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「ありがとうございます。お兄様」
食事が終わり各々の部屋へ戻る途中、お嬢様がそう切り出した。
「なにが?」
「お兄様がお父様に言ってくださったのでしょう?」
「うん?なんの事?」
フェルソニー様は小さく笑うだけだった。
「そういうことにしておきます」
「それはそうと旅が決まったんだ。そろそろ荷造りをしないと」
「はい。今日はありがとうございました。お兄様、おやすみなさいませ」
「おやすみ」
フェルソニー様に礼をしお嬢様の後をついて行く。
その途中フェルソニー様の方をチラッと見ると相変わらず笑顔で軽く手を振っている。
そして入浴などの寝る準備を済ませて図書館での事を話した。
「お嬢様、もしかしたらフェルソニー様に正体がバレたかもしれません」
「えっ?」
「少なくとも中身が別の人間である事はバレているかと…」
「そうなのね…」
「フェルソニー様は言うつもりはないと。でも念のため気をつけてください」
「でもお兄様が悪い人だとは思えない」
「私もそうですけど…どうなるかは分かりませんから」
「そうだね。気をつける。明日からは少しずつ荷造りをしないと」
「そうですね。ですが今日はゆっくりお休みください」
「うん。ネリアもね」
「ありがとう。おやすみなさい」
お嬢様の部屋を出て廊下を歩いていると旦那様の執事に呼び止められた。
「ネリア、旦那様がお呼びだ」
「はい」
こんな夜更けになんだろうとドキドキしながらも旦那様の部屋に向かう。
コンコン。
「旦那様、ネリアをお連れしました」
「入れ」
「失礼します」
旦那様に礼をして部屋に入る。
「こんな夜更けにすまない。カトリナは?」
「先ほどお休みになられました」
「そうか。いつもありがとう」
「それでご用件とは?」
「ああ。さっきの件は覚えているよな?」
「旅の件ですか?」
「そうだ。護衛をつけると言ったがどんな時もカトリナの1番近くにいるのはネリアだと思う。それでもしもの時のためにネリアにも護身術を学んで欲しい」
「護身術?」
「そうだ。講師をつけるから明日からやってもらう」
「私にできるか不安ですが、承知しました」
「ありがとう。夜分にすまなかった。ゆっくり休んでくれ」
「いえ。失礼します」
再び礼をし部屋を後にする。
私に護身術なんてできるか不安だが、やるしかない。
使用人用の部屋に戻ると同室のサリーがまだ起きていた。
「起きてたの?」
「うん。遅かったね」
「うん。旦那様に呼ばれて」
「あっ聞いたわよ。お嬢様が外国に行くんですって?」
「うん」
「ネリアも一緒に行くのよね?」
「うん。そう言われた」
「寂しくなるわね」
「ふふっ。普段はそういう事言わないのに」
「私だってたまには言うわよ」
「確かに私に色々教えてくれたあなたに会えなくなるのは寂しいわ。色々ありがとう」
「あなたこそなによ。いつもはそんな事言わないのに」
「たまに言いたくなったの」
「そう。もう寝るわ。明日も忙しいんだから」
「そうね。おやすみ」
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