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プロローグ

****


本日(ほんじつ)宇宙(うちゅう)鉄道(てつどう) 特急(とっきゅう)こすも をご利用(りよう)いただき(まこと)にありがとうございました。この列車(れっしゃ)はまもなく、この(たび)新設(しんせつ)されました 時目木駅(ときめきえき)到着(とうちゃく)します。お(わす)(もの)のないようご注意(ちゅうい)ください」


挿絵(By みてみん)


****


 (すな)がいっぱい(はい)ったバケツをひっくり(かえ)したような、満点(まんてん)星空(ほしぞら)(した)


 時目木(ときめき)公園(こうえん)時計台(とけいだい)(うえ)からは見慣(みな)れた(まち)がとっても(ちい)さく()えて、無数(むすう)(いえ)(あか)りがこれまた満点(まんてん)星空(ほしぞら)のように(ひか)っています。


 そんなロマンチックな光景(こうけい)(いま)にも()じてしまいそうな()()ながら、ショースケは特大(とくだい)のあくびを連発(れんぱつ)していました。


 無理(むり)もありません、時刻(じこく)午後(ごご)(じゅう)()五十五(ごじゅうご)(ふん)、しかも今日(きょう)金曜日(きんようび)


 (いっ)週間(しゅうかん)学校(がっこう)生活(せいかつ)頑張(がんば)った小学(しょうがく)四年生(よねんせい)になったばかりのショースケには少々(しょうしょう)(きび)しいでしょう。


 しかし今日(きょう)から(はじ)まる大事(だいじ)役目(やくめ)のため寝落(ねお)ちするわけにはいきませんから、(あたま)何度(なんど)もブンブン()って金色(きんいろ)(かみ)をふさふさ()らしているのでした。


「ショースケ大丈夫(だいじょうぶ)か?」


 (となり)にいたタカヤが心配(しんぱい)そうに(こえ)をかけました。


 そんなタカヤもショースケと(おな)学校(がっこう)(かよ)小学(しょうがく)四年生(よねんせい)ですが、その()はむしろ()昼間(ぴるま)であるかのようにしっかりと(ひら)いています。


 しかも(はる)になったとはいえ、まだ肌寒(はだざむ)いこの(よる)(そで)()(ふく)(たん)パンで、鳥肌(とりはだ)(ひと)つも()てていないのでした。


 そんな様子(ようす)()てなんだか(くや)しくなったショースケは、(あお)(ひとみ)をゴシゴシと(こす)って


「ぜーんぜん余裕(よゆう)だよ、タカヤこそ我慢(がまん)してるんじゃない?」


 と、ニヤリと(わら)って(つよ)がってみせますが


(おれ)なら全然(ぜんぜん)大丈夫(だいじょうぶ)()なくても平気(へいき)だし。心配(しんぱい)してくれてありがとう!」


 さわやかに感謝(かんしゃ)までされてしまいました。


 いつものことながら、どうやらライバル()しているのはショースケだけのようです。


 そもそもタカヤが睡眠(すいみん)必要(ひつよう)としないのも、(さむ)さを(かん)じないのも事実(じじつ)


 ()()うだけ無駄(むだ)なことはショースケも重々(じゅうじゅう)わかっています。


 でもちょっとは抵抗(ていこう)しないと、素直(すなお)()けを(みと)めているようでとっても(いや)なのでした。



 さて、タカヤが何故(なぜ)そんな(からだ)なのかは後々(のちのち)わかるとして、二人(ふたり)()っていたものがようやく到着(とうちゃく)したようです。


 あたりは突然(とつぜん)パッと(あか)るくなり、きれいな(かい)がら同士(どうし)をこすり()わせたようなシャラシャラという(おと)次第(しだい)(おお)きく(ひび)(わた)ります。


 夜空(よぞら)見上(みあ)げると、(りゅう)かヘビのように(なが)くてとっても(おお)きな飛行(ひこう)物体(ぶったい)煌々(こうこう)(ひか)りながらこの時計台(とけいだい)()りてきました。


 特急(とっきゅう)こすもです。


 ()(まえ)(ちい)さな(あま)(がわ)のようなレールが(あらわ)れてそこに沿()うように列車(れっしゃ)はゆっくりと()まりました。


(とき)()()(えき)(とき)()()(えき)本日(ほんじつ)はご乗車(じょうしゃ)(まこと)にありがとうございました」


 アナウンスが(なが)れると同時(どうじ)(とびら)(ひら)き、たくさんの地球(ちきゅう)(がい)生命体(せいめいたい)(たの)しそうにおしゃべりをしながらぞろぞろと()りてきました。


 (あか)かったり黄色(きいろ)かったり、()があったり()かったり、(つの)一本(いっぽん)だったり十二(じゅうに)(ほん)だったり、そもそも半分(はんぶん)()けててよく()えなかったり。


 ショースケとタカヤはそんな地球(ちきゅう)(がい)生命体(せいめいたい)通称(つうしょう)ET(いーてぃー)たちの特徴(とくちょう)本部(ほんぶ)から(おく)られたデータと()らし()わせて問題(もんだい)がないか(たし)かめます。


 全員(ぜんいん)(とき)()()(ちょう)観光(かんこう)()旅行者(りょこうしゃ)たちで間違(まちが)()いようで二人(ふたり)はひとまず(むね)をなでおろし、すみやかに本部(ほんぶ)へ『異常(いじょう)なし』とメッセージを(おく)りました。


 そしてもう一度(いちど)シャラシャラという(おと)がしたかと(おも)うと、特急(とっきゅう)こすもはパッと(つよ)(かがや)いて(もう)スピードで宇宙(うちゅう)()()まれるように(かえ)って()きました。



 今日(きょう)からこの(とき)()()(ちょう)には(しゅう)一度(いちど)特急(とっきゅう)こすもに()ってたくさんのET(いーてぃー)のお(きゃく)(さま)がやって()ることになりました。


 そんなET(いーてぃー)たちのこの(まち)での安心(あんしん)安全(あんぜん)をサポートしたり、(わる)いことをしないか()(ひか)らせたりするのが、二人(ふたり)(はじ)めて(あた)えられたお仕事(しごと)


 宇宙(うちゅう)警察(けいさつ)一員(いちいん)としての(あわ)ただしい日々(ひび)(はじ)まります。


挿絵(By みてみん)

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