十八番
夢想世界を解除し、四人を連れて竜の谷に戻り師匠たちと合流した。
「実行犯確保完了」
「こっちも竜の鎮静化と」
「小竜の安全確保完了だ」
「頼んだ仕事をやってくれて感謝だよ」
私が竜の谷に戻った頃にはリアリルとガルグの状態もだいぶ良くなっていた。流石魔法生物、回復が早い。
報告を簡潔に済ませた後に師匠が詰め寄ってくる。
「それよりも、どーしてうちのバカ弟子は途中連絡が途絶えたのかなぁ?」
「仕方ないじゃないですかスキル使ってたんですから」
「知るか!事前に言わんかこのバカが!お主と連絡が途絶えてどれだけ……」
「え?なんですか?」
かなりお怒りの様子だったが、後半はごにょごにょしていて聞き取れなかった。
「こいつウルと連絡が取れ無くなってすごい心配してたんだよ。大丈夫だよな?何も無いよなって」
「なっ!別に心配などしておらん!」
師匠が珍しく顔を少し赤らめている。本当に珍しい。普段怒り以外の感情は全て自然に捨ててきたような人なのだが。
「え〜師匠私を心配してくれたんですか〜?珍しー……っていだだだだだだ」
ただ少しからかっただけなのに、物凄い強さで頬を抓られる。
まずい、これはお怒りだ。
「で、バカ弟子よ。実行犯を捕まえたのはいいが、世界樹を元に戻す方法はあるんだろうな?」
「それは俺も気になってた。この浄化の雨もいいが、こんなところで浄化の力を使って大丈夫なのか?正直こんな雨降らせて遅延させるくらいなら世界樹を浄化した方が早いんじゃ」
二人の目線がこちらに来る。二人からしたら私の行動が謎でしかないのだろう。
まぁなんの説明もしてないし。
「世界樹を直接見てないからそう言えるんだよ。あれは最強浄化戦力をもつ教国でも無理だね」
少しの時間しか観察していないがそれでも分かった。
あの汚染速度は尋常じゃない。いくら浄化しようとあの速度には追いつけない。先に魔力が切れて終いだ。
それこそ一気に全てを浄化するくらいの力でないと。そしてそんな力はこの惑星上には無い。
今は結界で外に出る汚染を多少食い止めているがそれもぼちぼち限界だろう。
「教国でも無理って、じゃぁどうするつもりなんだ」
「……まぁ、考えはちゃんとありますから安心してください。リリーとガルグもだいぶ回復したようですし、私はそろそろ世界樹へ戻ります。師匠は念の為ここに居てください」
「俺は?」
「キファ殿もそろそろ戻った方がいいでしょう?」
「相変わらず秘密が多い奴だ。だが、今回ばかりはついて行かせてもらう。北はまだ余裕があるしな。それに、お前が何しでかすかも分からない」
肩に手を置かれ、目を合わせられる。
私はそのままにこりと笑い肩の手をはらう。
「別に変なことはしませんよ」
そのまま飛び立ち世界樹へと向かう。
****
ノアの声がした気がする。ううん、気の所為じゃない。ノアの魔力だ。ノアの魔力が僕に近ずいている。
ノアが居る、近くに!この惑星に!
「やっと、見つけた」
****
世界樹に着き、様子を見てみる。かなり時間がかかってしまったため、汚染濃度が明らかに上がっている。
正直今思いついている方法は使いたくなかった。間違いなく事後にめんどくさい事が起こるからだ。
(それでもこの惑星は私とあいつで創った最初で最後のものだ。だから、手段は選ばない)
ずっと降らせていた浄化の雨を止ませ、一呼吸おく。
辺りが静寂に包まれる。キファ殿も私に話しかける事はなく、黙って見ているだけだ。
神核のお陰でノアの魂の力は少しだが強まっている。その力を少しでも引き出すために集中する。
「第一世代三番ノアの元、第四世代十八番アヴィーに…」
「ノアーーーーーー!!!!!」
ドカーン!
「やっと見つけた!」
「……は?」
頭上からとんでもない勢いで突っ込んできたのは私が今呼ぼうとしていた相手だった。
目の前で起きている事を理解するのにだいぶ時間がかかった。
ウルが言っていたアヴィーという名はこの世界の創造神の一人の名前だ。聖域にある像にアヴィーという名が刻まれていたのを覚えている。
創造神様の大体の姿と本当の名前を知る者は守護者のみだ。
だから創造神様の名前がウルの口から出たことには少し驚いたが知っていてもおかしいことは別になかった。問題は他だ。
ウルは何かを唱えていたようだが言語が分からなかった。だから聞き取れたのは名前の部分だけだ。
そしてその後だ、何の言語だろうと思っていたら突然ノアという叫びと共に上から誰かが降ってきた。
今目の前に居る謎の人物は聖域にある創造神アヴィー様と似た姿をしている。
(わからん、過去に無いほどに今俺の頭は混乱している)
「ウル、一体これは?何をしたんだお前」
たしかに呼び出そうとはした、したけども意味の分からない登場の仕方をしないで欲しい。
今私の上に居るこれは先程私が呼び出そうとした相手、創造者第四世代十八番アヴィーだ。
何故かは分からないが呼び出す前に上から降ってきた。本当に理解できない。
とりあえず、
「重いからどけ、アヴィー」
「酷いノア!久しぶりの再会なのに喜んでくれないなんて。僕はずっと探してたんだよ!?」
「うるさい」
わーぎゃーと騒いでいるところに呆然としていたキファ殿に声をかけられる。
「ウル、一体これは?何をしたんだお前」
明らかに困惑している。
しばし悩んでから私は答える。
「うーん、とりあえず説明も質問も後だ。今は優先すべきことがある。てことでアヴィー、世界樹浄化して?」




