3話 成長
私ヒューバート、本日を持ちまして晴れて5歳となりました。
なぜ報告したいかだって?
小さい頃父さんと約束したのさ。
「5歳になったら村の中を自由に歩いていい」ってね。
まあ今も小さいけど。
いや~ここまで長かったな。
術式解析を使えるような場面も今まで一回しかなかったし、魔法を使おうにもどうやって使うかわかんなかったし。
ということで村の探検へレッツゴー!
といってもビャッコ村は農耕が盛んで村の周りを畑が囲んでいるような形になっているので意外と規模が大きいから一日で周れる自信がないが。
そういえば最近モンスターが増えてるからあまり村のはずれに行きすぎないように言われてたな。
まあ、そこまで歩けないと思うし気にしなくていっか。
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外に出てみた。
活気に溢れた村。
その奥に一面に広がる小麦畑。
風の匂い、鳥のさえずり、人々の活気。
すべて家の中でも感じてはいた。
だが実際に感じてみるのと壁を一枚挟んでいるのとでは全く違う。
これが自由か。
いいもんだな。
と思っていられるのもつかの間。
門限があるのだ。急がなければ。
その瞬間、世界が揺れた。
地震だ。
瞬時に察知した。
体感だが震度は2~3程度だろうか。
最近規模や頻度が大きくなってきているのだ。
これもなにかの予兆だろうか。
ふと、一つの仮説が頭をよぎる。
「地震のせいでモンスターが増えているのではないか。」
…ないな。
まあ地震大国から転生してきた俺にとってはそこまで驚くことではない。
そういう知識はあるからね。
さて、まずは防具屋に行ってみようかな。
防具屋のおっちゃんは俺の父さんの警備隊に防具を卸しているので、俺の家に何回か来ているので俺とも面識があるのだ。
歩いている途中、けが人が運ばれているのを見た。
モンスターにやられたのだろうか。
防具屋の前まで来ると、金槌の音が響いていた。
カン、カン、と一定のリズム。
職人って感じだ。
「おっちゃん。」
「おう、ヒュー。おまえこんな真っ昼間から出歩くような悪い子に育っちまったのか?」
「冗談はやめてくれよ。やっと出歩けるようになったんだ。それに俺は超いい子だぜ。」
「はっはっは。わかっとるわい。5歳になったから出歩けるようになったんじゃろ。おめでとう、ヒュー。これはプレゼントじゃ。」
おっちゃんのプレゼントは体に対して大きめのバッグだった。
持ちての長さを調節できるので、おそらく大きくなっても使えるだろう。
おっちゃんはやっぱり接しやすくていい人だな。
店の外でも聞こえた金槌の音がいつの間にか止んでいる。
会話に集中してくれている証拠だ。
「そういえばおっちゃん。嬉しそうだけどなんか良いことでもあったの?」
「おうよ。最近よ、鋼鉄蜥蜴が多いだろ?そのおかげで質のいい鋼鉄が手にはいって質のいい装備を作れるようになったんだよ。装備は売れるし、けが人も減った。おまえも成長したし、こんなにいいことが続いてんだよ。」
「良かったね。じゃあ、またね。お父さんに今後とも宜しく。」
「礼儀正しい子だな。じゃあな。バッグ、大切に使えよ。」
防具屋から出ると空が赤くなっている部分もある。
門限もあるし今日は早めに帰ろう。
そう思い、足を早める。
角を曲がろうとした瞬間、体に衝撃が加わる。
トラックを思い出さなかったわけではない。思い出したくもなかったけど。
が、今回は潰されないですんだようだ。
ぶつかった両者が尻餅をついた。
ぶつかったのは青紫色の髪色の同年代くらいの女の子。
第一印象は元気はつらつ。
ちなみに俺はお父さん譲りの金髪です。え?いらない情報?ごめんって。
てかそんな事考えてる場合じゃない。
「大丈夫?」
「いてて…。あれ、きみ、だれ?」
「え?俺はヒューバート。ヒューって呼んで。」
「わたしはスミレ!よろしくね、ヒュー。」
「さっきはごめんね。なにかお詫びでできることないかな?」
「!じゃあ、あしたわたしといっしょにあそぼ。いま、おかあさんとおとうさんがはたけのしごとであそんでくれないの。」
「どこで集合する?」
「あしたわたしがヒューのいえにいくよ。いまからついてってばしょおぼえるね。」
「うん。よろしく。」
いろいろなことを話してるうちに家へとつく。
「じゃあまた明日ね。」
「ばいば~い。」
「なんだ、ヒュー。お前いきなりガールフレンドでもできたのか?」
「そういうのじゃないよ、父さん。明日遊ぶ約束をした友達だよ。」
「冗談冗談。そうそう、お前にプレゼントがあるんだ。じゃーん。どうだ?かっこいいだろ。」
「私からもプレゼントよ。誕生日おめでとう、ヒュー。」
父さんからはナイフ、母さんからは魔術書をもらった。
こうして5歳の誕生日は終わったのであった。
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「あれ?そういえばお祖父ちゃんは?」
「あぁ。義父さんは今他の村に視察に行ってるからそこでお土産を買ってヒューのプレゼントにするって言ってたぞ。」
その瞬間、今までに感じたことのないような地震が起きた。
俺は天井から落ちてきた電球で頭を打って気を失ってたらしい。
目覚めたときには村中に嫌な空気が流れていた。
お祖父ちゃん、いや、村長が死んだらしい。
地震によるがけ崩れに巻き込まれたそうだ。
しかし俺はまだ知らなかった。
このことはこの村を襲う悲劇の前兆に過ぎなかったということを。




