないな)


 食料は少ない。


 水場も固定できていない。


 昨日は生き延びるので精一杯だった。


 だが、これからは違う。


 生き残るには、生活を作る必要がある。


「……拠点、探すか」


 コウは立ち上がった。



 森の中を歩く。


 まず必要なのは水だった。


 川があれば飲める。


 魚もいるかもしれない。


 動物も集まりやすい。


 逆に言えば、人も来る可能性がある。


「まあ、それは後で考えるか」


 地形を見る。


 低い場所。


 湿った空気。


 耳を澄ませる。


 しばらく進み――


 水の音が聞こえた。


「……あったか」


 木々を抜ける。


 そこには小さな川が流れていた。


 幅は狭い。


 だが、水は澄んでいる。


 コウはしゃがみ込み、手ですくう。


 匂いを確認する。


 濁りも少ない。


「悪くないな」


 周囲を見渡す。


 開けすぎていない。


 だが閉鎖的でもない。


 逃げ道もある。


 近くには倒木もあり、資材にも困らなそうだった。


「……ここにするか」


 拠点が決まった。



 まずは川を観察する。


 水面を覗くと、小さな魚影が見えた。


「魚もいるか」


 試しに手を突っ込む。


 当然、逃げられる。


「まあ、そうなるよな」


 苦笑する。


 今度は石を並べ、浅瀬へ追い込む。


 逃げ道を塞ぎながら少しずつ狭める。


 何度も失敗し――


 ようやく2匹捕まえた。


「……疲れる割に少ないな」


 火を起こす。


 魚を枝へ刺し、そのまま焼いた。


 脂は少ない。


 味も薄い。


 だが空腹は満たされる。


「魚は保存向きじゃないな」


 頭の中で整理する。


 魚はその日用。


 肉は保存用。


 山菜や薬草は補助。


「やっぱ主力は肉か」


 食べ終え、立ち上がる。


「次は道具だな」



 川辺で石を探す。


 硬そうな石。


 割れやすそうな石。


 何度か打ち合わせる。


 失敗。


 また失敗。


 それでも繰り返し――


 ようやく鋭い破片ができた。


「……これなら切れるか」


 指先で慎重に触る。


 十分鋭い。


「二本作るか」


 一つは解体用。


 一つは加工用。


 用途を分けた方が効率がいい。


 次は枝を探す。


 真っ直ぐな木を選び、石刃で削る。


 先端を細く整えていく。


「……こんなもんだろ」


 簡素な木槍が完成した。


 見た目は頼りない。


 だが、何もないより遥かにいい。



 次に石斧を作る。


 短めの枝を拾う。


 先端へ割れ目を入れる。


 そこへ平たい石を押し込んだ。


「固定しないとな」


 周囲を探し、細い蔓を見つける。


 何重にも巻き付け、締め上げる。


 軽く振る。


 石は外れない。


「……まあ使えそうだな」


 完全ではない。


 だが木を切る程度なら問題なかった。



 さらに小石も集める。


「投げる用」


 近づけない相手への牽制。


 音を出す用途にも使える。


 使える物は使う。


 それが今のコウだった。



 道具を揃えた後、拠点作りへ入る。


 倒木の近くを利用する。


 枝を組む。


 葉を重ねる。


 雨風を多少防げれば十分だった。


 さらに近くへ簡単な干し台を作る。


 肉を吊るすためのラックだ。


 別の場所には薬草を乾燥させる場所も確保する。


「……最低限、だな」


 豪華さはいらない。


 今必要なのは、生き延びるための機能だった。



 次に罠を作る。


 昨日見た構造を思い出す。


 曲がる枝。


 踏み板。


 蔓。


 試しながら組み上げる。


「こんな感じか」


 簡易罠を3つ設置した。


 場所は獣道付近。


 踏み跡が多い場所を選ぶ。


 その途中で、


 薬草。


 山椒。


 食べられそうな草。


 それらも回収していく。


 少しずつ、この森の地形が頭へ入ってきていた。



 日が傾き始めた頃。


 罠を確認して回る。


 1つ目は空。


 2つ目も反応なし。


「そんな甘くないか」


 そして3つ目。


 草が揺れていた。


「……かかったか」


 近づく。


 小さな獣だった。


 ウサギに近い。


 暴れてはいるが、大きくはない。


「初日なら十分だな」


 手早く処理する。


 血抜き。


 解体。


 石ナイフにも少し慣れてきていた。


 肉を切り分ける。


 一部はその日の食事。


 残りは細長く切り、干し肉用へ回す。


 山椒を軽く擦り込み、ラックへ吊るした。


「少しでも持たせないとな」



 作業を終え、コウは腰を下ろした。


「さて……」


 その時。


 地面に違和感を見つける。


「……足跡?」


 しゃがみ込む。


 人の足跡だった。


 それだけではない。


 周囲には獣の足跡も多い。


 そして、人の跡は獣道へ沿うように続いていた。


「……なるほどな」


 理解する。


 これは偶然じゃない。


 繰り返し使われている。


「狩りしてるな、これ」


 誰かが、この森で生活している。


 あるいは利用している。


「……人はいる、か」


 少し考える。


 だが、すぐ接触する気にはならなかった。


 相手が善人とは限らない。


 むしろ警戒するべきだ。


「会うだけじゃ意味ないしな」


 必要なのは情報。


 人数。


 装備。


 性格。


 危険性。


「……まずは観察だな」


 結論を出す。


 明日、足跡を追う。


 距離を取って様子を見る。


 それから判断する。



 日が沈み始める。


 コウは拠点を見渡した。


 粗末だ。


 だが、昨日よりは遥かにマシだった。


「……悪くない」


 静かに呟く。


 手元の物を並べる。


「在庫、確認しとくか」



【在庫】


・干し肉:3

・山椒:10粒

・薬草:5束



「……まあ、ゼロじゃないか」


 少しずつ増えている。


 それだけで十分だった。


 コウは横になる。


 焚き火の火が揺れる。


 森の音が静かに響く。


(まずは安定だな)


 明日は人を確認する。


 焦る必要はない。


 観察して、判断する。


 そう決めながら、コウは静かに目を閉じた。



日数管理(2日目)


* 朝:拠点候補を探して移動開始

* 昼:川を発見、水場確保

* 昼過ぎ:魚2匹捕獲・消費

* 夕方前:石ナイフ・木槍・石斧制作

* 夕方:簡易拠点、干し肉ラック、乾燥場所作成

* 夕方:簡易罠3設置

* 夜前:罠で小動物1匹確保、干し肉加工

* 夜:人の足跡を発見、翌日の観察を決定



収支表(2日目終了時点)


開始


* 干し肉:1

* 薬草:2束

* 山椒:3粒

* ルク:0



採取


* 薬草:3束採取

* 山椒:7粒採取

* 小魚:2匹捕獲

* 小動物:1匹捕獲



加工・消費


* 小魚2匹消費

* 小動物解体

* 小動物肉→干し肉加工



制作


* 石ナイフ:2

* 木槍:1

* 石斧:1

* 簡易拠点:1

* 干し肉ラック:1

* 薬草乾燥場所:1

* 簡易罠:3



終了


* 干し肉:3

* 薬草:5束

* 山椒:10粒

* ルク:0



資産表(2日目終了時点)


携帯資産


武器


* 木槍:1

* 石ナイフ:2

* 投石用小石:数個



作業用品


* 石斧:1



食料


* 干し肉:3



素材


* 薬草:5束

* 山椒:10粒



通貨


* 0ルク



固定資産


* 簡易拠点:1

* 干し肉ラック:1

* 薬草乾燥場所:1

* 簡易罠:3


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