第2話「拠点」
朝。
コウは目を覚ました。
焚き火はほとんど消えている。
残った熱だけが、わずかに地面へ残っていた。
「……寒いな」
小さく呟き、体を起こす。
周囲を確認する。
異常はない。
昨日仕掛けた罠も気になったが、まずは考えるべきことがあった。
(このままじゃ長く持たないな)
食料は少ない。
水場も固定できていない。
昨日は生き延びるので精一杯だった。
だが、これからは違う。
生き残るには、生活を作る必要がある。
「……拠点、探すか」
コウは立ち上がった。
◇
森の中を歩く。
まず必要なのは水だった。
川があれば飲める。
魚もいるかもしれない。
動物も集まりやすい。
逆に言えば、人も来る可能性がある。
「まあ、それは後で考えるか」
地形を見る。
低い場所。
湿った空気。
耳を澄ませる。
しばらく進み――
水の音が聞こえた。
「……あったか」
木々を抜ける。
そこには小さな川が流れていた。
幅は狭い。
だが、水は澄んでいる。
コウはしゃがみ込み、手ですくう。
匂いを確認する。
濁りも少ない。
「悪くないな」
周囲を見渡す。
開けすぎていない。
だが閉鎖的でもない。
逃げ道もある。
近くには倒木もあり、資材にも困らなそうだった。
「……ここにするか」
拠点が決まった。
◇
まずは川を観察する。
水面を覗くと、小さな魚影が見えた。
「魚もいるか」
試しに手を突っ込む。
当然、逃げられる。
「まあ、そうなるよな」
苦笑する。
今度は石を並べ、浅瀬へ追い込む。
逃げ道を塞ぎながら少しずつ狭める。
何度も失敗し――
ようやく2匹捕まえた。
「……疲れる割に少ないな」
火を起こす。
魚を枝へ刺し、そのまま焼いた。
脂は少ない。
味も薄い。
だが空腹は満たされる。
「魚は保存向きじゃないな」
頭の中で整理する。
魚はその日用。
肉は保存用。
山菜や薬草は補助。
「やっぱ主力は肉か」
食べ終え、立ち上がる。
「次は道具だな」
◇
川辺で石を探す。
硬そうな石。
割れやすそうな石。
何度か打ち合わせる。
失敗。
また失敗。
それでも繰り返し――
ようやく鋭い破片ができた。
「……これなら切れるか」
指先で慎重に触る。
十分鋭い。
「二本作るか」
一つは解体用。
一つは加工用。
用途を分けた方が効率がいい。
次は枝を探す。
真っ直ぐな木を選び、石刃で削る。
先端を細く整えていく。
「……こんなもんだろ」
簡素な木槍が完成した。
見た目は頼りない。
だが、何もないより遥かにいい。
◇
次に石斧を作る。
短めの枝を拾う。
先端へ割れ目を入れる。
そこへ平たい石を押し込んだ。
「固定しないとな」
周囲を探し、細い蔓を見つける。
何重にも巻き付け、締め上げる。
軽く振る。
石は外れない。
「……まあ使えそうだな」
完全ではない。
だが木を切る程度なら問題なかった。
◇
さらに小石も集める。
「投げる用」
近づけない相手への牽制。
音を出す用途にも使える。
使える物は使う。
それが今のコウだった。
◇
道具を揃えた後、拠点作りへ入る。
倒木の近くを利用する。
枝を組む。
葉を重ねる。
雨風を多少防げれば十分だった。
さらに近くへ簡単な干し台を作る。
肉を吊るすためのラックだ。
別の場所には薬草を乾燥させる場所も確保する。
「……最低限、だな」
豪華さはいらない。
今必要なのは、生き延びるための機能だった。
◇
次に罠を作る。
昨日見た構造を思い出す。
曲がる枝。
踏み板。
蔓。
試しながら組み上げる。
「こんな感じか」
簡易罠を3つ設置した。
場所は獣道付近。
踏み跡が多い場所を選ぶ。
その途中で、
薬草。
山椒。
食べられそうな草。
それらも回収していく。
少しずつ、この森の地形が頭へ入ってきていた。
◇
日が傾き始めた頃。
罠を確認して回る。
1つ目は空。
2つ目も反応なし。
「そんな甘くないか」
そして3つ目。
草が揺れていた。
「……かかったか」
近づく。
小さな獣だった。
ウサギに近い。
暴れてはいるが、大きくはない。
「初日なら十分だな」
手早く処理する。
血抜き。
解体。
石ナイフにも少し慣れてきていた。
肉を切り分ける。
一部はその日の食事。
残りは細長く切り、干し肉用へ回す。
山椒を軽く擦り込み、ラックへ吊るした。
「少しでも持たせないとな」
◇
作業を終え、コウは腰を下ろした。
「さて……」
その時。
地面に違和感を見つける。
「……足跡?」
しゃがみ込む。
人の足跡だった。
それだけではない。
周囲には獣の足跡も多い。
そして、人の跡は獣道へ沿うように続いていた。
「……なるほどな」
理解する。
これは偶然じゃない。
繰り返し使われている。
「狩りしてるな、これ」
誰かが、この森で生活している。
あるいは利用している。
「……人はいる、か」
少し考える。
だが、すぐ接触する気にはならなかった。
相手が善人とは限らない。
むしろ警戒するべきだ。
「会うだけじゃ意味ないしな」
必要なのは情報。
人数。
装備。
性格。
危険性。
「……まずは観察だな」
結論を出す。
明日、足跡を追う。
距離を取って様子を見る。
それから判断する。
◇
日が沈み始める。
コウは拠点を見渡した。
粗末だ。
だが、昨日よりは遥かにマシだった。
「……悪くない」
静かに呟く。
手元の物を並べる。
「在庫、確認しとくか」
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【在庫】
・干し肉:3
・山椒:10粒
・薬草:5束
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「……まあ、ゼロじゃないか」
少しずつ増えている。
それだけで十分だった。
コウは横になる。
焚き火の火が揺れる。
森の音が静かに響く。
(まずは安定だな)
明日は人を確認する。
焦る必要はない。
観察して、判断する。
そう決めながら、コウは静かに目を閉じた。
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日数管理(2日目)
* 朝:拠点候補を探して移動開始
* 昼:川を発見、水場確保
* 昼過ぎ:魚2匹捕獲・消費
* 夕方前:石ナイフ・木槍・石斧制作
* 夕方:簡易拠点、干し肉ラック、乾燥場所作成
* 夕方:簡易罠3設置
* 夜前:罠で小動物1匹確保、干し肉加工
* 夜:人の足跡を発見、翌日の観察を決定
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収支表(2日目終了時点)
開始
* 干し肉:1
* 薬草:2束
* 山椒:3粒
* ルク:0
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採取
* 薬草:3束採取
* 山椒:7粒採取
* 小魚:2匹捕獲
* 小動物:1匹捕獲
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加工・消費
* 小魚2匹消費
* 小動物解体
* 小動物肉→干し肉加工
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制作
* 石ナイフ:2
* 木槍:1
* 石斧:1
* 簡易拠点:1
* 干し肉ラック:1
* 薬草乾燥場所:1
* 簡易罠:3
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終了
* 干し肉:3
* 薬草:5束
* 山椒:10粒
* ルク:0
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資産表(2日目終了時点)
携帯資産
武器
* 木槍:1
* 石ナイフ:2
* 投石用小石:数個
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作業用品
* 石斧:1
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食料
* 干し肉:3
⸻
素材
* 薬草:5束
* 山椒:10粒
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通貨
* 0ルク
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固定資産
* 簡易拠点:1
* 干し肉ラック:1
* 薬草乾燥場所:1
* 簡易罠:3




