76(フェルソニー視点)
そこで以前平民街にはラフな格好のものが多いと聞いた事を思い出した。
「平民街ならあるかもしれないな」
しかしそれには1つ問題があった。
この国には貴族街と平民街がある。
今までほとんど貴族街しか案内した事がないし平民街は治安が悪い。
でもどうしても行きたいと強請るカトリナに僕は勝てない。
そのため万全の体制を整えたはずだったのにいつの間にかカトリナ達の姿が見えなくなっていた。
平民街の服屋を回っても丈が短かったり反対に長かったりなかなか理想のものが見つからない。
一旦昼食を摂ろうとたくさん出ていた屋台で色々なものを買ってわいわい食べていた。
食べ終わり片付けのために少し席を離れた隙に居なくなってしまった。
(目を離すべきではなかった…バカだ)
僕はすぐに貴族街にいる警備隊を呼んで一緒に探す。
走り回った末、声が聞こえて向かうとそこにはカトリナがいた。
「カトリナ、大丈夫?」
幸い2人に怪我はなかったが今日はもう帰った方が良いと思い
「今日はもう帰ろうか」
そう言った。
「あの…もう少しだけ…だめですか?」
のに上目遣いでそう言われて断れなかった。
「あぁ…僕がカトリナのお願いに弱いって知っててやってるでしょ。絶対僕達から離れちゃだめだよ。約束できる?」
「はい!」
そうして馬車を呼び仕立て屋に向かった。
「いらっしゃいませ」
「妹の服を作って欲しいんだが」
「はい。どのようなものを?」
「ズボンというものなのですが」
「聞いた事はあるか?」
仕立て屋とのやり取りは万が一を考え僕がする。
「いえ。ありませんね〜どのようなものか教えてもらえますか?」
「この紙を貸してもらえますか?書きますから」
そう言ったカトリナは時より隣にいるネリアに目配せしながらさらさらと描いていく。
「もちろんです」
「できました!」
カトリナは描いたものを店主に笑顔で差し出した。
「ほぉほぉ…」
「できるかな?」
店主の考えている表情を見て聞く。
「やってみますので時間をください」
「分かった。お金はいくらでも払う。できたらここに連絡をくれ」
僕の連絡先を書いた紙を渡した。
「かしこまりました」
お店を出て馬車に乗るとお金は大丈夫かと聞いてきたので大丈夫だと伝えた。
僕もカトリナのためにお金を使えるなら喜んで使うつもりだ。
しかもそれが新たな流行を創るかもしれないとなれば出さない理由はない。
その翌日。
大事な話があると呼び出された。
「君の妹さんの件だが声をかけた男は金でなんでもやるという悪名高い男で君や妹さんの誘拐なども依頼を受けたようだ」
「私達のですか!?」
「そうだ。先日来た警備隊の方々も警戒にあたるようだが念のため気をつけてくれとのことだ。そして再度協力要請もあった。どうやら先日の傷害事件と今回の件は繋がっていると見ているようだ」
「そうですか…」
いきなりの事に頭が追いつかない。
「それで申し訳ないのだが妹さんとこの舞踏会に出席して欲しい。出来れば妹さんの侍女も一緒に」
「そんな…危険な状況の中に僕の妹を連れて行けと言うんですか?」
「本来はこっちで人員を用意するべきなんだが調整が上手くいかなくてな。それに警備隊から今回の舞踏会は君達の顔を知ってる奴が来る可能性があるからどうしても君達に来て欲しいと頼まれてな」
「だからって…そんな事できません!なんとか人員調整できないんですか?」
「ペアでの参加が必須なんだ。うちは女性が少ないから…もちろん職員を各所に潜入させて警備はしっかりするしライドにも行ってもらう許可を取った。ライドなら武術の心得があるだろ?な?頼む。今回だけだから」
上司に頭を下げられたら従わざる得ない。
「分かりました…本当に今回だけですからね?」
「ああ。もちろんだ。ありがとう。ちなみに今回の事は…」
部長が分かってるだろという目を向けてくる。
「分かってますよ」
「頼む」
僕達には守秘義務があり関係者であってもあまり詳しい事は言えない。
やれやれと思いながらカトリナ達に舞踏会の話をした。
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