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桃太郎討伐作戦  作者: JUM
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一話

歴史が嫌いな僕にとって、鎌倉時代は、いい国をつくろうとした人たちが鎌倉幕府にいた時代くらいにしか、捉えたことがなかった。

賢者は歴史に学ぶとは言うけれども、政治家だって同じ失敗を繰り返している世の中なのだから、一般庶民が歴史に価値を見出せないのは仕方が無い。


だいたい、近代について学ぶならいいとしよう。

世界恐慌に第二次世界大戦。

うん、こういうのは流石に理解していないと、現在どうして、こういう世の中になっているのかというのが理解できない。

でも、鎌倉時代を理解してどうなる?

あんなの習っても、現代にどう知識を生かせばいいんだよ。

武力をもってるやつが権力者になることを教えたいのなら、わざわざ授業の貴重な時間を使わなくても、ニュースでアメリカ見てたら分かるんだよ!


でも、まあ今となっては歴史を勉強しておくだったって後悔しているけど。


昨日のことだ。

日本史のテストの結果が散々だった僕は、そんなふうにひたすら脳内で言い訳を繰り返していた。

日本史のテストだけじゃない。国語に英語も悲惨だった。

この三つのテストの点数を合計しても、三十点を超えない。

いつもは、僕は理系だからと、腹の虫をおさめることができたけれど、今回は得意の数学が六十点だったせいで、余計にむしゃくしゃしていた。


だから、仕方が無いんだ。帰宅の途中に、近所の公園にある墓を蹴って壊してしまったのは。


この墓というのは、学校からの帰り道の最短ルートをつかう際、必ず通る女木公園とかいうところにある。

虫の居所が悪い僕は、この一見すると記念碑のような、頑丈そうなこの墓をなんとなく蹴ってみた。


そしたら壊れた。


車の窓ガラスを銃で撃ったときのように、墓全体にひびが入ったと思うと、一気に崩れ落ちる。

焦った僕は急いで修復しようと思ったけれど、崩れた墓の破片が地面にあいた大きな穴に落ちてしまったから無理だ。


というか、僕も落ちた。


崩れゆく墓の形をとどめようと必死で手で押さえていたのだけれど、足場がなくなっていた。

まさか穴が開いているなんて、よっぽど妄想癖の激しいやつでないと、予想できないだろうから仕方が無い。


意識を失っていた僕だけれど、三時間くらいたったころだろうか。夜には目が覚める。

起きた瞬間に異変に気がついた。そこは、明らかに女木公園ではなかったからだ。

なんか、海の音が聞こえるし。


こんな状況でも案外冷静だった僕で、なぜ、こんなことになったのかを考えていた。

とりあえず、海辺を歩いていたら、突然誰かに声をかけられる。


「どうして、こんなところに人間がいる?」




挿絵(By みてみん)




振り返ると、そこにいたのは鬼だった。

いや、鬼を見たことがないのだから、鬼と断定するのは少し早計なのかもしれないけれど、鬼としか言いようがない生物だ。

大きな体に、赤い肌。おまけに角まで生えている。

ただ、スーツのような服を着ていたせいで、一瞬人間ではないかと思ってしまったけれど。


しかし、僕はやはり、冷静な人間だ。

こんな状況でも、動揺した様子を悟られることなく、叫び声ひとつあげつに気を失った。





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