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それから私達は市場に出向いて食材を買い和食を作るために試行錯誤した。
というのもカドーニ王国には前世と似た野菜はあるものの完全に同じかと言われると違う。
少し硬かったり形が違ったりそれによって最適な調理方法も変わってくる。
私も仕事がない日は最適な調理法を探るために何時間も厨房に立った。
休日はお嬢様の他にカミィさんやジェフさんにも協力を得て普段はどんな風に調理しているのかなどを聞いたりした。
でもさすがだ。
お嬢様はすぐに1番美味しい調理の仕方を見つけ出しメニューまで決めてしまった。
やはり主婦としての長年の経験は侮れないと思った瞬間だった。
こうして迎えた歓迎会当日。
場所は近くの公園に指定した。
「だって参加してくれる人も多いみたいだしいくら閑散期とはいえ宿を使わせてもらうのも気が引ける。お兄様のアパートもそこまで広くはないみたいだしだったら公園が1番いいじゃない。人が多くても大丈夫だしここで作って持って行けば良い」
と言っていた。
前日のうちに食材を買い込み、下準備は済ませておいた。
私達は朝食提供が終わってすぐ厨房を借りて早くから調理を開始する。
歓迎会の時間まではまだ余裕があるものの人数が多いためたくさん作らなければならない。
さらに今日のメニューは煮る、焼く、蒸す、揚げるなど全ての調理法を使うのでとにかく忙しい。
そんな私達を見かねてカミィさんも手伝ってくれた。
「これはここに上げて。少し冷ましてこれに絡めるから」
「これはどうやって切る?」
「あっこれはこんな感じで切ってください」
厨房にはそんな声が常に響く。
そして調理中の味見は調理人の特権だ。
転生して初めて食べたちゃんとした和食だった事もあってか私も懐かしさを感じる。
それはまさしくばぁばの味だった。
作っている姿も楽しそうで嬉しそうだ。
私は出来上がった料理を丁寧に容器に詰めていく。
本当は出来たてを食べてもらいたいけれどこればかりは仕方ない。
全て出来上がった頃にはもう歓迎会の時間が近づいていた。
その時。ノックの音が響いた。
「こんにちは。料理は出来たかな」
そこにいたのはフェルソニー様だった。
「迎えに来たよ。お〜美味しそうだ。どれどれ1つ…」
と言って近くにあった卵焼きを口に放り込んだ。
「あっ!」
「なんだこれは!?今まで食べた事ない味だ。ふわふわで」
「少し冷めてしまいましたが」
「ううん。とても美味しい。誰にも食べさせたくないくらいだ」
「ふふっ。まだたくさんありますから。早く行きましょう。カミィさん達の分はここにありますから皆さんで食べてください」
「うん。ありがとう。楽しみだ。行ってらっしゃい」
こうして約束の公園へと馬車で向かった。
お嬢様が歩いて行くと言ったのだが馬車の方が早いからとフェルソニー様が押し切った。
さすがのシスコンぶりだ。
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