227
「お元気でしたか?」
久しぶりに見たシリルさんはなんだかかっこよくなっているような気がする。
「はい。シリルさんは?」
「最近まで仕事が立て込んでいたのですが、今は落ち着きました。ネリアさんこそ刺繍の受注やサロンの商品が好調だと聞きましたが忙しいのでは?」
「おかげ様で。でも買って頂けるのはありがたい事ですから」
「以前編んでくださったマフラー、冬の間ずっと使ってました。暖かったです」
「使って頂けているようで嬉しいです。ありがとうございます」
「こちらこそありがとうございます」
それからもお互いの近況を話しシリルさんが家まで送ってくれた。
その前の買い物も付き合ってくれ重たい物も持ってくれたため助かった。
「ここまでありがとうございます。助かりました」
「こちらこそ楽しかったです。また会いましょう」
と言って別れる。
夕方、お嬢様が帰って来てその話をすると
「シリルさんの話を聞くのは久しぶりね。私も最近はメイナーさん達に会えてないからまた会いたいわ」
「お嬢様の近況もメイナーさんに伝えておきました」
お嬢様の実習も今は落ち着いて学院での座学がメインのようだ。
さらに数日後、ある意味びっくりするような知らせを受けた。
お嬢様を見送り、家の事をしていた時訪問を告げるノックが聞こえた。
扉を開けるとそこに立っていたのはシリルさんだ。
「どうしたんですか?」
私は驚いて挨拶をする前にそう聞いた。
「突然すみません。これをお渡ししたくて」
手渡されたのは夜会の招待状。
「とりあえず上がってください」
立ち話もあれなのでとりあえず家に上がってもらう。
「これ、どうしたんですか?」
「実は…夜会の招待状を頂いたのですがパートーナー同伴が必須で。従姉妹に頼もうかとも思ったのですが全員忙しいようでして。もし良かったら一緒にお願いできませんか?」
「えっ?私が?」
「はい。突然のお願いで申し訳ないのですが」
「でも私夜会に着て行けるような服、持っていませんし夜会はお嬢様について行っただけなのでマナーとかもよく分かりませんし」
「ドレスはこちらで用意させてもらいますしマナーも普段見ている感じでは問題ないと思います。他に何か不安な事はありますか?」
「そう言われても…本当に私で良いんですか?」
「ネリアさんが良いんです」
「分かりました」
「では一緒に行って頂けるという事ですね?」
「はい」
シリルさんのあまりの満面の笑みに断るという選択肢はなかった。
「ありがとうございます。ではドレスの好みなどあれば教えてください」
「ドレスとかも分からないのでシリルさんにお任せします」
「分かりました。当日は隣にいてくださるだけで結構ですので。緊張させてしまうかもしれませんが何かあればフォローしますから」
「よろしくお願いします」
その日、その話をお嬢様にも伝えた。
「というわけでその日は夜いません。夕食は作っておくので温めて食べてください」
「良かったわね!私達の事は気にしないで楽しんでいらっしゃい」
「はい…でもダンスが自信ないんです」
「ダンス?」
「はい。夜会では絶対踊るでしょ?あとマナーも自信ないんですよ」
「マナーなんてそんなにないわよ。まず入ってウェイトレスが飲み物を持って来てくれるから取ってあとはシリルさんについて行けばいいんじゃない?」
「ダンスについては基本的なステップだけ練習しましょう」
「頑張ります」
ここまでお読み頂きありがとうございます。




